現代社会はストレスフルです。「早く帰りたい…」「早く休みの日にならないかな」などと考えながら日々働いている人は少なくありません。
仕事をしていれば嫌な気持ちになることもありますが、職場そのものが嫌いな場合、事態は深刻です。多くの人が1日の大半を職場で過ごす中、その職場が嫌いだと非常に大きなストレスを抱えることになってしまいます。
この記事では、嫌いな職場で働き続けるデメリットと、転職への考え方や転職すべきかどうかの判断基準を解説します。
嫌いな職場で働き続けるとどうなる?
嫌いな職場で働き続けると、さまざまな弊害が生じます。なかには仕事中だけではなく、プライベートにまで影響を及ぼすことも。
ここでは嫌いな職場で働き続けるとどうなるかを解説します。
主体的な思考力が奪われる
嫌いな職場で働き続けると、ネガティブな感情に心が支配され、自発的になにかをしようという気がなくなります。
主体的に物事を考える場面を思い出してください。好きなことや興味のあることではないでしょうか。逆に嫌いな物事について主体的に考える人は少ないのではないでしょうか。
嫌いな職場で働き続けると、文句を言われずに日々のタスクをこなすことばかりを考えるようになり、主体的な思考力が奪われます。
多くの人が1日の大半を仕事に費やすため、影響が仕事以外の場面に出ることも。いつもぼんやりしてしまったり覇気がなくなったりしてしまうケースもあります。
プライベートも楽しめなくなる
職場で長時間ストレスにさらされることで、気持ちの切り替えがうまくできなくなります。プライベートの時間に仕事のことが勝手に頭に浮かんでくるようになり、遊んでいるときや親しい人と過ごしている時間も「心ここにあらず」の状態に。
常に心のどこかに仕事のストレスが存在しているため、思い切りプライベートを楽しめなくなってしまいます。仕事の時間はプライベートのことを、プライベートの時間は仕事のことを考えてしまい、充実感を得られない状態になる人も珍しくありません。
人間関係が悪化する
嫌いな職場で働き続けることは、人間関係にも影響を及ぼします。ストレスが溜まると自分のことで精一杯となり、思いやりを持つ余裕がなくなってしまいます。とくに身近な人に当たってしまい、人間関係が悪化することも。育児中の人であれば子どもに優しくできない、と悩みを抱える人も多くいます。
嫌いな職場で消耗することで、大切な人を大切にできないジレンマに陥ることになってしまうのです。
転職のチャンスを逃す
嫌いな職場で頑張り続けた結果、気付いたら転職のチャンスを逃していた、ということも珍しくありません。
下記のような理由で、嫌いな職場にもかかわらず転職をためらう人は多くいます。
- 3年は同じところで頑張ったほうがいいと言われたから
- 育ててもらった恩を返さないといけないから
- 人手不足で自分が辞めたら職場に迷惑をかけるから
20代は第二新卒扱いで、30代以降では入社できないような会社でも転職が可能です。逆にいうと、年齢を重ねれば重ねるほど、好条件で転職できるチャンスは少なくなる傾向にあります。
1年先延ばしにしたために、転職のチャンスを逃してしまうこともあり得るのです。
自己肯定感が下がる
仕事における自己肯定感は、やりがいを持って仕事をするときや自発的に頑張ったことが実を結んだときに生まれます。
嫌いな職場で働き続けている状態では、やりがいを持つことは難しく、自発的に物事に取り組むモチベーションも生まれにくいため、自己肯定感を持ちづらくなります。
メンタル不調に陥る
慢性的に過度なストレスがかかると、メンタル不調に陥ってしまいます。下記のような状態は、放っておくと長期間に渡りメンタルに悪影響を及ぼすリスクがあります。
- 眠れない、眠りが浅い
- 食欲がない
- いつも気分がゆううつ
- わけもなくイライラする など
よくあることと思わずに、専門機関への相談など対策を取りましょう。
身体にも異常が出る
ストレスが溜まり続けると、身体にも異常が出ることがあります。
頭痛が治らない、じんましんが出るなどの症状から、ひどい場合は歩けなくなったり声が出なくなったりすることも。
最悪の場合、日常生活が困難になり、長期療養を余儀なくされることもあります。
それでも嫌いな職場を辞められない理由
職場が嫌いだと思っていても、すぐに転職に踏み切れないことは多くあります。仕事をするということは、何らかの責任が発生するため「嫌い=即転職」となる人のほうがまれでしょう。そもそも生活のために仕事をしているのですから、転職による生活基盤の変化を懸念するのは当然のことです。
ここでは嫌いな職場なのに辞められない理由を解説します。
周りに迷惑をかけるのが申し訳ないから
真面目な人や人手不足の職場でよくあるのが、自分が辞めると他の人に迷惑をかけてしまうと思い、嫌いな職場でも退職を思い留まるケースです。
日々の忙しい状況から、自分が抜けることで職場が回らなくなると考えてしまい、退職の決意ができないのです。
他人の目が気になる人では、退職を知らせてから退職日までの間、周囲の人に冷たくされるのではないかと気にするあまり、退職を先延ばしにすることもあります。
上司に言い出しにくいから
「育ててくれた上司に申し訳ない」といった上司を気遣う気持ちから「退職を伝えたら怒らせてしまうのではないか」といったものまで、上司がネックとなることはよくあります。
他人の気持ちを敏感に察するタイプの人に多く、退職を伝えたときの上司の反応を想像すると、怖くなってしまい退職を言い出せなくなるパターンです。
自分の気持ちより他の人の気持ちを優先させてしまう人に多くみられます。
経済面が心配だから
安定した収入を得ている場合、退職後に収入が不安定になることを心配して、嫌いな職場でも退職に踏み切れないケースです。とくに家庭を持っている人は、家族にひもじい思いをさせないために、我慢して今の職場に残り続ける選択を取ることが多いのではないでしょうか。
毎月一定のお金が入ってくるのは、かなりの安心材料です。独立すれば収入は不安定になりますし、他企業への転職でも現在の水準で収入を得られるとは限りません。年功序列は崩壊しつつあるといえども、転職した途端、給与が下がることはよくあります。
生活のために嫌いな職場でも我慢して働き続ける状態です。
短期間での退職はよくないと聞くから
入社した職場が合わずに、すぐに辞めたいと思っても、キャリア形成に傷がつくことを恐れて退職を見合わせるケースも多くあります。
巷では「とりあえず3年」といわれるように、入社してすぐの退職はよくないとされる風潮があるのも事実です。しかし、3年間も合わない職場で働くことで健康を害するリスクもあるし、年齢的な問題で好条件の職場に転職できなくなるリスクもあります。
一概に「とりあえず3年」とはいえませんが、転職市場でのイメージ悪化を避けるために、嫌いな職場でも我慢して働き続けるパターンです。
合わない職場を見抜くサイン
なんとなく仕事が嫌だけど、本当に合わない職場なのか判断できない人もいると思います。
ここでは合わない職場を見抜くサインを紹介します。当てはまる項目があるかチェックしてみてください。
ミスを繰り返す
ミスを繰り返すのは仕事が合わないサインのひとつです。
新人の頃は誰でもミスが多いものですが、1~2年働いても新人の頃と同じようなミスを繰り返してしまう場合は、仕事の適性が合っていないかもしれません。
ミスを繰り返すことで自分に自信がなくなり、さらにミスが増える悪循環に陥ることも。
思うようにスキルアップできないことで人間関係の悪化につながったり、周りの人よりも労働時間が長くなったりといった弊害も発生するリスクもあります。
仕事のモチベーションが上がらない
合わない仕事に就いていると、仕事のモチベーションを保つのは難しいことです。
モチベーションは、仕事そのものにやりがいや楽しさを感じてこそ上がるものです。「なんとなくやる気が出ない」「スキルアップとかしなくていいから、給料がもらえればいい」という気持ちがずっと続いている状態であれば、仕事が合わない可能性があります。
モチベーションが上がらない職場で働くことは、仕事が苦痛なだけではなく、人生の幸福度そのものが下がってしまいます。
職場になじめないと感じる
仕事そのものは楽しいけど、なんとなく職場になじめないと感じる場合、職場が合っていない可能性があります。
嫌がらせを受けているなどあからさまなものから、なんとなく浮いている気がするといったものまで、職場になじめないと感じる状態はさまざまです。
自分に合う職場とは、自然体で過ごせる職場です。なんとなく違和感を覚える職場が、自分に合っていない可能性が高いでしょう。
将来像がみえない
未来のビジョンが見えない場合も、仕事が合っていないかもしれません。
自分に合った仕事についている場合、1年後、3年後、10年後などの未来像が見えてくるものです。具体的ビジョンではないにしろ、「こうなっていたいな」といった目標のようなものが浮かんでくるでしょう。
しかし合わない職場では日々の仕事をこなすだけで、「ずっとこの状況が続くのか」と将来の目標が思い浮かびにくくなります。
仕事で叶えたいビジョンが思い浮かばない場合も、向いていない仕事といえるでしょう。
退職を迷っている人に知ってほしい考え方
退職したいのに決断できない人は、多くの場合、周囲に気を遣いすぎる傾向があります。自分の気持ちより周りの状況を優先させてしまうため、退職したくても迷いが生じてしまうのです。
ここでは退職を迷っている人に知ってほしい考え方を紹介します。少しでも気持ちが楽になれば幸いです。
自分が辞めても会社は回る
真面目な人は「自分が辞めたら仕事が回らなくなる」と過度に責任を感じる傾向にあります。
しかし、あなたが辞めても会社は回り続けます。会社の社長が突然倒れたり、病院の院長が事故に遭って働けなくなったり、唯一無二の個性で仕事をしているタレントでさえ、突然休業発表をすることもあります。それでも仕事はどうにか回り続けているものです。
責任感を持つことは素晴らしいことです。しかし自分の首を締めてまで責任を背負う必要はありません。もしも退職を切り出したときに、上司から「辞められると仕事が回らなくなる」と言われても、それは上司の管理能力不足です。あなたの責任ではありません。
「自分が辞めたら仕事が回らなくなるから辞められない」と考えるのであれば、ストレスから視野が狭くなっている可能性があります。そのことを自覚して、次のステップを考えるとよいでしょう。
会社は自分の人生を守ってくれない
嫌いな職場で働き続けて、ストレスフルな日々を送る人生になったとしても、会社は自分の人生を守ってはくれません。最悪体調を崩して働けなくなったとしても、会社はその後の人生を補償してくれません。
「辞められたら困る」と詰め寄られて「頼りにしている」と引き止められても、最終的な決断の責任は自分に降りかかってきます。
頼られたら悪い気はしませんが、辞めない判断をしたときに失うものと天秤にかけて、どうすべきか考えましょう。
退職すべきか判断する方法
職場は嫌いだけど、退職してもよいものなのか迷っている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、ケースごとに退職すべきか判断する方法を解説します。
仕事内容が嫌いだけど職場が好きなら異動を相談する
職場自体は好きだけど、仕事内容が合わないと感じるのであれば、上司に職場内異動を相談しましょう。
人間関係が良好、働きやすい環境が整っているなど、環境そのものが良好な職場は貴重です。仕事内容を変えてもらうことで問題が解決できるのであれば、退職を急がないほうがよいでしょう。
仕事内容は好きだけど職場環境が嫌いなら同業種への転職を
仕事内容は好きだけど、人間関係が悪い、長時間労働が常態化しているなど職場環境がよくない場合は、同業種への転職を検討しましょう。
同業種であれば前職でのキャリアを活かせるため、好条件で転職しやすいです。
転職先を検討する際は、求人情報のチェックはもちろんのこと、事前に職場訪問をして実際の雰囲気をみておくことをおすすめします。可能であれば口コミのチェックをしておきましょう。また、求人情報と労働条件が異なる場合もあるため、面接では休日数や時間外労働の有無など、労働条件の確認も大切です。
収入や待遇に不満がないなら焦らず様子をうかがう
給料や休日体制などに不満がない場合は、焦らずに様子をみるのもひとつの手段です。
給料や休日に不満がないということは、それなりにホワイトな職場で働いていることが予想されます。なんとなくやりがいが持てないなどの理由で転職をした結果、給料ダウンや休日数が減少してしまい「こんなはずじゃなかった」と転職を後悔する人もいます。
どうしてもやりたいことがある、職場の雰囲気が悪いなど明確な理由がある場合は別ですが、労働条件に不満がなく転職に対する明確な理由がなければ、一旦様子をみるほうがよいでしょう。
心身の不調が続く場合は早めに行動を
転職したい明確な理由がなくても心身の不調が続く場合は、仕事を休む、転職を視野に入れるなど、早めに行動しましょう。無意識のうちにストレスや疲労を溜め込んでいる場合があり、勤務を継続すると慢性疾患につながるリスクもあります。
長期的な将来を見据えた転職の検討を
嫌いな職場で働き続けると、心身を消耗してしまいます。
転職には労力が必要です。職場に退職の意思を伝えること、新しい職場を探して採用試験を受けること、どれも大変な作業です。しかし、大変だからといって決断を先延ばしにすると、気づいたら「こんなはずじゃなかった…」となってしまうかもしれません。
目の前の困難に尻込みする気持ちは理解できますが、長期的な将来を見据えてキャリアプランを検討する必要があります。
ひとりで決断するのが困難な場合は、転職エージェントへの相談も視野に入れましょう。第三者に相談することで考えが整理できたり、自力では見つけられないような好条件の求人に出会える可能性もあります。
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