新型コロナをきっかけに普及した「在宅ワーク」。以前は限られた職種でしか取り入れられていませんでしたが、現在ではさまざまな職種で取り入れられています。

この記事では、在宅ワークのメリットとデメリットについて詳しく解説します。在宅ワークに興味のある人はぜひご覧ください。

在宅ワークのメリット6選

在宅ワークのメリットを、代表的な6つに絞って解説します。

  • 移動時間が削減できる
  • 育児や介護と両立しやすい
  • 生産性向上につながる
  • 精神的ストレスが減る
  • 感染症対策になる
  • 人材確保につながる

移動時間が削減できる

在宅ワーク最大のメリットのひとつが、移動時間の削減です。電車や車での移動時間、身支度にかかる時間を考えれば、毎日数時間もの時間が浮きます。

その時間を有効活用することで、睡眠時間を確保したり、自己学習に充てたり、趣味を楽しんだり、自分のやりたいことに時間を費やすことができるようになります。

育児や介護と両立しやすい

従来のオフィスワークでは、育児や介護と仕事を両立させることは容易ではありませんでした。しかし、在宅ワークであれば、子どもの体調不良や急な介護が必要になった場合でも、柔軟に対応することができます。

自分のペースで仕事を進められるため、ワークライフバランスを保ちながら、家族との時間を大切にできます。

生産性向上につながる

オフィスでは、同僚との会話や来客対応、突発的な会議など、仕事に集中できない場面が少なくありません。一方、在宅ワークでは、周囲の雑音が少なく、自分のペースで仕事に取り組めるため、集中力が大幅に向上します。結果として、業務効率が上がり、生産性の向上につながります。

精神的ストレスが減る

通勤ラッシュのストレス、人間関係の悩み、オフィス内の騒音など、オフィスワークには様々なストレスが伴います。

在宅ワークでは、自宅というリラックスできる環境で仕事ができるため、精神的な負担が軽減されます。快適な環境で仕事をすることで、モチベーションの向上にもつながります。

感染症対策になる

新型コロナウイルス感染症の流行を機に、改めて注目を集めたのが、在宅ワークの感染症対策としての有効性です。

人と接触することがないため、オフィスで働くことに比べて、感染リスクを大幅に下げることができます。とくに基礎疾患を持つ人など感染症のリスクが高い人にとっては、安全な働き方と言えるでしょう。

人材確保につながる

在宅ワークは、企業にとってもメリットが大きい働き方です。通勤時間や場所の制約がないため、遠方に住む優秀な人材や、子育て中の女性、介護が必要な家族がいる人など、多様な人材を確保することができます。

これにより、人材の多様化が進み、企業の活性化にもつながります。

在宅ワークのデメリット4選

魅力的な働き方の在宅ワークですが、デメリットも存在します。

  • 仕事のオン・オフの切り替えが難しい
  • コミュニケーション不足になりやすい
  • 情報漏洩のリスクがある
  • 勤怠管理が難しい

それぞれ解説します。

仕事のオン・オフの切り替えが難しい

自宅がオフィスになると、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりがちです。

ソファでくつろいでいても、パソコンを開けばすぐに仕事モードに。気がつけば終日仕事をしている、という状況に陥りがちです。最近はスマートフォンで仕事のやり取りをすることも多いため、24時間仕事モードという極端なケースも珍しくありません。

メリハリのない生活は、心身に大きな負担をかけ、生産性の低下にもつながります。

コミュニケーション不足になりやすい

オフィスでは、同僚との会話やちょっとしたコミュニケーションを通して、仕事に対するモチベーションを維持したり、新たなアイデアを得たりすることができます。

しかし、在宅ワークでは、こうした機会が減ってしまうため、孤独感を感じたり、コミュニケーション不足によるミスや誤解が生じたりする可能性があります。

新人や若手では、上司や先輩に質問する機会も減ってしまうため、業務が滞ってしまうことも。自分から積極的にアクションを起こせる人でないと、経験が浅いうちは在宅ワークの弊害が発生するかもしれません。

情報漏洩のリスクがある

セキュリティの問題は在宅ワークの大きな懸念点です。

自宅で仕事をするということは、会社の機密情報を自宅に持ち込むということでもあります。自宅のインターネット環境は、オフィスに比べてセキュリティ対策が不十分な場合が多く、情報漏洩のリスクが高まります。

顧客の個人情報を取り扱う仕事では、万が一情報漏洩が発生したときの損害は甚大なものとなってしまいます。

勤怠管理が難しい

オフィスでは、出勤簿やタイムカードなどで勤怠を管理することができますが、在宅ワークでは、従業員の勤務状況を把握することが難しくなります。極端な話、仕事をしないでずっとサボることも可能です。

パソコンを介して作業状況を監視するシステムを導入している会社もありますが、そう簡単に取り入れられるものではないでしょう。そのため、従業員の自己申告に基づいた勤怠管理に頼らざるを得ず、信頼関係がより一層重要になります。

在宅ワークを成功させるポイント

在宅ワークを成功させるポイントは以下のとおりです。

  • 家の労働環境を整えておく
  • タスク管理ツールを活用する
  • 情報の取り扱いルールを定める

家の労働環境を整えておく

在宅ワークでは、自宅がオフィスになります。そのため、快適で集中できるワークスペースを用意することが重要です。労働環境を整えるポイントを以下にまとめました。

  • 専用の仕事スペースを作る::ダイニングテーブルやベッドで仕事をすると、仕事とプライベートの区別がつきにくく、集中力が途切れてしまいます。仕事専用のスペースを設けることで、オンオフの切り替えがしやすくなります。
  • 快適な椅子とデスクを用意する::長時間座って作業するため、体に負担をかけない椅子とデスクを選ぶことが大切です。
  • 照明や音環境を整える:集中できるような照明を選び、周囲の音が気になる場合は、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンなどを活用しましょう。
  • インターネット環境の整備:安定したインターネット回線は、スムーズな作業を行う上で不可欠です。

タスク管理ツールを活用する

在宅勤務では、自分でスケジュールを管理する必要があります。タスク管理ツールを活用することで、やるべきことを可視化し、効率的に仕事を進めることができます。

  • ToDoリストを作成する:毎日、または週ごとにToDoリストを作成し、優先順位をつけてタスクに取り組むことで、計画的に仕事を進めることができます。
  • プロジェクト管理ツールを活用する:大規模なプロジェクトの場合は、プロジェクト管理ツールを活用することで、進捗状況を可視化し、チームメンバーと情報を共有することができます。
  • 時間管理アプリを利用する:時間管理アプリを活用するなどし、時間を区切りましょう。休憩時間を取ることにより、集中力が高まります。

情報の取り扱いルールを定める

自宅で仕事をする場合、情報漏洩のリスクが高まります。そのため、情報の取り扱いルールを定め、セキュリティ対策を徹底することが重要です。

  • パスワード管理:複雑なパスワードを設定し、定期的に変更しましょう。
  • セキュリティソフトの導入:ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどを導入し、コンピューターを保護しましょう。
  • 外部ストレージの利用:業務で使用するデータは、外部ストレージに保存し、自宅のコンピュータに保存しないようにしましょう。
  • 情報漏洩対策に関する知識を深める:情報漏洩に関する研修を受講し、セキュリティ意識を高めましょう。

在宅ワークについてよくある質問

最後に、在宅ワークについてよくある質問をまとめました。

在宅ワークとテレワーク・リモートワークの違いは?

在宅勤務、テレワーク、リモートワークは、よく似た言葉として使われますが、厳密にはそれぞれ意味が異なります。

【テレワーク】

「テレ」は「遠隔」を意味し、「ワーク」は「働く」を意味します。

時間や場所にとらわれず、ICT(情報通信技術)を活用して働くことを指します。

在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスでの勤務など、様々な働き方が含まれます。

【リモートワーク】

「リモート」は「遠隔」を意味し、「ワーク」は「働く」を意味します。

テレワークとほぼ同義語として使われることが多く、時間や場所にとらわれず、ICTを活用して働くことを指します。

【在宅ワーク】

自宅で仕事を行うことを指します。

テレワークの一種であり、最も一般的な形態の一つです。

つまり、在宅ワークはテレワークやリモートワークの一種なのです。

「在宅ワークはずるい」と言われますが、ずるいのでしょうか?

結論からいうと、在宅勤務はずるくありません。

確かに、在宅ワークのメリットは、在宅ワークができない人からすると魅力的です。一部の職場では、育児中など特別な事情がある人だけ在宅ワークを許可されているなど、不公平な対応がされているケースもあるようです。

だからといって在宅ワークそのものがずるいわけではなく、不公平感を醸成する職場の体制に問題があるでしょう。

在宅勤務に向いている仕事は?

在宅ワークに向いている仕事の特徴には、以下のようなポイントがあります。

在宅ワークに向いている仕事の特徴
  • 場所を選ばずに作業できる
  • 一人で完結できる
  • 成果物が明確
  • コミュニケーションツールを活用できる
在宅勤務に向いている仕事例
  • IT系:プログラマー、システムエンジニア、Webデザイナーなど
  • クリエイティブ系:ライター、編集者、デザイナーなど
  • 事務系:データ入力、書類作成、経理など
  • コンサルティング系:オンラインコンサルティングなど
  • 営業系:テレワーク営業、オンラインマーケティングなど

在宅ワークのメリットデメリットを理解して自分らしく働こう

在宅ワークは、自由度が高くて魅力的な働き方です。一方で自己管理能力が求められたり、モチベーションの維持が難しかったりといった課題もあります。

在宅ワークができる環境にもかかわらず、あえてオフィスで働くことを選ぶ人もいます。在宅ワークのメリットとデメリットを理解し、自分の能力を発揮できる働き方を選ぶことが何よりも重要です。