キャパオーバーとは、和製英語のキャパシティオーバーをさらに略した言葉で、物事に対する処理能力や許容量を超えた状態のことをいいます。

男性の育児参加が当たり前になっている現在、仕事と家庭の負荷が高くキャパオーバーになっている人は少なくありません。

この記事では、キャパオーバーになりやすい男性の特徴やキャパオーバーが引き起こす悪影響、どのようにキャパオーバーを回避していくかを解説します。

ぜひ最後まで読んでください。

キャパオーバーになりやすい男性の特徴

キャパオーバーになりやすい男性のタイプは、一言でいうと「手放せない人」です。

現在子育てをしている世代の中心は30〜40代です。この世代は、学校でも家庭でも「やればできる」という根性論が残っていた世代。そこに「男性も育児参加を」という新たな価値観が到来し、「やればできる」とばかりに仕事も全力投球のまま、家事育児を背負い込んでしまう傾向にあります。

キャパオーバーになりやすい男性の特徴を、具体的にみていきましょう。

完璧主義

完璧主義は、キャパオーバーになりやすい特徴の代表といってもよいでしょう。

完璧主義そのものは悪いことではありません。しかし仕事も家事も手を抜かず、自分の理想通りに遂行しようと全力投球するのは考えものです。

「きちんとやらなければ」と、何事も自分の決めた水準に達さないと自分を許すことができず、ひたすら頑張り続けることは、キャパオーバーの状態を招いてしまいます。

責任感が強い

責任感が強い人もキャパオーバーになりやすいです。

責任感が強い人の、一度決めたことはやり遂げる姿勢は長所です。職場では多くの人から信頼を得ているでしょう。

しかし、キャパシティ以上の仕事を振られても、Noが言えずに休日出勤や時間外労働でやり遂げようとすることも多くあり、その結果キャパオーバーになる傾向にあります。

自分が我慢すればいいと思ってしまう

物事を荒立てたくない気持ちから「自分が我慢すればいい」と物事を抱え込むタイプの人も、キャパオーバーに注意が必要です。

時と場合によっては長所になりますが、解決しなくてはならない問題が発生した場合、問題を先送りにしがちです。

その結果頑張りすぎてしまい、キャパオーバーになってしまいます。

細かいことに気づきやすい

細かいことに気づきやすい、気が利くタイプの人は仕事でも家庭でも重宝されます。

しかしよく気がつくがゆえに、様々なことが気になってしまい、小さな労働の積み重ねで心身共に疲れてしまいます。

パートナーや周囲の人があまり気が利かないタイプだと、「どうして自分ばかり」という思いも生じてしまい、精神的にもフラストレーションが溜まることも少なくありません。

自分でも知らず知らずのうちにキャパオーバーになるのがこのタイプです。

周囲の目を気にする

周囲の目を気にする人は、他者から悪く思われないように、頑張り過ぎる傾向があります。

職場では率先して面倒ごとを引き受けてしまい、負荷が多すぎて家庭生活とのバランスが取れなくなるタイプです。

性格によるものなので改善が難しい面もありますが、思い当たる節がある人は注意しましょう。

優先順位をつけるのが苦手

優先順位をつけるのが苦手な人は、自分に降りかかってきたすべてのタスクを平等に処理しようとします。

激務かつ子育て中など、どう考えてもキャパオーバーを引き起こしそうなときに、独身時代と同じように物事を処理しようとすれば、キャパオーバーになるのは当然です。

キャパオーバーの兆候

キャパオーバーになっているときには、何らかの兆候があらわれます。自覚できることもあるし、他者から言われて気付くこともあるでしょう。

キャパオーバーの兆候について解説します。

凡ミスが増える

キャパオーバーになると、これまでミスをしなかったようなことでもミスが増えるようになります。

仕事では簡単な作業でミスをする、プライベートでは子供の行事を忘れるなど、日頃はしないようなミスをしてしまい、自己嫌悪に陥ることも。

それは自分の能力不足ではなく、体と心のSOSかもしれません。

公私のどちらか、もしくは公私共にミスが増えたときはキャパオーバーを疑いましょう。

イライラ・不安感がつきまとう

キャパオーバーになると、心身の余裕が低下します。いらだちや不安感などネガティブな感情が出やすくなり、自分の感情をコントロールしにくくなることも。

日頃は怒らないようなことで怒ってしまう、些細なことで落ち込んでしまうなど、心がネガティブに傾き始めたら、注意が必要です。

寝つきが悪くなる

キャパオーバーの状態が続くと、ネガティブな考え事が止まらなくなり、疲れているのに眠れなくなることがあります。

さらに、眠りに関することだけでなく、食欲がなくなる、反対に過食傾向になることもあります。

睡眠と食欲に関する症状は、厚生労働省のうつ病チェックにも項目として記載されているほど、健康において重要な要素です。

眠りについていつもと違う症状が2週間以上続く場合は、「これぐらい誰だって我慢している」などと思わずに、早急な休息、専門機関への相談を検討しましょう。

参考:佐賀県ホームページ|うつ病・不眠・アルコールについて正しく理解しましょう

キャパオーバーになりやすい状況

キャパオーバーになりやすいのは、環境の変化が生じたときです。

具体的には以下のような状況が考えられます。

  • 妻の育休復帰後
  • 昇進後
  • 子どもの環境が変わったとき

それぞれ解説します。

妻の育休復帰後

妻の育休復帰後は、男性にとっても大きな変化です。

妻も子どもも今までの生活スタイルがガラッと変わります。男性の家事育児負担が増えるだけでなく、慣れない生活で夫婦間のコミュニケーションが上手くいかないこともしばしば。

子どもが保育園に通っている場合、最初の頃は病気ばかりでろくに保育園に預けられないことも珍しくありません。父母のどちらかが仕事を休んで看病をするか、病児保育などを駆使して乗り切らなくてはならないため、家族全体に負荷がかかります。

その結果、妻も自分も余裕がなくなり、キャパオーバーを引き起こしやすい状況になってしまいます。

昇進後

昇進をきっかけにキャパオーバーに陥る男性も少なくありません。

とくに管理職に昇進した場合、部下のマネジメント業務など、慣れない業務をおこなう必要があります。

人に頼れない性格が強い場合、周りに相談することができずに1人で抱え込んでしまうことも。

「管理職だから」と自分に厳しいタイプの人は、キャパオーバーになりやすいでしょう。

子どもの環境が変わったとき

子どもが保育園に入園したとき、小学校に上がったときなど、子どもの環境が変わったときもキャパオーバーに要注意です。

子どもの環境が変わるということは、家庭における親の役割も少なからず変化します。慣れない提出物に慣れない生活リズム、最初の頃は親も要領がわからず、四苦八苦するでしょう。

慣れない環境で頑張る子どものケアもせねばならず、親にとっても試練のときです。

キャパオーバーが引き起こす悪影響

キャパオーバーは仕事の能率低下やパートナーとの関係悪化など、さまざまな悪影響を引き起こします。

どのような悪影響が想定されるか、具体的に解説します。

仕事の能率が悪くなる

過度なストレスにさらされたとき、思考がフリーズしてしまう経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

キャパオーバーに陥ると、集中力や思考力が低下し、仕事の能率が悪くなります。

とくにマルチタスクや、段取りを立てて要領よくタスクをこなすことが難しくなり、そのような状態に苛立ちやふがいなさを覚え、悪循環に陥ることも珍しくありません。

大切な人との関係が悪くなる

キャパオーバーになると、些細なことでイライラしたり感情のコントロールが効きにくくなります。

感情の切り替えが難しくなり、妻や子どもなど親しい関係の人に当たってしまうことも。

慢性的にイライラすることで家庭内の雰囲気も悪くなり、大切な人との関係が上手くいかなくなるケースも多くあります。

自分のコンディションを整える方法

キャパオーバーを自覚するときに重要なのは、心身のコンディションを整えることです。コンディションが悪い状態で策を打っても、おかしな方向にいくことが多いからです。

まずは落ち着いて、自分のコンディションを整えましょう。

状況を客観視する

自分の置かれている状況を客観視することは重要です。

キャパオーバーの渦中にいるときは、視野が狭くなり、今の苦しさがずっと続くような感覚を覚えます。しかし、現在の状況はずっとは続きません。状況は変化し続けます。

以下のように状況を客観視した上で、未来の見通しを立てることが重要です。

状況を客観視する例
  • あと2年経てば仕事でこれぐらいの経験を積めるから、〇〇の業務はできるようになっているだろう
  • 子どもの成長に伴って、子育て中の負荷(寝かしつけ、お風呂の世話など)も減るだろう

将来の見通しを立てることで行き詰まり感が軽減し、自己のコントロール力につながります。

意地でも自分の時間をつくる

過酷な状況でもキャパオーバーになりにくい人は、日々のストレスを逃がすのが上手です。

1日10分でも趣味の時間をつくることで、気持ちの切り替えになります。キャパオーバーになりにくい人は、スキマ時間で自分の趣味をするなど、とにかく自分の時間を持つのが得意です。

生真面目な人ほど「忙しいのに自分の時間なんて取れない」と思いがちなので、心身の健康維持に必要と割り切って自分の時間を持つことで、結果的にキャパーオーバーの状況を避けられます。

配偶者の理解も必要ですが、趣味のある人は趣味をする、1人でぼーっとする時間を作るなど、1日のどこかで自分の時間をつくるよう意識しましょう。

マインドフルネスを身につける

マインドフルネスとは、「現在」に焦点を当て、集中する状態を指します。もともと仏教から始まったものですが、最近ではメンタルヘルス分野でも注目されている技法です。

瞑想や呼吸法として取り入れられる他、日々の生活の中で意識的な注意を現在に当てる方法があります。

マインドフルネスを身につけることで、ストレス軽減や心身のリラックス効果があるため、自分自身のコンディションを整えるのに有効です。

参考:はしぐち脳神経クリニック|マインドフルネス

キャパオーバーを改善する方法

キャパオーバーを改善するためには、現状を変える必要があります。「でも」「だって」と理由をつけて問題を先送りにしていては、状況がよくなることはありません。

ここでは、キャパオーバーを改善する方法を解説します。キャパオーバーで悩んでいる人は、ぜひ取り入れてみてください。

抱えているタスクを明確にする

キャパオーバーの改善には、タスクを明確にすることが欠かせません。

人間は「わからない」ものを過大に恐れる傾向にあります。自分がやるべきタスクが明確になっていないと、実際よりも膨大なタスクを抱えているように捉えてしまうこともあります。

実際に膨大なタスクを抱えていたとしても、ひとつずつ明確にすることで、キャパオーバー状態の改善の一歩となるのです。

優先順位をつける

タスクを明確にしたら、緊急度の高いもの、重要度の高いものから順にタスクの優先順位をつけます。

たとえば、仕事におけるマイルール、家庭における細かい家事など、業務や命に支障のないものは優先順位を下げてもよいでしょう。

お金に余裕があるのであれば、家事の外注化を検討するのも効果的です。

キャパオーバーの状態で、今まで通りすべてのタスクを同列に扱っていたら、身がもちません。代替案が可能なものは代替案で乗り切る、優先順位の低いものはバッサリ切り捨てることも重要です。

職場環境を見直す

さまざまな対策をして、それでもキャパオーバーが改善しないのであれば、職場環境を見直すことも視野に入れましょう。

自分の状況を上司に相談して負荷を軽減してもらう、それがダメなら異動を願い出るなど、まずは自分の職場でできることをします。

それでも改善の見込みがない、そもそも相談できる雰囲気じゃなければ、転職を検討したほうがよいでしょう。

転職を検討するときに重要なことは、焦って転職先を決めないことです。今の状況から脱出したいあまりに、条件のよくない職場に転職しないよう「攻めの転職」を意識して、転職先を検討しましょう。

キャパオーバーを回避して幸せな人生を

仕事も子育ても求められる現代の男性は、過酷な環境に置かれています。

「イクメン」という言葉が登場して久しく、男性の育児参加は当たり前、さらに大黒柱としての責任も求められる場面もあり、男性にとっては過酷な社会風潮といえます。

さまざまな生き方が認められる現在において重要なのは、自分の生き方を自分で決めることです。自分は何が大切でどのように生きたいか、世間の風潮や雰囲気にとらわれずに、自分が心地よい生き方をキャッチできた人が幸せになる世の中になりつつあります。

仕事においても、オフィスに毎日出勤するのが向いている人はそのような働き方を選べばよいし、家庭にウェイトを置きたい人は調整できる働き方を選べばよいと思います。

とはいえ、まだまだ旧態依然とした働き方がデフォルトで、なかなか自分の理想の働き方にたどり着けない人も多いのではないでしょうか。

エムアイエスエージェントはフルリモートの仕事をはじめ、さまざまな働き方の案件を取り扱っています。自分に合った働き方をしたいけれど転職活動がうまくいかないと悩んでいるのであれば、お気軽にご相談ください。