AIという言葉を聞いたことがあるでしょう。最近ではChatGPTに代表される、対話型生成AIの普及で、誰でも簡単に文章を作ったり画像を作ったりできるようになりました。

AIの普及は、人手不足の解消策として大いに期待されています。ですが、人手不足が解消されるということは、AIによってなくなる仕事が発生することにもつながります。そのため、自分の将来に不安を感じている人も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、AIによってなくなる仕事となくならない仕事について解説します。

AIとは

AIとは人工知能(Artificial Intelligence)のことです。具体的には、人間の言葉の理解や推論などをコンピュータがおこなうことにより、さまざまな生成物ができるIT技術です。いわば、人間の知識の集合体ということになります。

もともとAIは、機械やプログラムを作る技術として、一部の技術者達に活用されていました。

「ChatGPTを使って小学生が宿題をやってくる」といったニュースもあるように、ChatGPTなど生成AIツールの普及により、AIツールは広く使われるようになっています。AIの研究やデジタル技術の発展により、あたかも人間が考え出したかのような高精度な文章が作れるようになっています。

もちろん、従来の使い方である、規則的な単純作業はAIのもっとも得意とする部分です。

AIによってなくなる仕事11選

「AIによってなくなる仕事」というとセンセーショナルに感じますが、AIによって徐々に需要が減ると予測される仕事を紹介します。

すぐになくなるわけではありませんが、従来の業務内容から変化する可能性が高い職種です。

  • ドライバー職
  • Webライター
  • 一般事務員
  • 警備員
  • 工場作業員
  • 薬剤師
  • 建設作業員
  • 鉄道運転士
  • スーパー・コンビニのレジ係
  • ホテルのフロント係
  • 銀行員

ドライバー職

自動運転技術の進歩により、近い将来、多くの車が自動運転化されることが予想されています。そのため、タクシーやトラックなどのドライバー職は、AIによる自動運転車の普及によって大きく減少する可能性があります。

まだ技術課題はあるものの、自動運転技術の発達と共に、自動運転車が普及すれば、交通渋滞の緩和や事故の減少にもつながると期待されています。

Webライター

AIは、文章生成能力が飛躍的に向上しており、Web記事やブログ記事などをあたかも人間が書いたような文章で作成できるようになっています。

とくに、Web上の情報を参考にした記事やニュース記事などは、AIが人間よりも効率的に作成することができます。AIが生成した記事は、すでに一部のメディアで活用されており、今後もその利用範囲は広がっていくと予想されます。

一般事務員

RPA普及により、データ入力や書類作成など、定型的な事務作業は自動化が進んでいます。AIは、膨大なデータを高速で処理し、正確な結果を出力することができるため、一般事務員がおこなっていた多くの業務が、AIに置き換えられる可能性があります。

警備員

AIを搭載した監視カメラやセキュリティシステムの導入が進んでいます。これらのシステムは、人間の警備員よりも広範囲を監視することができ、異常な状況を早期に検知することができます。

また、顔認識技術の発展により、不審者の侵入を事前に防ぐことも可能になります。

工場作業員

製造業では、ロボットによる生産ラインの自動化が進んでいます。ロボットは、人間よりも高い精度とスピードで作業を行うことができ、不良品の発生を抑制することができます。

また、危険な作業をロボットに任せることで、労働災害のリスクを軽減することも可能です。

薬剤師

専門性の高い薬剤師の業務も、AIに代替される部分が多いでしょう。

AIは、膨大な医療情報を分析し、最適な治療法を提案することができるため、薬剤師医薬品の調剤や服薬指導の一部は、AIでも実施可能です。

ヒアリングの部分では人間に軍配があがるため、薬剤師の業務が完全になくなることは考えにくいですが、多くの業務がAIに置き換えられる可能性があります。

建設作業員

建設現場では、ロボットによる作業が導入され始めています。建設ロボットは、重たい資材を運搬したり、建物を組み立てたりするなどの作業を自動で行うことができるため、建設作業の効率化と安全性向上に貢献することが期待されています。

定型作業はAIが実施し、繊細な作業など人の目や技術が必要な部分のみを、人間が実施するという未来は遠くないでしょう。

鉄道運転士

鉄道業界では、自動運転列車の導入が進んでいます。自動運転列車は、人為的なミスによる事故を防ぎ、運行の安定性を高めることができます。

また、AIを活用することで、列車の運行状況をリアルタイムで把握し、より効率的な運行計画を立てることも可能です。

スーパー・コンビニのレジ係

スーパーやコンビニでは、すでにセルフレジの導入が進んでいます。セルフレジの普及によって、人手不足解消に貢献するだけでなく、顧客の利便性も向上しました。

AIを活用したレジシステムが発達すると、在庫管理だけではなく商品の品出しなども自動でできるようになることが予測されます。

ホテルのフロント係

ホテルのフロント業務も、AIによって自動化が進んでいます。チェックイン・アウトの手続きも精算機でおこなうことができるようになったため、フロント人員の削減が可能です。最近では顔認識技術を活用することで、キーカードの代わりに顔認証で入室できるシステムも登場しています。

Webサイト上のAIチャットボットは、宿泊客からの問い合わせに24時間365日対応することができるため、問い合わせへの応対業務も削減できるようになりました。

銀行員

銀行業務の多くは、AIによって自動化が進んでいます。AIは、顧客の金融情報を分析し、最適な金融商品を提案することができます。

また、AIチャットボットは、顧客からの問い合わせに迅速に対応し、口座開設や振込などの手続きをサポートすることができます。

AIによってなくならない仕事11選

AIが発達してもなくなる可能性の低い仕事も紹介します。「AIを動かす側」の仕事と「人であることに意味がある」仕事の2種類に大別できるでしょう。

  • ITエンジニア
  • データさうえんてぃすと
  • 営業職
  • コンサルタント
  • アーティスト・クリエイター
  • カウンセラー
  • 医師
  • 看護師
  • 介護士
  • 教師
  • 保育士

ITエンジニア

AIの開発や運用には、高度な専門知識と技術が必要となります。AIのアルゴリズムを設計し、新しいシステムを開発したり、既存のシステムを改善したりする仕事は、今後もITエンジニアに求められるでしょう。

AIの進化に伴い、新たな技術やツールの習得が不可欠となりますが、ITエンジニアは常に新しい技術に挑戦し、社会の発展に貢献することができます。

データサイエンティスト

AIの学習には、大量のデータが必要となります。データサイエンティストは、これらのデータを収集、分析し、AIモデルの開発に貢献します。また、分析結果に基づいてビジネス戦略を立案したり、社会問題の解決に貢献したりすることも求められます。

データサイエンティストは、統計学やプログラミングスキルだけでなく、ビジネス感覚や問題解決能力も必要とされる、高度な専門職です。

営業職

営業職は、顧客との対話を通じてニーズを把握し、最適な製品やサービスを提供する仕事です。

顧客の感情を理解し、信頼関係を構築することはAIには難しいことです。また、複雑な交渉事や、顧客の要望に合わせたカスタマイズなど、臨機応変な対応が求められる場面も多くあります。

コンサルタント

コンサルタントは、クライアントが抱える問題を分析し、最適な解決策を提案する仕事です。問題の本質を見極め、多様な視点から解決策を導き出すためには、高い分析力と創造性が必要です。数値から導き出される最適解を提供すればよいと考える人もいますが、人の行動は常に合理的とは限らないため、定性的な状況把握の必要度が下がることはないでしょう。

コンサルタントが介入する部分は、財務状況など会社経営において非常にセンシティブな部分となります。そのため、クライアントとの信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションを取ることも重要です。

アーティスト・クリエイター

アーティスト・クリエイターは、独自の視点や感性で作品を生み出す仕事です。AIは、画像生成や音楽作曲など、クリエイティブな分野でも活用されていますが、人間の持つ独創性や感情、そして社会に対する深い理解に基づいた作品を生み出すことはできません。

確かにAIの作る作品はある程度のクオリティがあります。しかし、人々の琴線に触れる作品をつくることができるのは、やはり人間だといえるでしょう。

カウンセラー

カウンセラーは、クライアントの悩みを聞き、心のサポートを行う仕事です。クライアントの感情に共感し、傾聴することは、AIには難しい高度なコミュニケーション能力です。

クライアントは「誰かに話す」行為そのもので癒されます。生身の人間が親身に話を聞くことそのものにも価値があるため、ロボットが代替するのは難しいでしょう。また、倫理観に基づいた対応が求められ、専門的な知識や経験も必要となります。

医師

医師は、患者の病気を診断し、治療計画を立てる仕事です。高度な医療知識と判断力が必要であり、患者とのコミュニケーション能力も求められます。

AIは、医療画像の診断や薬の開発など、医療の現場で活用されています。AIの普及により、内科医の仕事が激減するとの見方もありますが、人間の身体の診察は、画像と検査データだけでおこなうものではありません。視診や触診、表情の観察など、総合的な所見をもとに診断する必要があるため、最終的な診断や治療は、人間の医師がおこなうことに変わりはないでしょう。

看護師

看護師は、患者の状態を観察し、医師の指示のもとで治療を行います。患者へのケアだけでなく、精神的なサポートも重要な役割です。

AIは、患者のバイタルデータを収集し、異常を検知するなどの補助的な役割を果たすことができますが、患者の状況を総合的に判断し、身体的・精神的に適切なケアを提供するのは、人間の看護師の役割です。

介護士

介護士は、高齢者や障害者の日常生活をサポートする仕事です。患者とのコミュニケーション能力だけでなく、共感力や思いやりの心も求められます。

AIは、介護の負担を軽減するためのツールとして活用されていますが、人間ならではの温かみや共感が求められる場面も多くあるため、AIにより介護の仕事がなくなることは考えにくいでしょう。

教師

教師は、生徒に知識や技能を教え、人格形成を支援する仕事です。生徒一人ひとりの個性や能力を理解し、適切な指導を行うためには、高いコミュニケーション能力と観察力が必要です。

AIは、学習内容の個別化や評価に活用できますが、生徒のモチベーションを高め、学習意欲を引き出すためには、人間の教師の役割が重要です。

保育士

保育士は、子どもたちの成長をサポートし、安全な環境を提供する仕事です。子どもたちの感情に共感し、個々の成長に合わせた丁寧なケアが必要となります。

AIは、保育の補助的な役割を果たすことができますが、子どもたちの心の成長を促すためには、人間の保育士の役割が不可欠です。

AIによってなくなる仕事の特徴

AIによってなくなる仕事の特徴を以下にまとめました。

単純作業の繰り返し

AIは、人間が長時間行う単純作業を非常に得意としています。たとえば、製造業における製品の組み立てや検査、物流倉庫での商品の仕分けなど、決まった手順を繰り返す作業は、すでにロボットやAIによって自動化が進んでいます。

AIは、人間よりも高い精度とスピードで作業をおこなうことができるため、単純作業の多くはAIに置き換えられる可能性が高いです。

定型的な業務 

データ入力や書類作成、会計処理など、ルールに基づいた定型的な業務も、AIが得意とする分野です。AIは、膨大なデータを高速で処理し、正確な結果を出力することができます。

また、RPA(Robotic Process Automation)とよばれるソフトウェアを用いることで、人間がやっていた単純な事務作業を自動化することができます。

※RPA…ロボティック・プロセス・オートメーションのことで、ロボットによる自動業務化を指す

予測可能性の高い業務

AIは過去のデータからパターンを学習し、将来を予測することが得意です。そのため、予測可能性の高い業務はAIに代替される可能性が高いです。

たとえば、金融業界におけるリスク評価や、小売業における需要予測などが挙げられます。AIは、大量のデータを分析し、より正確な予測を行うことができるため、人間の判断を補完したり、代替したりすることが期待されています。

身体的な単純労働

重いものを持ち上げたり、危険な作業を行ったりするような肉体労働も、AIやロボットに置き換えられる可能性があります。建設業や農業など、身体的な負担が大きい仕事は、AIの導入によって労働環境が改善されることが期待されています。

また、物流業界では、自動運転トラックやドローンによる配送がすでに実用化されており、将来的には人間のドライバーが不要になる可能性も考えられます。

コミュニケーションが少ない仕事

AIは、自然言語処理技術の発展により、人間との会話がますます自然なものになってきています。そのため、人間との対話が限定的な仕事は、AIに代替される可能性があります。例えば、コールセンターのオペレーターや受付業務などが挙げられます。

AIチャットボットは、顧客からの問い合わせに24時間365日対応することができ、人間のオペレーターの負担を軽減できるでしょう。

まとめ

テクノロジーの発達は、人間の仕事に変化をもたらします。電話交換手やエレベーターガールなど、テクノロジーの発達によって見なくなりました(エレベーターガールは一部の百貨店などで活躍しています)。

いつの時代も人々の仕事内容は変化します。テクノロジーの発達に怯えるのではなく、時代の流れを読み、生き残れる働き方を考えて動くことが重要です。AIは脅威ではなく、人々の暮らしを豊かにするツールです。AIを脅威として捉えるのではなく、AIと共存する視点で、仕事や生活に取り組みましょう。