母子家庭で頑張っているシングルマザーの中には「仕事を辞めたい」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
辞めたい気持ちが強くなったら冷静ではいられなくなり、今すぐにでも退職届を出したくなってしまうかもしれません。
でもちょっと待ってください。多くのシングルマザーが辞めたい気持ちにまかせて仕事を辞めて後悔しています。
仕事を辞めるのは悪いことではありませんが、計画的な辞め方が必要です。
この記事では、ひとりで家庭を支えるシングルマザーが「仕事辞めたい」と思ったときの対処法を解説します。
シングルマザーが仕事を辞めたいと思う理由5つ
シングルマザーが仕事を辞めたいと思う理由はさまざまです。ここでは代表的な5つの理由を紹介します。
- 時間的な余裕不足
- 経済的に厳しい
- ストレスと体力の限界
- 職場の人間関係
- 子どもの体調不良などで休むときの心苦しさ
時間的な余裕不足
シングルマザーは本当に忙しいです。仕事に家事、育児、突発的な仕事…自分の時間なんてほとんど取れないシングルマザーは多いのではないでしょうか。
ただ忙しいだけではなく、子どもとの時間を取れない、忙しすぎてイライラしてしまうといった悩みは、多くのシングルマザーが抱えています。
子どものことを思って頑張るシングルマザーほど空回ってしまう現状があります。
経済的に厳しい
こども家庭庁の調査によると、母子家庭の平均年間就労収入は約236万円です。手当等を含んだ年間収入も273万円と決して高いとはいえず、経済的に厳しい生活を強いられていることがわかります。
参考:こども家庭庁|令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要
生活のために働かなくてはいけないものの、低賃金や長時間労働に悩まされるケースも少なくありません。
「子どもに満足のいく教育を受けさせられるだろうか」「生活は大丈夫だろうか」といった漠然とした不安が、心に影を落とします。
ストレスと体力の限界
仕事と育児の両立は、想像以上に大きな負担です。子どもの急な病気や学校行事への対応など、突発的な出来事に対応しなければいけないことも多く、精神的なストレスは常に付きまといます。
また、日々の忙しさから睡眠不足や栄養バランスの乱れなど、生活習慣が乱れがちになることも、心身に大きな負担をかけます。心身ともに疲弊し、体調を崩してしまうシングルマザーも少なくありません。
職場の人間関係
シングルマザーに限ったことではありませんが、働く上で職場の人間関係がストレスになるケースは非常に多いです。
シングルマザーの場合、家に帰っても忙しすぎたり気軽に相談できる相手がいなかったりと、ストレスを抱え込みやすい状況にあります。
また、職場によっては子どもの行事で仕事を休む場合などに、周囲から冷たい目で見られることも。
職場の人間関係は、働く上で非常に重要です。
子どもの体調不良などで休むときの心苦しさ
シングルマザーはひとりで子育てをしているため、子どもの体調不良など、突発的な原因で仕事を休まざるを得ないことがあります。祖父母が近くにいるなどサポート体制が整っているケースもありますが、近くに親がいない場合などは自分ひとりで対応しなくてはいけません。
とくに子どもが小さいうちは体調を崩しやすく、保育園からお迎えの電話がかかってくることもしばしば。度重なる早退や休みで、周りに迷惑をかけているのではないかと申し訳ない気持ちを抱えているシングルマザーも多くいます。
シングルマザーが仕事を辞める前にするべきこと
仕事を辞めたいと思うとき、今の職場に何らかの不満があることが予想されます。しかし感情だけで動いてしまうと、後々後悔しかねません。
ここでは、シングルマザーが仕事を辞める前にするべきことを紹介します。
- まずは身体を休める
- 優先事項の見直しをする
- 家事の省力化を図る
- 辞めたい理由を明確にする
- 必要な収入を洗い出す
- ひとり親家庭が使える制度を調べる
- 長期的なキャリアや将来性を考える
- 次が決まってから仕事を辞める
まずは身体を休める
人は心身共に疲れているとき、悲観的になりやすいです。もしかしたら疲れが溜まり過ぎて冷静さを失っているのかもしれません。
まずは、無理せず休養を取り、心身をリフレッシュすることが大切です。
心身がリラックスすることで、冷静に状況を判断できるようになり、本当に仕事を辞めるべきか別の方法があるのか、客観的に考えられるようになるでしょう。
優先事項の見直しをする
仕事を辞めたいと考える背景には、さまざまな理由があるはずです。まずは、なにが自分にとっていちばん重要なのか、優先順位を見直してみましょう。
子どもの成長を近くで見たいのか、経済的な安定を重視したいのか、それとも自分の時間をもっと増やしたいのかなど、今の自分にとって何が大切なのかを明確にすることで、後悔のない決断につながります。
家事の省力化を図る
シングルマザーは家事の省力化を図りましょう。
毎日やらなくてはいけない家事。シングルマザーはひとりで家事を担うケースが多く、その負担が大きいことは容易に想像できます。
家事の省力化を図ることで、負担軽減につながり、心身にゆとりが生まれます。生協などの宅配サービスや、家事の外注サービスなどを駆使し、なるべく負担を減らすようにしましょう。
金銭的な面で難しいこともあるかもしれませんが、できることから取り入れてみませんか。
辞めたい理由を明確にする
仕事を辞めたいと考える理由は人それぞれです。なぜ仕事を辞めたいのか、その理由を具体的に書き出してみましょう。
たとえば「仕事が忙しすぎて子どもとの時間が取れない」「人間関係がうまくいかない」「収入が安定しない」など、具体的な理由を書き出すことで、問題の本質が見えてくるかもしれません。
必要な収入を洗い出す
仕事を辞めることを検討し始めたら、まずは必要な収入を洗い出しましょう。月々の生活費はもちろんのこと、子どもや老後のための貯金、車必須地域に住んでいる人は車の買い替え費など、必要と思うお金をすべて明確にします。
「多分このくらいの収入で大丈夫だろう」と、今よりも給料が下がる職場に転職して、経済的に困窮するケースが後を絶ちません。具体的な金額を洗い出すことが重要です。
ライフプランナーに相談すると、専門的な視点からアドバイスをもらえます。お金のことが苦手な人は、相談するとよいでしょう。
ひとり親家庭が使える制度を調べる
ひとり親家庭が使える制度をフル活用できていないシングルマザーは多いです。制度はみずから情報を取りにいかなければならないことが多く、自分で動かなければ活用までたどり着けないことがあるからです。
児童扶養手当以外にも、住宅費や医療費の減免など、さまざまな制度があります。自治体によって制度が異なるため、自分が住んでいる自治体のWebサイトで調べてみましょう。
長期的なキャリアや将来性を考える
仕事を辞めた場合と辞めない場合の長期的なキャリアについても考える必要があります。
たとえば今の職場に入って経歴が長い場合、転職するとキャリアがリセットされることもあります。また、公務員や体制の整っている企業であれば、昇進によるキャリアアップや収入アップも見込めるでしょう。
反対に、今の職場でキャリアアップがのぞめない場合、転職をきっかけにキャリアが開けることもあります。
今の自分の状況を客観的にみて判断するようにしましょう。
シングルマザーが仕事を辞めるときの注意点
シングルマザーが仕事を辞めるときの注意点を紹介します。
- 次が決まってから仕事を辞める
- 目先の条件だけで判断しない
- 通勤時間を考慮する
次が決まってから仕事を辞める
シングルマザーが仕事を辞める際は、経済的な安定を確保するためにも、次の仕事が決まってから退職することを強くおすすめします。
シングルマザーの転職失敗で多いのが、次の仕事を決めないまま退職してしまい、経済的に困窮してしまうことです。今の辛さから脱出するために勢いで仕事を辞めてしまい、思うように再就職できずにブラック企業に入社してしまう、という悪循環に陥ることも。
辛い環境から一刻も早く逃げたい気持ちは理解できます。しかし、辞めて一時的に楽になっても、また同じ苦しみの繰り返しにならないように、退職は計画的に実行しましょう。
目先の条件だけで判断しない
新しい仕事を選ぶ際は、給料や勤務時間など、目先の条件にばかり目が行きがちです。しかし、勤務時間や福利厚生、育児との両立が可能かなどの視点も大切です
また、職場の人間関係や会社の雰囲気も、働きやすさに大きく影響します。自分だけで情報収集が難しいときは転職エージェントを活用するのもひとつの手段です。
通勤時間を考慮する
仕事を選ぶ際に見逃しがちなのが通勤時間です。
大まかな通勤時間をチェックする人は多いですが、通勤時間帯の混雑具合や、車通勤であれば駐車場の有無や運転のしやすさなどもしっかり把握する必要があります。「片道20分で着くと思っていたのに、通勤ラッシュで50分かかってしまう」ということも珍しくありません。
子どもが保育園に通っている場合は、保育園と職場の移動時間も考慮しましょう。
シングルマザー向け仕事の選び方
シングルマザーが転職をするとき、仕事選びで考慮すべき点を解説します。すべてを叶える職場はありませんが、自分が何を重要視するか、考えながら読んでみてください。
- 在宅勤務ができる
- フレックスタイム制度やテレワークなどが推奨されている
- 有給休暇が取りやすい
- 保育園や幼稚園併設が併設されている
- 福利厚生や子育て支援が充実している
- フリーランスやパートも視野に入れる
在宅勤務ができる
シングルマザーにとって、在宅勤務は非常にメリットが大きいでしょう。
通勤時間や場所の制約がなく、自分のペースで仕事を進めることができることから、子どもの世話や急な病気にも対応しやすく、オススメできます。
ただし、在宅勤務では自己管理能力が求められます。集中できる環境作りや、メリハリのある働き方が重要です。
フレックスタイム制度やテレワークなどが推奨されている
フレックスタイム制度やテレワーク制度を導入している企業では、柔軟な働き方が可能です。休みを取ることなく、時間調整ができるため、子どもの行事への参加などがしやすくなります。
そもそもフレックスタイム制度や手でワークを推奨している会社は、風土として社員のワークライフバランスを大切にしていることが多いため、シングルマザーでも働きやすいでしょう。
有給休暇が取りやすい
有給休暇が取りやすい職場は、シングルマザーにとって非常にありがたい存在です。シングルマザーは子どもの急な病気や学校行事など、有給休暇を取らざるを得ない場面が多くあります。
有給休暇の取りやすさは働きやすさに大きく影響するため、重要なポイントです。
保育施設が併設されている
企業によっては、社内に保育施設を併設しているところがあります。このような企業では、通勤時間や送迎の負担を軽減することができるでしょう。
また、子どもを預ける場所を探す手間が省けるというメリットもあります。転職を検討している企業に保育施設が併設されている場合は、選択肢に入れましょう。
フリーランスやパートも視野に入れる
正社員だけでなく、フリーランスやパートといった働き方も検討してみましょう。正社員と比較して柔軟に働くことができます。
ただし、収入が安定しないというデメリットもありますので、事前にしっかりと計画を立てておくことが重要です。
シングルマザーにおすすめの仕事
シングルマザーでも働きやすく、おすすめできる仕事を紹介します。
- ITエンジニア
- Webデザイナー
- Webライター
- SNS運用
- オンライン講師
- 動画編集者
- 事務職
- 介護職
- 保険外交員
- 看護師
- 保育士
ITエンジニア
ITエンジニアは、高い専門性と需要があり、高収入が期待できる職業です。特に、プログラミングスキルは、一度身につければ長く役立つため、将来性も高いといえるでしょう。また、多くの企業がリモートワークを導入しており、場所を選ばずに働くことができます。
ただし、キャリアアップには高度な知識やスキルが必要となるため、自主的に勉強し続ける必要があります。
Webデザイナー
Webデザイナーは、ウェブサイトのデザインや制作を行う仕事です。デザインスキルやHTML、CSSなどの知識が必要ですが、自分のセンスを活かしてクリエイティブな仕事ができます。
近ごろは、オンライン学習サービスやスクールも充実しており、未経験からでもWebデザイナーになることが可能です。
Webライター
Webライターは、企業のウェブサイトやブログ記事を作成する仕事です。文章力や情報収集力、そして興味のある分野の知識があれば、誰でも始めることができます。
在宅ワークとしても多く採用されており、育児との両立もしやすい点が魅力です。
最初は思うように収入が得られないかもしれませんが、実績を積み上げることで収入アップにつながります。
SNS運用
SNS運用は、企業のSNSアカウントの運用や、インフルエンサーマーケティングなどを担当する仕事です。最新のトレンドに敏感で、コミュニケーション能力が高い人が向いています。
SNS運用は、比較的自由な働き方ができるため、育児との両立もしやすいでしょう。
オンライン講師
オンライン講師は、オンラインで自分のスキルや知識を教える仕事です。語学、プログラミング、音楽など、様々な分野でオンライン講師の需要があります。
自分のペースで働くことができ、成功すれば収入も安定しやすい点が魅力です。自分でアピールしていかないと仕事につながらないため、いかに自分を魅力的に見せるか、自己プロデュース能力も必須です。
動画編集者
動画編集者は、YouTubeや企業のPR動画などを編集する仕事です。動画編集スキルはもちろん、企画力やクリエイティビティも求められます。
在宅ワークとしても多く採用されており、自分の好きな時間に働くことができます。
事務職
事務職は、未経験でも就業しやすく、比較的安定した収入が得られ、働きやすい仕事です。データ入力や書類作成、電話対応など、様々な業務があります。
事務職にはさまざまな種類があり、一般事務や営業事務、医療事務、どれも人気の高い職種です。
介護職
介護職は、高齢者や障害者の生活をサポートする仕事です。人の役に立てるというやりがいを感じられる一方で、収入を増やすには夜勤やシフト勤務が必要になるなど、体力的にハードな仕事でもあります。
無資格でも働けますが、介護福祉士などの資格を取得すると収入アップやキャリア形成に役立ちます。
保険外交員
保険外交員は、お客さまに合った保険商品を提案し、契約を結ぶ仕事です。人とのコミュニケーションが好きで、目標達成意欲が高い人に向いています。
ノルマがあるため、精神的に大変な面もありますが、高収入が期待できる仕事です。
看護師
看護師は専門性が高く、安定した収入と社会的な地位が得られるため、シングルマザーに人気の高い仕事です。ひとり親になったのをきっかけに看護学校に入学する人も多くいます。
国家資格であり、転職がしやすいのも人気の理由です。
夜勤や休日出勤がある場合もありますが、多くの病院で育児と仕事を両立するための支援制度が整っています。
保育士
保育士も、シングルマザーにおすすめの仕事です。国家資格であり安定した収入が得られることや、職場に女性が多く、子育ての理解が得られやすいことが人気の理由です。
子どもが好きで、人に貢献したいという気持ちを持っている人に向いています。
資格取得が必要ですが、資格取得支援制度がある保育園もあり、無資格でも従事できる「保育補助者」からのステップアップも可能です。
まとめ
母子家庭でも笑顔で楽しく過ごすためには、母親の仕事選びは非常に重要です。それぞれの家庭状況や価値観で、重要になるポイントは変わってきますが、お母さんのストレスが少ないことは、何よりも重要です。
状況を客観的に把握し、自分の価値観と照らし合わせて、後悔のない選択をしてほしいと思います。