SESで働く人にとって、待機期間は避けられない現実です。待機期間中の給与や雇用状態について、不安を感じている人も多いはず。

この記事では、SESの待機期間について詳しく解説します。

SESの待機期間とは

SESの待機期間はエンジニアとして働く中で珍しくありません。待期期間はどのような状況になるのか、確認しましょう。

次の常駐先が決まるまでの期間

SESの待機期間とは、ある会社での仕事が終わった後、次の仕事先・常駐先が見つかるまでの期間のことです。この期間中、SES会社や営業の担当者が新しい常駐先を探しています。

エンジニアはその間、自社オフィスや自宅で待機することになります。数日から数週間、場合によっては数ヶ月に及ぶこともあり、待機期間の長さは様々です。

SESエンジニアにとって、この待機期間をどう過ごすかが重要になってきます。

自社・自宅で待機している期間

SESの待機期間中、エンジニアは主に自社オフィスか自宅で過ごすことになります。自社待機の場合、オフィスに出勤して社内業務や自己学習に取り組みます。

一方、自宅待機の場合は、自宅でオンライン学習やスキルアップ活動を行います。

どちらの場合も、次の常駐先が決まるまでの「待機」状態です。待機中も給与は支払われますが、その額は会社によって異なります。

SESの待機期間が発生するケース

待機期間は突然やってくることがあります。事前に待期期間が発生するケースを知っておき、待機期間に対する心の準備をしておきましょう。

急に契約が終了した

SESの待機期間が発生する一つのケースは、契約期間が残っているのにもかかわらず、常駐先との契約が急に終了した場合です。

例えば、クライアント企業のプロジェクトが予定より早く終わったり、予算の都合で契約を打ち切られたりすることがあります。このような突然の契約終了は、SESエンジニアにとって予期せぬ事態です。

SES会社は迅速に次の常駐先を探しますが、すぐには見つからないこともあります。その間、エンジニアは待機状態となり、次の仕事が決まるまで待つことになります。

次の常駐先が決まっていない

SESの待機期間が発生するもう一つのケースは、現在の常駐先での契約が終了する予定が決まっているにもかかわらず、次の常駐先がまだ決まっていない場合です。

SES会社や営業担当者は通常、契約終了前から次の案件を探し始めますが、タイミングによりエンジニアの希望やスキルセットとマッチする案件が見つからないこともあります。

また、クライアント企業との条件交渉に時間がかかることもあります。このような場合にも、エンジニアは一時的に待機状態になります。

研修後の常駐先が見つからない

新卒や未経験からSESに入社した場合、最初に研修期間があります。この研修が終わった後、すぐに常駐先が見つからないケースもSESの待機期間の1つです。

研修で基本的な技術力を身につけていたとしても、実務経験がないためにクライアント企業のニーズとマッチしにくいことがあります。

また、市場の需要と供給のバランスによっては、新人エンジニアの配属先を見つけるのに時間がかかることもあります。このような場合、研修終了後から実際の常駐先が決まるまで待機期間が発生します。

SESの待機期間が発生する理由は?

SESの待機期間が発生する理由を知ることで、待機期間を減らすための対策を立てられます。実は、待機期間には様々な要因が絡んでいます。

SES会社の営業力不足

エンジニアのスキルがいくら高くても、SES会社の営業力が不足しているとスキルを活かせる案件を見つけられず待機状態になってしまいます。

営業力の弱いSES会社では、新規クライアントの開拓や既存クライアントとの関係維持が十分にできず、常に案件を確保することが難しくなります。

また、市場のニーズを正確に把握できていないと、エンジニアのスキルセットと案件のミスマッチが起こりやすくなります。結果として、エンジニアの待機期間が長くなってしまう可能性があるのです。

エンジニアのスキル不足

IT業界では技術の進歩が速く、常に新しいスキルが求められます。そのため、エンジニアのスキル不足は待期期間が発生する大きな原因の1つです。

もし、エンジニアが市場で求められているスキルを持っていなければ、案件とのマッチングが難しくなります。

例えば、古い言語しか使えない場合や、最新のフレームワークに対応できない場合、また、コミュニケーション能力やプロジェクト管理スキルなどが不足している場合も例外ではありません。このようなスキルのギャップが、待機期間を長引かせる原因となります。

SES面談への準備不足

SES面談は、クライアント企業とエンジニアのマッチングを確認する重要な機会です。しかし、この面談の準備が不十分だと、良い印象を与えられず、案件を逃してしまう可能性があります。

例えば、自分のスキルを適切にアピールできない、クライアント企業やプロジェクトについての理解が浅い、質問への回答が的確でないなどの状況に陥るかもしれません。

また、面談でのマナーや態度も重要です。これらの準備不足が原因で面談に落ちてしまうと、次の案件が見つかるまで待機期間が続くことになります。

待機期間中の給与

待機期間中、多くのエンジニアが気になるのが給料の問題です。

常駐先での仕事がない状態で給与はもらえるのか、それとも支給されなくなるのか。実は、待機期間中の給与は会社によって様々です。

社内待機の場合

SESの待機期間中、社内勤務の場合は、通常基本給が支払われます。ただし、常駐時の80%や70%といった具合に、支給額が少なくなることが多いです。

社内待機中は、オフィスに出勤して社内業務や自己学習に取り組みます。中には、常駐時と変わらない給与を支払う会社もありますが、これはまれなケースです。

一方で、基本給のみ支給され手当がカットされたり、最低賃金程度まで減額されたりする会社もあります。

社内待機の給与条件は入社時の契約内容に明記されていることが多いので、確認しておきましょう。

自宅待機の場合

自宅待機の場合の給与は、社内待機よりもさらに減額されることが多いです。自宅待機では、オフィスに出勤する必要がないため、交通費などの諸手当がカットされます。

給与額は会社によって大きく異なり、基本給の60%程度から、最低賃金レベル、さらには無給までと様々です。中には、有給休暇を消化させる会社もあります。

自宅待機中も、オンライン学習やスキルアップ活動が求められることが多いですが、その取り組み状況によって給与が変動する場合もあります。

自宅待機の給与条件も契約書に明記されているはずなので、事前に確認しましょう。

待機期間中のSESでの業務は?

SESの待機期間中、何もせずに過ごすわけではありません。多くのSES会社では、待機中のエンジニアに対して何らかの業務や活動を求めます。これは、エンジニアのスキル維持・向上を図りつつ、次の案件に備えるためです。具体的に待機期間中にどのような業務があるのか見ていきましょう。

社内の雑務

社内待機の場合によくあるのは、社内の雑務を任されることです。これには、社内システムの保守・管理、社内文書の整理、新入社員のサポート、社内イベントの準備など、様々な業務が含まれます。

また、他の部署からの依頼で簡単なプログラミング作業を行うこともあります。これらの雑務は、直接的な収益にはつながりませんが、会社の運営をサポートする重要な役割を果たします。

エンジニアにとっては、異なる種類の業務経験とスキルを身につけられるよい機会です。

eラーニングなどの自習

多くの会社が次案件への備えとスキルアップのためのeラーニングなどの自習・自己研鑽を推奨しています。

eラーニングで学べるのは、プログラミング言語の学習、新しいフレームワークの習得、資格試験の準備などです。

自習の進捗状況の報告を求められる場合もありますが、新しいスキルの習得や、苦手分野の克服に充てられる貴重な機会ですので、積極的に活用し、エンジニアとしての評価を高めましょう。

SESの待機期間を有効活用する方法

SESの待機期間は、上手く活用できれば、エンジニアとして成長できる大チャンスです。

待機期間は自己投資の時間として積極的に活用しましょう。

スキルの棚卸しをする

これまでの経験や習得したスキルを洗い出し、整理することで、自分の強みと弱みが明確になります。

使用したことのある言語やツール、参加したプロジェクトの種類、得意な業務領域などをリストアップしてみましょう。

同時に、市場で求められているスキルと自分のスキルを比較し、ギャップを見つけることも大切です。この棚卸しにより、今後伸ばすべきスキルや、アピールすべき強みが見えてきます。次のSES面談や案件選びに活かせる重要な情報になります。

スキルアップのための勉強

SESの待機期間は、棚卸しで見つかった弱点を強化したり、市場で需要の高い新しいスキルを身につけたりできるメリットがあります。

新しいプログラミング言語やフレームワークの学習、クラウドサービスの資格取得、アジャイル開発手法の習得など、オンライン学習プラットフォームやテキストを活用し、計画的に学習しましょう。

また、実践的なスキルを磨くために、個人プロジェクトに取り組むのも良いでしょう。待機期間中の学習の成果は、次の案件獲得や、より高度な仕事へのステップアップにつながります。

社内の雑務を全てやる


社内システムの改善、ドキュメント整備、新人教育の補助など、普段の常駐業務ではかかわる機会があまりない仕事に挑戦してみましょう。

コミュニケーション能力やマネジメントスキルの向上、さらに、会社全体のフローを理解し、ビジネス感覚を養うことにもつながります。

雑務にも積極的な姿勢を示すことは会社への貢献度をアピールでき、次の案件紹介時に有利に働く可能性もあります。

SES面談への準備

SES面談の準備ですべきことは、自己紹介や経歴の説明を簡潔にまとめ、練習することです。

過去のプロジェクト経験を整理し、具体的な成果や学んだことを説明できるようにします。

技術的な質問への回答も準備しておくと良いでしょう。

さらに、面談で使用される可能性のある技術や業界のトレンドについて最新情報をキャッチアップしておくことも大切です。十分な準備をして、自信を持って面談に臨みましょう。

転職も検討してみる

待機期間が長期化したり、給与条件が悪化したりする場合、他のSES企業や自社開発企業への転職を考えてみるのもいいかもしれません。

転職活動は時間がかかるため、待機期間中に準備を進めておくのがおすすめです。次の仕事が決まるまでのタイムラグを最小限に抑えられます。

まずは、求人サイトやエージェントを通じて、市場の状況や自分のスキルセットに合った求人情報を集めます。同時に、自己分析を行い、今後のキャリアパスを見直すのも良いでしょう。

ただし、現在の会社との契約内容を確認し、問題のない範囲で活動することが重要です。

やめたほうがいいSES企業の特徴

SES企業を選ぶとき、または現在のSES企業に不満を感じたときに、避けたほうがいいSES企業の特徴を知っておくと、後悔しない決断ができます。

企業の中にはエンジニアにとって不利な条件や環境を持つ企業もあるため、自分を守るためにも避けるべき起業の特徴を知っておきましょう。

待機中の給与が大幅に減額される

待機中は基本給の一部カットはあっても、生活に支障のない程度の給与が支払われるのが普通です。

しかし、中には待機中の給与を最低賃金レベルまで下げたり、無給にしたりする企業もあります。このような処遇は、エンジニアの生活を不安定にし、モチベーションを著しく低下させます。

また、待機中の給与が低すぎると、スキルアップのための投資もできなくなります。待機中の給与制度は入社前に必ず確認し、大幅な減額がある企業は避けましょう。

待機期間が1ヶ月以上発生している

短期間の待機は珍しくありませんが、1ヶ月を超える長期待機は問題です。これは、その企業の営業力や案件獲得能力が不足している可能性を示唆します。

長期間、現場から離れることはエンジニアのスキル低下を招き、キャリアの停滞を引き起こします。

また、長期間に渡り収入が減ることになり、生活を圧迫します。さらに、市場のトレンドについていけなくなるリスクもあります。

待機期間が恒常的に1ヶ月を超えるような企業は成長と生活の両面で不利になる可能性が高いため、避けるべきです。

研修なしで自宅待機になる

適切な研修なしでは、エンジニアとして必要なスキルを身につけられず、案件に参加する機会も減ってしまいます。

自宅待機では、技術的な指導や実践的な経験を得ることが難しく、モチベーションの低下や不安感の増大にもつながります。

特に新卒や未経験者の場合は、充実した研修プログラムを持つ企業を選びましょう。

社内の待機者が多い

待機者が多い場合は、その企業が十分な案件を獲得できていない、または社員のスキルと市場のニーズにミスマッチがあるかもしれません。自分も長期待機に陥る可能性が高くなるということです。

待機者が多いと、限られた案件を社内で奪い合うことになり、健全な職場環境を維持するのが難しくなります。

さらに、会社の財務状況にも悪影響を与え、最悪の場合、給与の遅配や会社の存続問題にまで発展する可能性があります。

SESの待機期間に関するよくある質問

SESの待機期間については、多くのエンジニアが疑問や不安を抱えています。ここでは、待機期間に関してよく聞かれる質問にお答えします。

常駐先が決まらないとクビになる?

結論から言えば、通常、常駐先が決まらないだけですぐにクビになることはありません。多くのSES企業は、一時的な待機を想定して事業を運営しています。

ただし、長期間にわたって常駐先が決まらない場合、会社から退職を勧められる可能性はあります。

特に、スキルアップの努力を怠ったり、社内業務に非協力的だったりすると、そのリスクは高まります。

一方で、待機期間中も積極的にスキルアップに励み、社内業務に貢献する姿勢を見せていれば、会社側も粘り強くあなたの常駐先を探してくれるでしょう。

SESの待機期間で副業するのはあり?

SESの待機期間中の副業については、会社の方針によって対応が異なります。一般的には、会社に届け出て許可を得れば副業が可能な場合が多いです。

ただし、競合他社での仕事や、本業に支障をきたす可能性のある副業は禁止されていることがほとんどです。

副業を検討する場合は、必ず事前に会社の規定を確認し、上司や人事部門に相談しましょう。会社との信頼関係を維持しながら、適切に副業を行うことが大切です。

SESの待機期間を有効活用しよう

SESの待機期間は避けられない現実ですが、適切に対応すれば成長の機会になります。

長期待機や大幅な給与減額がある企業を避けるのは大前提ですが、給与条件や過ごし方を事前に確認し、スキルアップや次の案件準備に活用しましょう。