SESエンジニアと聞くと、テレワークができず、現場常駐が基本という印象を持つ方も多いかもしれませんが、最近のIT企業ではテレワークの選択肢も増えています。
それでは、SESエンジニアがテレワークを成功させるためにはどうすればよいのでしょうか?
この記事では、テレワークがしやすい企業の特徴と、効果的にテレワーク案件に参画するためのコツをご紹介します。
SESエンジニアはテレワークできない?
SESエンジニアの仕事は客先常駐が基本ですが、テレワークが可能か否かは、主に派遣先の企業の働き方に大きく左右されます。
SESでも在宅・テレワークは可能
派遣先がテレワークを認めている場合、SESエンジニアもテレワークが認められやすいでしょう。
ただし、派遣されたエンジニアは、基本的にクライアント企業が指定している方針に従う必要があります。
そのため、テレワークを望む際には、クライアント側の働き方のルールや条件を十分に理解し、適切に対応することが必須です。派遣先の環境に合わせて柔軟に勤務形態を調整することが、SESエンジニアが在宅勤務をするために大切になります。
ハイブリッドな働き方を採用している案件もある
ハイブリッド勤務を取り入れている企業も存在します。勤務日のうち、一部はオフィスに出勤し、残りは自宅で作業を行う勤務形態です。
ハイブリッド勤務は、出社とテレワークの長所を組み合わせたもので、コミュニケーションを柔軟に取りながら、個人の集中力を高めて業務を効率化できます。
たとえば、集中を要するタスクは自宅で、チームでのブレインストーミングや計画立案はオフィスで行うなど、業務内容に応じ勤務場所を選択します。
こうすることで、通勤の負担を減らしつつ、必要に応じて対面での業務にも対応できるため、多くのSESエンジニアにとって、働きやすい魅力的な環境だといえるでしょう。
常駐先の働き方に依存する
テレワークが普及している現在、SESエンジニアもテレワークのチャンスも増加しています。しかし、個人の意志だけでリモートワークに移行するわけにはいきません。
そのため、リモートワークを望む場合は、事前に派遣先の勤務形態をしっかりと調査し、企業の社内規定に合わせた働き方の計画を立てることが不可欠です。
勤務する時には、企業の規定を十分に理解して、派遣先の環境に適応して働くことが大切になります。
IT業界に特化した転職エージェントの活用がおすすめ
SESエンジニアとしてテレワークで働きたい場合、IT業界専門の転職エージェントや天職サイトの利用がおすすめです。転職エージェントに登録すると、経験豊富なキャリアアドバイザーが一気通貫でサポートしてくれます。
キャリアアドバイザーは企業の人事部と密接に連携しており、テレワーク勤務の可能性がある職場やテレワークの制度が整っている企業の求人情報を紹介してくれます。
また、履歴書の作成から模擬面接まで、求職活動の各段階で専門的なサポートを受けることができ、SESエンジニアとして理想的な勤務先を見つけるための大きな助けとなります。
SESエンジニアがテレワーク案件で得られるメリット
テレワークの普及が進み、在宅勤務を望むSESエンジニアが増えています。
ここからは、SESエンジニアがテレワークで得られるメリットについて、一つずつ解説していきます。
ワークライフバランスを実現しやすい
通勤時間が不要になるため、その分を趣味や家族との時間、スキルアップのための学習に時間を使うことが可能です。
エンジニアにとって、満員電車や長時間の通勤は大きなストレスですが、テレワークを選択することによりそれらのストレスを回避できます。
また、家庭の事情に応じて柔軟に時間を管理できるため、子育てや介護などと仕事を両立しやすくなるでしょう。
さらに、場所にも左右されないため、地方在住であっても、高単価のプロジェクトに参画するチャンスがあります。
業務の生産性を上げられる
テレワーク勤務では、通勤にかかる時間やストレスがないため、エンジニアは仕事に集中しやすくなります。
通勤の疲労がないことで、作業を始める前から体力と精神力を温存でき、全体的な作業効率の向上が期待できるのです。
また、オフィスで話しかけられるなどの予期せぬ中断が少なくなるため、集中してタスクに取り組めます。さらに、テレワークは、作業環境を自分で調整できるため、生産性が高まります。
さまざまなコミュニケーションスキルが身につく
テレワークを行うSESエンジニアにとって、画面共有やWeb会議ツールを利用した効果的なコミュニケーションが大切です。リモート環境では、音声や画面だけを頼りに相手に技術的な内容を正確に伝える能力が求められます。
また、問題が発生した際には速やかにチームメンバーへ報告、連絡、相談するコミュニケーション力も必要とされます。
これらのスキルは、SESエンジニアが在宅ワークをする上で不可欠であり、日々の業務を通じて身についていくでしょう。
SESエンジニアがテレワーク案件で感じるデメリット
ここではデメリットについて詳しく紹介します。デメリットも把握した上で、テレワークが自分に合っているか確認しましょう。
学習機会が減りやすい
オフィス勤務では、さまざまなプロジェクトや部門の同僚との日常会話から、新しい技術や業界のトレンドを自然に学べます。
一方、テレワークでは、人との直接的な交流が限られるため、そのような学びの機会が減少してしまいます。そのため、自ら積極的にオンラインの研修を受けたり、専門的なウェビナーやコミュニティに参加したりして、知識を更新し続けることが大切です。
テレワークで働くSESエンジニアは、自発的に学習の機会を作り出す努力が求められるのです。
作業環境を整備する必要がある
SESエンジニアがテレワークを行う時に効率よく仕事をするためには、しっかりとした作業環境を整えることが必要不可欠です。 テレワークには、高性能なコンピューター、安定したインターネット接続、セキュリティ対策が必要です。
特に、情報漏えいは会社の信頼に大きく影響するため、データ保護のために厳しい対策を取ることが大切です。
これらの準備には費用がかかりますが、テレワークの効率と安全性を保つためには必要な投資です。
SESでテレワークできる案件の特徴とは?
テレワークできる案件は非常に人気があり、多くのエンジニアがこの働き方を求めています。
テレワークできるSES案件は、柔軟な働き方をサポートする企業から提供されることが多いですが、自宅に設備が整っていることや、高いコミュニケーション力、技術力を求められます。
一定水準以上のセキュリティ対策が条件
SES案件でテレワークを行う際は、高度なセキュリティ対策が求められます。
たとえば、持ち出し用のパソコンやスマートフォンの紛失リスクを軽減するために、データの暗号化や遠隔でのデバイス初期化が可能なソフトウェアの導入が必要です。
また、顧客情報の閲覧は物理的に制限され、外部からの不正アクセスを防ぐためにVPNや二段階認証の設定も必要になります。
これらの対策は、SES会社とクライアント双方のデータを保護し、信頼性を構築・維持するために不可欠です。
コミュニケーションツールの活用が前提
多くの企業では、Slack、Microsoft Teams、Chatworkなどのプラットフォームを通じて、チームメンバー間のやり取りをしています。
音声通話だけでも最低限のコミュニケーションは可能ですが、 テレワークでは、BacklogやAsanaのようなタスク管理ツールを利用し、作業を可視化するのが一般的です。
コミュニケーションツールを使うと、テレワーク中のタスクの進行状況をチーム全員が把握しやすくなり、作業効率が大きく向上するため必要とされています。
ハイレベル・経験豊富であることが条件
テレワークではオフィス勤務のようにすぐに直接的な指導やサポートが難しいため、ハイレベル・経験豊富なエンジニアが求められます。
経験豊富なエンジニアは、少ない指示で自主的にタスクを推進できる能力があるため、テレワークに適していると評価されます。
一方で、新入社員やIT経験が少ないメンバーが多いチームでは、テレワークを行うと質問が多くなり、業務の進行が遅れがちになります。
そのため、テレワーク適用案件では、個々のメンバーのスキルや経験が特に重視されるのです。
SESでテレワークできない案件や企業の特徴とは?
テレワークできない案件や企業の特徴をしっかりと理解することで、自分に合った案件を見極めましょう。
作業環境へアクセスできない
企業によっては、自社の内部ネットワークに作業環境を設定し、外部からのアクセスを厳しく制限している場合があります。
セキュリティ面で厳格なシステムが整っている場合、エンジニアは自宅などから作業環境にアクセスできず、物理的にオフィスへ出勤しなければ作業を行えません。
データセキュリティを確保するために、テレワークが不可能な仕組みとなっています。クライアントの作業環境を理解し、事前に外部からのアクセスが可能な業務であるかを確認することが大切です。
機密情報を扱うためのセキュリティに課題がある
機密情報や個人情報を扱う案件では、セキュリティの要求が非常に高くなるため、リモートワーク環境での取り扱いが適切に管理されるのは難しく、オフィスでの作業が必須になることが多いです。
セキュリティが厳格な案件では、業務用のパソコンを社外に持ち出すことが禁じられていることがあり、リモートデスクトップ接続も許可されていないことが一般的です。
金融業界などの機密情報を扱う案件では、オフィス内での作業中に外部とのネットワークが遮断され、スマートフォンの持ち込みも制限される場合があります。ドキュメントの外部持ち出しが厳しく制限されているような案件では、リモートワークの実施が非常に難しくなります。
対面でのコミュニケーションが中心の案件
一部の案件では、エンジニアとクライアントが直接対面でのやり取りを頻繁に行う必要があるために、テレワークが難しい場合があります。特に、クライアントが常駐している状況でよくあります。
このような環境では、エンジニアとクライアントが直接顔を合わせて議論することや情報の共有を行うことが業務に不可欠であるため、対面でのコミュニケーションが中心となります。
そのため、頻繁なフィードバックと迅速な対応が求められ、対面でのコミュニケーションが重視されている傾向があります。
物理的なメンテナンス業務がある
オンプレミスのようなインフラ案件では、物理的な操作が必要になるため、在宅勤務ができません。
サーバールーム内での機器の設定変更やメンテナンス作業が業務内容に含まれ、クラウドのような外部からのアクセスだけでは作業ができません。これは、安全性の確保や精度の高いメンテナンスを行うため、外部からアクセスできないようになっているためです。
そのため、オンプレミス関連の案件では、エンジニアが物理的に現場に出向き、直接機器に触れることが求められ、出社が必須となります。
自社に決定権がない
テレワークができない一因として、自社に決定権がないことが挙げられます。特に、自社が他のSIer企業からの多重下請けとなる場合、プロジェクトの運営や作業条件について主導権を持つことができません。
テレワークの導入も、上位のSIer企業やクライアント企業の方針に大きく左右されます。これは、IT業界特有の構造に起因しており、下請け企業は上位企業の方針に従う必要があるのです。
一方、直接大手企業と取引があるSES企業では、より上流工程に携わる機会が多く、テレワークが導入されていることも多いです。
IT未経験の人材が多い
IT未経験者が多く含まれる案件では、テレワーク業務がスムーズに行えないことがあります。
業務を効果的に行うためには、一定の技術力と作業能力が求められますが、未経験者の場合、業務の内容や進行方法に対する理解がまだ浅いため、遠隔地からの作業が困難になります。
また、未経験者が多い場合、オンラインでの研修だけでは不十分で、直接的な指導や対面でのサポート・教育が必要になることが多いです。
リモートワークを開始しても、クライアントの期待に応えられる成果を出せない可能性があるため、IT未経験者が多い案件ではテレワークを許可しない傾向があります。
SESエンジニアがテレワーク案件に参画するコツ
テレワーク対応のSES案件の人材募集は非常に人気があり、競争が激しいです。
テレワークでの仕事を希望する場合、以下のようなポイントを押さえ、面接官やクライアントへアピールするのが大切です。
自己管理能力を身に付ける
テレワークをするには、自己管理能力が非常に大切です。自宅での一人作業が中心となるため、日々のタスクを自分で管理し、計画的に進める必要があります。
自宅には多くの誘惑があるため、作業に集中し、規則正しい生活を送る自己管理能力が求められます。
また、テレワークはクライアントとの信頼関係に基づいて成立しています。どこで仕事をしても、一貫して責任を持って業務に取り組む姿勢が不可欠です。
サボっているように見える行動はクライアントからの信頼を損ね、プロジェクトに悪影響を及ぼします。誘惑の多い環境でも仕事に集中できる自制心が必要です。
ハイレベルの技術者になる
テレワーク中、一人で問題に直面した時に、それを迅速に解決できる能力が求められます。オフィス勤務と同様に、技術的な問題を素早く解決できる技術が必要です。
技術力は、資格や実績をポートフォリオにまとめるなどして、具体的に示しましょう。Gitの基本的な使い方から最新のAI技術に至るまで、日々の学習を怠らずに続けることが重要です。
この継続的な努力が、どんな環境でも一貫した効率と品質で作業を進める力となり、テレワークで業務遂行するために大切になります。
営業にテレワークを希望している旨を伝える
テレワークや在宅勤務を希望している旨を自社の営業担当者に明確に伝えることが大切です。営業担当者は新規クライアントの開拓や既存取引先の管理の対応をしています。
たとえ現在の取引先に在宅勤務の文化がなくとも、新規のクライアントがテレワークに積極的な場合、そのような企業への派遣を優先的に考慮してもらうことが可能です。
営業担当者もクライアントとの交渉や案件のマッチングにおいて、あなた自身のニーズを考慮することができます。
上流工程の案件が選びやすいSES企業へ転職する
テレワークや在宅勤務を目指してSES企業への転職を考えている方は、大手企業や自社開発を行うベンチャー企業と取引のある上流案件が選びやすいSES企業を選ぶとよいでしょう。
上流工程の案件が多い企業では、テレワークや在宅勤務に対しても柔軟な対応をしている傾向があります。 テレワークしやすいSES企業を見つけるためには、SES企業のウェブサイトで取引先を確認することから始めましょう。
さらに、面接で社員がどのような企業でどのようなプロジェクトに携わっているのかを尋ねることも有効です。これにより、実際に自分が望むテレワークや在宅勤務の機会を提供しているかどうかを見極めることができます。
まとめ
テレワークや在宅勤務が可能かどうかは、配属されるクライアント企業や所属するSES企業の選択に大きく依存します。
テレワークしやすい企業や案件の特徴と参画のコツを理解し、活用することで、SESエンジニアとしてテレワークや在宅勤務をより実現しやすくなります。
ぜひ自分に合ったSES企業・業種を見つけ、テレワークのSESエンジニアとして活躍しましょう。