SESから転職する方の中には、スキルアップの限界や精神的・肉体的負担から転職を考える人も多いです。

しかし、転職するとなると、ベストなタイミングはいつなのか迷いますよね。また、円満に退職するには、上司や派遣先への伝え方や伝える相手の順番にも気をつける必要があります。

この記事では、転職するタイミングの見極め方や退職準備の手順、退職する際の注意点などを紹介します。

SESからの転職でベストなタイミング

SESから転職しやすいタイミングとして、案件の終了時期や契約更新時期が挙げられます。

たとえば、転職活動で内定をもらえた時期や、スキルアップの限界を感じたときなどがベストなタイミングと言えるでしょう。

案件の終了・契約更新

SESの仕事では、案件や契約期間が決まっていて、3ヶ月単位で運用しているところが多いです。転職に適している時期は、案件が終了する時期や契約を更新するタイミングとなります。

もし、案件の途中で抜けてしまうと、残るメンバーやクライアントに迷惑をかけてしまうことになりかねません。

また、案件の更新前だと、次の案件が正確には決まっていないため、転職活動に専念でき、上司や出向先にも円満に退職の意向を伝えやすくなります。

契約満了間近の場合は、早めに転職活動を始めましょう。

転職活動で内定がもらえた

転職活動を進める中で内定をもらえたときも、SESを退職するのに最適なタイミングだと言えます。人によっては転職活動に半年ほどかかる方もいるので、在籍中に転職活動を進めるのがおすすめです。

また、内定が決まっていれば、新しい職場への入社日を調整しやすく、会社側にも余裕を持って引き継ぎができます。収入が途絶えないという面でも精神的に安定しやすいので、在職中の内定獲得を目指しましょう。

スキルアップが限界を迎えた

SESとして働き続けるには、常にスキルアップが必要不可欠です。エンジニアの年収はスキルに比例し、スキルアップに限界を感じることは、同時に給与の頭打ちを意味します。そのため、スキルアップし続けるのが辛くなってきたり、難しいと感じ始めたのであれば、転職するタイミングかもしれません。

同じ業務に長く携わり続けると、スキルアップに限界を迎えがちなのが実情です。今後のキャリア展望を見据えて転職し、新鮮な気持ちで更なるスキルアップを目指しましょう。

精神的・肉体的に限界がきた

SESはメンタル面の負担が大きい仕事です。常駐先での人間関係や長時間労働など、さまざまなストレスにさらされています。精神的・肉体的に限界を感じたら、無理をせずに転職を検討しましょう。

エンジニアは身体が資本です。心身の健康を損なってしまっては本末転倒になってしまいます。SESの仕事はストレスを受けやすいため、メンタル面に注意をしつつ、疲労が蓄積する前に転職先を探すのがおすすめです。  

高度な資格が取得できた

転職のタイミングとしては、高度な資格を取得できた時期もベストです。たとえば、SESからプロジェクトマネージャーに転職しやすくなる資格もあります。

また、高度な技術者資格を取得できれば、SEに転職できる可能性が高くなるでしょう。以下が具体的な高度な資格の例です。

高度なスキルを証明できる資格
  • 応用情報技術者試験
  • CCNP
  • LPIC2,3

資格取得によってスキルがあることを証明し、転職に活かしましょう。

十分な実務経験が積めた

SESの仕事を続けて、十分な実務経験が積めたら転職を検討するのもおすすめです。3年以上の実務経験を重ねると、下流工程の仕事を一通り経験したと認められやすくなります。上流工程への転職にチャレンジし、給料アップを狙いましょう。

反対に、SESとしての経験が浅いままでは、上位職種への転職は難しいです。十分な実務経験を経た後に上流工程の実務経験を積むことで、マネジメント職に就きやすくなります。

SESからでも、着実にキャリアを積み重ねれば、さまざまなキャリアパスを目指すことが可能です。

SESの退職理由で多いのは?

SESからの退職理由はさまざまですが、共通して多いのがスキルアップの壁や、キャリアプラン実現の難しさです。

SESの仕事は非正規雇用が多く、処遇面でのハードルがあります。ここでは、よくある退職理由を詳しく紹介します。

スキルアップが期待できない

SESの仕事は同じ業務に携わる期間が長くなりがちで、新しいスキルを身につける機会が少なくなります。そのため、単純作業が多く、スキルアップが難しいと感じる人は多いようです。

キャリアアップや転職を目指す上で、単純作業が多いという点は大きな障壁となり得ます。

キャリアプランを実現できない

SESとして働く人の多くは、正社員への転換やマネジメント職を目指しているものの、現実にはそうしたキャリアプランを実現することが難しい場合があります。

SES先の正社員登用制度が整っていなかったり、上位職への抜擢がなされにくいなどの理由から、転職を選択する人が多数います。自身のキャリア像を具現化できないことに、不満を抱える人が多いのが実情です。

希望の案件を担当できなかった

SESの仕事は、担当する案件によってスキルセットが異なります。希望する案件に携われなければ、思ったようにスキルを活かしたり、学んだりすることができません。

自身のスキルを活かすことも、スキルアップすることもできない案件は、自身のキャリアにとってはマイナスです。

また、自社内での人事異動がスムーズにいかず、マンネリ化してスキルが錆び付くなどのリスクもあります。そのため、希望する案件に長期間携われない場合、転職を検討する人が少なくありません。 

SESは先に転職先を決めるべき?

転職のタイミングは人それぞれですが、SESとして転職する際は、先に転職先を決めるのがおすすめです。

転職先が決まっていない状態で退職すると、収入の心配などがあるためです。 ここでは、退職前に転職先を決めておくべき具体的な理由を紹介します。

焦らず転職活動ができる

在職中に転職活動を進めると、焦らずゆっくりと転職活動ができるという利点があります。安定した収入があれば、面接対策や条件交渉に集中できるためです。

一方、転職先が未定のまま退職すると、収入が途絶え生活費に困るリスクがあります。そういったケースでは、焦って条件の悪い会社に入社してしまうかもしれません。

現職を続けながら転職活動を進めることで、経済的な安定を確保しつつ、転職活動のステップを着実に進めるのがおすすめです。

転職先が決まっていると気持ちがブレない

転職する際、転職先が決まっていれば、気持ちがブレずに済みます。新しい職場が見つかっていないと、不安から転職を諦めてしまう人もいます。

しかし、内定が出ていれば、そうした不安から解放されます。新しい環境に向けて気持ちを切り替えやすくなり、元の職場を円滑に去ることができるでしょう。

転職の意志が揺らがずに済むのは大きなメリットです。内定を得ることで自信を持てるため、退職準備中も精神的に安定します。

転職エージェントは入社時期を調整してくれる

転職エージェントを活用すると、企業との入社時期の調整を代行してくれるため、スムーズに元の職場を退職できます。入社日は柔軟に設定でき、SES先の引き継ぎ作業の期間も確保しやすいです。

また、転職エージェントの仲介によって、就労条件などの交渉もスムーズに進めることができます。これにより、忙しいSESの業務と転職活動を両立することが容易になるのです。

転職エージェントの活用は、転職活動を円滑に進めるための有力な方法の1つと言えるでしょう。

SESの退職手順と伝え方

円滑にSESを去るためには、退職の手順と上司や出向先への伝え方が重要です。焦らず、しっかりと準備をする必要があります。

退職の意向を伝える際は、適切なタイミングを見極めることときちんとした連絡が必要です。また、引き継ぎや業務の整理も適切に行い、円滑な退職を心掛けましょう。

雇用元の上司に退職の意思を伝える

まずは雇用元の上司に退職の意思を伝え、退職時期を報告しましょう。就業規則に則って、退職の予定日から十分に余裕を持って連絡するのがマナーです。転職の理由なども伝え、引き継ぎ業務や準備期間について上司と相談しましょう。

もちろん、スムーズな業務の引き継ぎができるよう、業務を整理し調整することも大切です。

また、出向先との調整も円滑に行うために、関連する担当者やチームとのコミュニケーションを取りながら、適切なタイミングで報告しましょう。

出向先に伝える

SESは出向が多いため、出向先の責任者にも退職の意向を伝える必要があります。ただし、上司へ報告した後に出向先に伝えるのがおすすめです。

まずは上司や雇用元・営業担当者に伝え、その後に出向先に伝えると良いでしょう。出向先への報告の際は、業務の引き継ぎ体制について詳細に説明し、できる限りスムーズな引き継ぎができるようにしましょう。

転職前の円滑なコミュニケーションが、後の組織内での信頼構築にも繋がります。

仕事の引き継ぎ作業

上司や出向先への報告が済めば、速やかに業務の引き継ぎ作業に取りかかりましょう。

後任者がいる場合はその人に、後任者がいなければ後から来る人に対して、分かりやすく業務を引き継がなければなりません。引き継ぎ資料の作成や口頭での説明が求められます。

重要なのは後任者が業務を遂行できるよう、丁寧に引き継ぐことです。残務処理と並行して確実に行う必要があります。この段階での丁寧な引き継ぎ作業は、退職後の組織を保つうえで欠かせない要素です。

退職の各種手続きをする

退職に際しては、各種手続きも欠かせません。給与明細の確認、社会保険の手続きなど、確実に行う必要があります。

引き継ぎ作業と並行して、退職に関わる全ての書類手続きを忘れずにこなさなければなりません。給与明細の精査や社会保険の解約手続きなど、時間を要する作業もありますので、早めに着手することが重要です。

また、健康保険証や雇用保険の手続きなど、退職後の生活に関わる手続きも忘れずに行いましょう。健康保険証や雇用保険の手続きは、円滑な退職後の生活を確保するためにも大切な手続きとなります。

SESから退職するときの注意点

SESから円滑に転職するためには、SESでの勤務の長期化防止や自身の市場価値の把握、上流工程への転職のハードルなどを意識する必要があります。

円滑に転職するためには、転職エージェントの活用やスキルのアップデートも有益です。計画的に行動し、自身のキャリアアップを目指しましょう。

SESで長く働き過ぎると転職できない

SESは、あまり長期間務めると転職が難しくなる傾向にあります。SESという立場が長く続くと、現場経験はあるものの上流工程の経験がなく、スキルが停滞しがちです。その結果、他社から求められる人材像から外れてしまう恐れがあります。

一般的に3年から5年の勤務で下流工程を一通り経験したと見られ、SESの転職に適した期間と言われていますので、長期化防止のために、常に転職の視点を持ち、転職の準備を怠らないことが重要です。

スキルから市場価値を正確に把握する

転職を検討する際は、自身のスキルとそれに見合った市場価値を正確に把握する必要があります。たとえば、技術職への転職を希望するなら、ある程度のSE経験と適切な資格が必要不可欠です。

積極的に情報収集を行い、自分にマッチする企業やポジションを見つけるようにしましょう。準備と努力が、良い転職先を見つけるための大切な一歩となります。

逆に、自己分析を怠ると、マッチする求人が見つからず、好条件の転職が難しくなる恐れがありますので、注意しましょう。

面接の準備もしっかり行う

SESから転職を果たすには、面接でしっかりとアピールできるようにする必要があります。

日頃から面接対策を行い、自身の経歴や保有スキルをうまく話せるように、自身のキャリアプランや職務経歴書を準備しておきましょう。

現場経験を活かせる企業を選び、そこでの役割を明確にイメージして面接に臨めば、説得力のある受け答えができるはずです。

実際の面接では、質疑応答の他に課題テストなども課される場合があるので、事前に確認をしておきましょう。

上流工程への転職は難易度が高くなる

SESの経験を活かしつつ、更なるキャリアアップを狙う場合は上流工程への転職が検討されますが、難易度は高くなります。

たとえば開発職やプロジェクトマネージャーなどへの転職は、その業務経験が必須となるためハードルが高くなります。単に現場経験が長いだけでは不十分で、適切な資格の取得や実務経験の積み重ねが欠かせません。

上流工程への転職を目指すなら、計画的にスキルアップを図る必要があります。スキルアップする方法は、教育プログラムや研修、プロジェクトへの積極的な参加などです。

また、業界のトレンドや新技術に対する理解を深めることも意識して行いましょう。

SESからの転職でよくある質問は?

この見出しでは、SESからの転職でよくある質問を3つ紹介します。客先常駐の場合や、上記の「SESからの転職でベストなタイミング」に当てはまらない時期での転職、経験が浅い場合などを詳細に紹介いたします。

客先常駐で辞めるタイミングは?

客先常駐のSESは、案件終了時や契約更新時期が転職の適期です。上司や出向先への報告は事前に行い、引き継ぎができるよう十分な期間を設けましょう。

特に、案件を継続させるためにも、出向先の責任者との円滑なコミュニケーションが大切です。

契約期間中であっても転職できる?

契約期間中でも転職は可能ですが、円滑な引き継ぎのため、契約満了時を狙うのが無難です。

契約中の転職は勤務先が担当する案件やプロジェクトに影響を与える可能性があるため、慎重に検討しましょう。

現場経験が浅くても転職できる?

現場経験が浅くても転職自体は可能ですが、希望職種によっては実務経験が求められる場合があります。そのため、未経験の職種に転職する場合は、関連するスキルや知識を得てから申し込むようにしましょう。

また、経験豊富な人材との競争が激しい場合は、自身の強みや将来性をアピールすることが求められます。

理想の転職を叶えよう

SESとして働く上で、いつが転職のベストタイミングかは個人差があります。しかし、退職に際しては、上司や出向先への丁寧な引き継ぎと伝え方が欠かせません。

転職先が内定している方が気持ちが安定しますし、スムーズに退職できます。下流工程勤務での長期化防止や自身の市場価値の見極めなど、さまざまなポイントに注意しながら、理想の転職を叶えましょう。