今でこそ「力を抜いて生きよう」「自分の心を守ろう」といわれるようになりましたが、ひと昔前までは「真面目こそが美徳」「辛くても根性で乗り切ろう」と、真面目に頑張ることが美徳とされていました。
この記事では、真面目な人の心が壊れやすい理由と、壊れないためにできることを紹介します。
真面目な人の心は壊れやすい
厚生労働省が運営する「こころの耳」というWebサイトに、うつ病になりやすい性格について以下の記載があります。
(前略)義務感が強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性、常に他人への配慮を重視し関係を保とうとする性格の持ち主は、エネルギーの放出も多いということになります。努力の成果が伴っているうちはエネルギーの回復もみられますが、成果が出せない状況が生じたり、エネルギーの枯渇が起これば発症の危険が高まります。
義務感が強い・仕事熱心・完璧主義・几帳面…どれも真面目な人の特徴として当てはまると思いませんか。努力家であるがゆえに、努力が報われなかった、人間関係など自分の努力ではどうにもできない問題に直面した場合など、真面目な人の心は壊れてしまうリスクが高いのです。
うつ病など心が壊れる原因は、環境要因やホルモンバランス、身体疾患に起因するものなどさまざまな要素が絡み合っています。性格要因だけで心が壊れるわけではありませんが、心が壊れやすい傾向にあるのは事実です。「真面目な性格」と周囲からよく言われる人や、真面目な性格だと自覚している人は、「自分の頑張りが足りないせいだ」と努めて思わないようにしましょう。
真面目な人の心が壊れやすい理由
真面目な人の心が壊れやすい理由を解説します。
人にはそれぞれ特徴があり、状況によってはプラスにもマイナスにも作用します。
以下に説明することは短所というわけではなく、基本的には長所といえるポイントです。もしも当てはまる項目があれば、どのようにすればプラスになるか、考えながら読んでみてください。
自分が頑張らないと職場が回らないと思い込んでいる
真面目な人の中には責任感が強いあまりに、自分がいないと職場が回らないと思っている人も少なくありません。
少人数の職場や、忙しい職場では、1人ひとりのマンパワーが重要なのは事実です。しかし、欠員が出ても職場は回るもの。
忙しさに拍車がかかるかもしれませんが、仕事が回らないことはありません。
他のメンバーに迷惑をかけたくないという気遣いは素晴らしいですが、職場の忙しさに拍車がかかるのと、自分が壊れるのと、天秤にかけたときにどちらが重要ですか?
「自分がいないと職場が回らない」という思い込みは手放すほうがよいでしょう。
頼られたら断れない
真面目な人は、頼みごとをされたら断れない傾向にあります。
せっかく頼ってくれたのに、断ったら悪いという心理になるのです。
頼みごとを引き受ける労力と、断る心労を比べたときに、断る心労のほうが勝ってしまうタイプです。
周囲の人も「あの人なら断らないだろう」と余計に頼み事をしてくるので、手が回らなくなり、自分自身が壊れてしまうリスクがあります。
周囲の評価が気になる
真面目な人は、周囲の評価を気にしがちです。
真面目な人は、周囲の期待に応えようと、自分に与えられたタスクをきっちりこなします。それ自体はとてもよいことですが、アクシデントやミスなどで、タスクを上手くこなせなかったとき、 非常に深く落ち込む傾向にあります。
周囲の人はそこまで気にしていないことでも、自己評価は著しく下がり、負のループに陥りがちです。
自責思考が強すぎる
働く上で、他責思考よりも自責思考のほうが、成長のチャンスも多く、周囲との調和も乱さずに、働く上では望ましいとされています。
しかし、自責思考が強すぎると、自分と関係のないことでも自分の責任と捉えてしまい、自分の心が消耗してしまいます。
「自分が悪い」と自分を責めるのではなく、どうすればより良くなるかを考えるなど、建設的な考えをするように心がけるとよいでしょう。
真面目な人の心を守るためにできること
真面目な人の心を守るためにできることを3つ紹介します。
3つの共通点は自分が心地よいと思える状態に身を置くことです。
それぞれ詳しく解説していますので、ぜひ読んでください。
思い切って休む
辛いときは思い切って休みましょう。休めない場合は、最小限のタスクだけこなす、できるだけダラダラするようにします。
頑張らないことがポイントです。
本を読んでみる
メンタルヘルスが重要視されるようになっている今、一般の人向けに、心を整える方法が書かれている本が多数出版されています。
さまざまな本があるため、自分の心にフィットする本を選ぶことが重要です。
「精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉 」は、1ページにワンメッセージで、忙しい人でも読みやすい本です。1つひとつのメッセージが心に染みわたります。
参考:精神科医Tomy著|精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉
環境を変える
心が壊れる最大の原因は環境要因だといわれています。先ほど紹介した「こころの耳」にも以下の記述があります。
まず、最もきっかけとなりやすいのが「環境要因」です。大切な人(家族や親しい人)の死や離別、大切なものを失う(仕事や財産、健康なども含む)、人間関係のトラブル、家庭内のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、降格、結婚、妊娠など)などが要因となります。こうして見るだけでもさまざまな出来事が要因となりうることが分かります。
思い切って休んだり本を読んだりするのは、対症療法でしかありません。根本的に状況を改善するには環境を変えることが必要です。
適応障害の要因として、職場環境、とくに職場の人間関係に起因するものが増加しています。職場や職種を変えることで、状況が大きく好転する可能性もあります。
真面目な人ほど「仕事を辞めたらみんなに迷惑がかかる」と、環境から逃げることを選択肢から外しがちです。だからこそ「転職」という選択肢を意識的に視野に入れることも必要ではないでしょうか。
壊れる前に対策を打とう
真面目な人ほど「自分が頑張ればいいから」と、頑張って頑張って、自分が壊れてしまいます。家族など、自分の大切な人のために頑張った結果、自分が壊れてしまったら本末転倒です。
周囲のために頑張る気持ちは大切ですが、自分自身の限界をキャッチし、限界を超えないようにすることで、結果的に周囲に与える影響も少なく済みます。
自分を大切にすることは、周囲の大切な人を大切にすることと同じです。その逆も然りです。
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