わからないことを質問するのに苦手意識を持っていませんか?

とくに社会人になりたてだと、先輩達が忙しそうで質問しづらい、質問ばかりすると無能な奴認定される、と思っている人も少なくありません。

しかし学生の頃とは違い、わからないことを放置すると、自分だけではなく職場全体に悪影響を及ぼします。

このコラムでは、わからないことを聞くのが苦手な原因と、質問が上手くなる5つのプロセスを紹介します。

質問するのが苦手だとお悩みの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

わからないことを聞くのが苦手な原因

わからないことを聞くのが苦手な原因は、主に下記の5つにわけられます。

  • うまく言語化できない
  • できない奴と思われたくない
  • 迷惑をかけたくない
  • 相手の反応が怖い
  • 上司に委縮している

それぞれ解説します。

うまく言語化できない

質問するのが苦手な理由として、疑問点をうまく言語化できないことが挙げられます。とくに、業務に対する理解度が低い場合、わからないことがわからない状態なので、言語化が困難となるのです。

聞きたいことがあるのに要領を得ず、勇気を出して質問したものの相手には伝わらず、「結局何が言いたいの?」と言われて落ち込むことも。

質問を躊躇するようになり、悪循環に陥ってしまいます。

できない奴と思われたくない

仕事での評価を気にして、「何もわかってないな」と思われたくなくて、質問に苦手意識を持つ人が少なくありません。

根底にあるのは「仕事ができる人は、誰にも頼らずに業務をこなせる」という認識です。

確かに、自力で業務をこなせるのは、能力があるからこそ。それに、何でも1人でこなせるのはかっこいいですよね。

しかし、社会生活においてはわからないことを適切に聞く能力のほうが重要です。

長い社会人生活の中で、わからないことは必ず発生します。長期視点でみたときに、独力で業務をこなす能力よりも、質問する能力を身につける努力をするほうがよいでしょう。

迷惑をかけたくない

職場の人達に迷惑をかけたくない、と質問を遠慮するパターンです。

忙しすぎて、ピリピリした雰囲気の職場でよくあります。

先輩が忙しそうにしているのを見て「今話しかけたら迷惑かな…」と質問するのをためらうこともしばしば。

気を遣い過ぎて、質問するタイミングをつかめずに、質問に対する苦手意識が生まれてしまいます。

相手の反応が怖い

質問したときの相手の反応が怖くて、わからないことを聞くのに苦手意識を持つ人もいます。

勇気を出して質問したのに、邪険に扱われた経験はありませんか?

その経験がトラウマとなり、「質問したら怒られるかな?嫌な態度をとられるかな?」と、起きてもないことをあれこれ考えてしまい、質問を躊躇してしまうのです。

このパターンは、聞きやすい人には気兼ねなく質問できるケースが多いです。

上司に委縮している

上司に委縮している人も、わからないことを聞くのが苦手な傾向にあります。

上司が気分屋だったり高圧的だったりする場合、部下はどうしても委縮します。

「この間は上機嫌で教えてくれたのに、今日はすこぶる機嫌が悪い…」「質問すると『そんなこともわからないのか!』と怒られる」など、理不尽な目に合うため、質問をすることでメンタルが消耗するのです。

このケースは環境にも問題があるため、質問する側の努力だけでは、改善は難しいかもしれません。

質問が上手くできる5つのプロセス

わからないことを聞くのに苦手意識がある人は、質問をするときに下記の5つのプロセスを意識してみましょう。

  1. わからないことを明確に言語化する
  2. 誰にどのタイミングで質問するか考える
  3. 相手に配慮した質問の方法を考える
  4. 実際に質問する
  5. 答えてもらったらお礼を言う

質問が苦手な人は、5つのプロセスのどこかでつまずいていることが多いです。

ひとつずつ解説します。

わからないことを明確に言語化する

まずはわからないことを明確に言語化します。

わからないことを明確にしないまま質問をしても、なにを聞きたかったのかわからないまま終わる、といったことになりかねません。

わからないことを箇条書きでまとめておくと、スムーズに質問ができます。質問がわかりやすくまとめられているため、質問を受ける側も答えやすくなり、双方にメリットがあります。

ポイントは、業務の全体像を考えた上で疑問点をピックアップすることです。全体像を捉えることで、仕事のゴールが明確になるため、質問内容もわかりやすくなります。

質問が苦手すぎて緊張してしまう人は、何を言うか一言一句書き出すのもよいでしょう。

誰にどのタイミングで質問するか考える

質問をまとめたら、誰にどのタイミングで質問するかを考えましょう。

質問を受ける相手にも都合があります。得意分野と苦手分野もあります。相手の都合を考え、スムーズかつ負担なく答えてもらうように配慮が必要です。

質問内容について詳しい人は誰か、その人の状況はどのようになっているかを考え、なるべく負担のないタイミングで質問するようにします。

聞きやすいからといって、いつも同じ人に聞かないようにすることも大切です。つい、優しくて声をかけやすい人ばかりに質問しがちですが、いつも同じ人ばかりに質問をすると、その人の負担となってしまいます。質問する相手とタイミングは客観的に判断しましょう。

相手に配慮した質問の方法を考える

相手が答えやすい質問の仕方を考えるのも重要です。具体的にどの部分がわからないのか、不明点があるためにどのようなことで困っているのかを伝えることで、質問の受け手も回答しやすくなります。

また、可能であれば自分の考えを持った上で質問をするようにしましょう。自分なりに考えたり調べたりしたけれど、どうしても解決できなかったといった姿勢を見せることで、相手はあなたのやる気を感じます。自分なりに考えることは成長にもつながるため、重要なポイントです。

同じことを再び聞くときは「以前教えてもらっているのに申し訳ありませんが」など、配慮の言葉を添えましょう。

実際に質問する

質問内容をまとめ、誰にどのタイミングでどのように質問するかを整えたら、実際に質問しましょう。

忙しい職場だと、タイミングを見計らうのに苦労するかもしれませんが、相手の負担とならないタイミングで質問をします。

声をかけるときは、いきなり質問をするのではなく「〇〇についてお伺いしたいことがあるのですが、今お時間よろしいですか」など、相手の都合を確認する言葉がけをしましょう。

一見忙しそうに見えなくても、実は忙しかった、といったこともあるため、質問をするときは、相手がどのような状況でも、ひと言沿えてから本題に入ることがマナーです。

答えてもらったらお礼を言う

質問に答えてもらったらお礼を言いましょう。

どんなにささいな質問でも、相手は自分のために時間と労力を使ってくれています。それは悪いことではありませんが、感謝の気持ちを言葉に出すことで、相手の受ける印象も変わります。次に質問するときの対応も変わるかもしれません。

仰々しくお礼を言う必要はなく、「お時間をいただきありがとうございました」と、最後にひと言添えましょう。

今後もお互いに気持ちよくコミュニケーションを取るためにも、大切なポイントです。

質問できるようになる心の持ち方

わからないことを聞くのが苦手な人は、質問をするのはよくないことと考えている傾向にあります。

ここでは質問ができるようになる心の持ち方を解説します。視点を少しだけ変えると、質問することに対するハードルが下がるため、ぜひ参考にしてください。

万人に好かれることは無理と割り切る

わからないことを聞くのに抵抗感のある人は、質問をすることで相手に迷惑をかけるのを恐れているのではないでしょうか。

そのようなときは、万人に好かれるのは無理だと割り切ることが大切です。

質問されて快く答えてくれる人、嫌な態度を出す人、さまざまな人がいます。万が一、嫌な態度を取られたら「そのような人なんだ」と気にしないようにしましょう。

質問は恥ではなく成長の機会と理解する

優秀といわれている人達は、わからないことを素直に聞ける人が多いです。わからないことをすぐに解決することで知識が増え、成長につながるためです。

逆に、知ったかぶりをしたり質問せずに放置したりすると、疑問点が解決しないままとなってしまうため、成長のチャンスを逃がしてしまうことも。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉もあるように、その場は恥ずかしいかもしれませんが、わからないことはきちんと解決するようにしましょう。

※聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥…知らないことをたずねるのは、その場は恥ずかしい気がするが、聞かずに知らないままに過ごせば、生涯恥ずかしい思いをしなければならない。そのため知らないことは積極的に尋ねるほうがよい、という意味のことわざ。

参考:コトバンク

わからないことを放置する方が職場にも悪影響と気づく

わからないことを放置すると、ミスや手戻りが増えるため、職場に悪影響を及ぼします。

ミスの程度によっては、取引先に影響が生じたり、信頼を失うことにもなりかねません。

場合によっては職場の人に気を遣って質問できないこともあるかもしれませんが、その気遣いがかえって悪い結果を及ぼすこともあるのです。

自分のためにも職場のためにも、わからないことは積極的に質問するようにしましょう。

質問するときの注意点

最後に、仕事で質問をするときの注意点を解説します。

自分で調べることを放棄しない

自分で調べる前になんでも質問するのは控えましょう。わからないことを聞くのは悪いことではありませんが、問題解決を人任せにしている印象を与えるからです。

自分にとって難しいことであっても、自分なりに解決する姿勢を見せたうえで質問すると、相手も「自分なりに解決しようとしたんだな」と快く力になってくれるでしょう。

自分で調べることを放棄しないのは、円滑な人間関係を築く上で重要なポイントです。

相手の状況を察する努力をする

「わからないことがあったらいつでも聞いてね」と言ってくれた相手でも、場合によっては質問に答える余裕がない場合もあります。

質問をするときは、相手の状況を確認しましょう。周りの状況を察するのが苦手な人もいると思いますが、察する努力が必要なのです。場数を踏むうちに、なんとなく状況把握ができるようになります。

疑問点はすぐに解決したくなりますが、ひと呼吸おいて相手の状況を確認してから質問するようにしましょう。

まとめ

質問をする能力は、才能による部分もあります。質問するのが得意な人は、この記事で紹介したプロセスを自然に実行できるのです。

しかし、質問プロセスを自然に実行できなくても大丈夫。訓練することで、自然に質問ができる能力が身につきます。最初はうまくいかなくても、場数を踏むことが大切です。

とはいえ、職場の雰囲気によっては質問を許さない環境があるかもしれません。そういった場合は、転職も視野に入れてみましょう。

わからないことを聞ける環境は、働く上で重要です。あなたの仕事人生がより良いものとなるよう、エムアイエスエージェントは応援しています。