「営業は将来性がない」「キャリアにならない」といった声を耳にすることがあります。しかし、本当にそうなのでしょうか?

営業職は、一見華やかだけど潰しが効かないというイメージがあるかもしれませんが、実は多くのスキルを身につけることができる仕事です。

この記事では、営業職で身につく強みや、キャリアアップの方法について解説していきます。営業職に興味のある方、将来について悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

営業職がキャリアにならないと言われる理由

結論からいうと、営業職がキャリアにならないということはありません。では、なぜそのようなことを言われるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

専門的なスキルが身につきにくい

営業職は、顧客とのコミュニケーション能力や交渉力といった汎用的なスキルは磨かれるものの、特定の業界や製品に関する専門的なスキルを深める機会が少ないと捉えられがちです。

プログラマーやエンジニアのように、ある特定の分野で高い専門性を築くことが難しいという点が、キャリア形成において不安視される理由となっています。

数値による評価が見えにくい

営業職は、売上目標達成といった数値によって評価されることが多いですが、個々の営業活動がどのように売上につながっているのかを可視化することが難しいという側面があります。

たとえば、ある顧客との関係構築が将来的な大口契約に繋がったとしても、その成果がすぐに数値として現れるとは限りません。このため、自身の貢献度を客観的に評価することが難しく、モチベーションの低下やキャリアプランの築きにくさにつながることがあります。

業務のIT化が進んでいる

AIや顧客管理システム(CRM)の普及により、営業活動の自動化や効率化が進んでいます。特に、データ分析や顧客との初期コミュニケーションなどは、自動化の割合が増えています。このため、単純な事務作業や定型的な業務は、今後、AIに置き換えられていく可能性が高いでしょう。

AIやツールへの代替による将来性の不安が「営業はキャリアにならない」と言われる理由のひとつです。

しかし、AIはあくまでもツールであり、人間にしかできない創造性や共感能力といったものは代替できません。顧客との信頼関係を築き、複雑な課題を解決するためには、人間ならではのコミュニケーション能力が依然として重要です。

若いうちにしかできないと思われている

営業職は、体力や若さを活かして、顧客を訪問したり、長時間労働をこなしたりすることが求められるというイメージが根強くあります。そのため、「若いうちにしかできない仕事」という固定観念が、キャリア形成の障壁となっているケースもあります。

しかし、営業職は、年齢や体力だけでなく、経験や知識が活かせる仕事でもあります。例えば、ベテラン営業社員は、豊富な経験に基づいた提案力や交渉力を持つことで、若手社員にはない強みを発揮することができます。また、テレワークの普及など、働き方の多様化が進んでいることで、年齢や体力に関係なく、活躍できるフィールドが広がっています。

営業職で身につく強み3選

営業職では社会人に求められるスキルが多く身につきます。ここでは営業職で身につく強みとして代表的なものを紹介します。

  • コミュニケーション能力
  • ねばり強さ
  • マネジメント能力

コミュニケーション能力

営業職は、顧客と直接対話する機会が最も多い職種のひとつです。そのため、他職種と比べてコミュニケーション能力が鍛えられます。

営業職で鍛えられるコミュニケーション能力
  • 顧客のニーズを引き出すヒアリング力
  • 自社サービスの魅力を効果的に伝える方法
  • 相手の立場に立って考える力
  • 言葉だけでなく態度や表情で相手に安心感を与える力

営業職で培った能力は、どの職種でも重宝されるでしょう。

ねばり強さ

営業職は、目標達成のために、困難な状況にも立ち向かうことが求められます。顧客の予定に合わせたスケジューリングや無茶な要望の受け入れ、ときには顧客から拒絶されたり競合との激しい争いに巻き込まれたりすることもあるでしょう。営業職は肉体的にも精神的にもハードな仕事です。

営業職を経験することで、少しのことではめげない心と粘り強さが養われます。営業の現場で培われるねばり強さは、困難な状況でも諦めずに努力を続けることができるという、どんな仕事にも通じる大切な資質です。

マネジメント能力

営業は、単独で目標を達成するだけでなく、チームで目標を達成することが求められることもあります。チームメンバーの能力を最大限に引き出し、協力し合いながら目標を達成するためには、マネジメント能力が不可欠です。

営業の現場で培われるマネジメント能力は、目標設定、進捗管理、メンバーとのコミュニケーション、問題解決など、多岐にわたります。これらの能力は、将来、マネジメント職を目指す上でも大きな武器となります。

営業職がキャリアアップするための方法

営業職とひと口にいっても、キャリア構築は人によって異なります。ここでは、営業職がキャリアアップするための方法を解説します。

結果が出るプロセスを理解し説明する力を身につける

スキルアップや転職の際に重要なことは、自分の出してきた成果を具体的に伝えることです。「粘り強く頑張った」や「顧客のために親身になった」など抽象的な表現では、相手の心に刺さりません。

営業職として試行錯誤するうちに、どのようにすれば結果につながるか、そのプロセスを何となく体感しているでしょう。それを具体的に言語化することで、独自の強みをアピールできるようになります。

自己分析をする

キャリアアップで大切なことは、自分の長所を活かすことです。自分の苦手な領域でキャリアを伸ばそうとしてもうまくいかないかもしれません。逆に自分の得意領域を伸ばすほうが効率よくキャリアアップにつながります。

よくある失敗として、好きだけど適性に乏しいジャンルでキャリアアップを図ろうとすることが挙げられます。自己分析が足りていないばかりに、自分の特性を無視して「好き」という気持ちだけで物事を判断すると、あまりよい結果にならないことが多いでしょう。

得意領域でキャリアアップしていくためには、自己分析が必要です。自分は何が好きで何が嫌いか、何が得意で何が苦手かを明確にし、バランスの取れた選択をしましょう。

営業活動で成果を残す

キャリアアップをするためには、現職での実績アピールはマストです。「営業成績でトップを取った」「リピート率〇%だった」など、具体的なアピールができるように、今の仕事を全力で頑張りましょう。

営業職のキャリアアップには資格取得もおすすめ

営業職は、社会人としての基礎的なスキルを多く身につけることができます。その反面、汎用的なスキルが多いことから、キャリアにならないと誤解されてしまうのです。

確かに、専門性という面では劣ってしまう面もあるかもしれません。資格取得などで専門性を身につければ、営業職としてのキャリアアップでも、別業界での転職でも有利に働くことでしょう。

 とくに、英語をマスターすればコミュニケーションスキルとの相乗効果によって、接客・サービス業で歓迎されるはず。高級ホテルなどへの転職に活かせるでしょう。

自分がどのようなキャリアを築きたいかを明確にし、目標に向かって努力することが重要です。