プログラミングができなくて悩んでいる社内SEは案外多くいます。日頃の業務でプログラミングをする機会の少ない社内SE、いざ将来のことを考えたときに不安になるのも無理はないでしょう。

この記事では社内SEの仕事内容を軸に、社内SEとプログラミングについて解説します。

社内SEはプログラミングできなくても大丈夫なのか

社内SEはプログラミングできなくても大丈夫なのか、その実態を解説します。

社内SEは仕事でプログラミングをしないケースが多い

システムの自社開発をしない会社では、社内SEは業務でプログラミングスキルを求められる機会がありません。どちらかというと運用・保守やマネジメント業務が主になるため、プログラミングができなくても業務に支障がないケースが多いです。

実際の現場では、忙しすぎてプログラミングに携わる時間がないといった実情もあります。とくに中小規模の会社では、外注できる部分は外注したほうがコストメリットが出るため、社内SEにプログラミングスキルを求めないのです。

会社の「IT」について広く携わる

社内SEはシステムの運用保守やインフラのトラブルシューティング、社員からのITに関する問い合わせ対応など、会社の「IT」に広く携わります。システムを修正するなど、深い専門性を要求されることは少ないですが、適宜ベンダーに指示を出すなどの問題解決能力が求められます。

プログラミングの基礎知識はあったほうがいい

とはいえ、システムやインフラの保守・運用やベンダーとの調整をこなすだけでは、社内SEとしてのキャリアアップは難しいでしょう。社内SEに必要なのはプログラミングの基礎知識やプログラミング思考です。

プログラミング思考とは、物事を効率的に意図した方向に動かすために、論理的に考える力をいいます。

プログラミングの基礎知識を持っていれば、ベンダーとのコミュニケーションもスムーズになります。各種トラブルシューティングの際には最短かつ最適な解決策が求められるため、プログラミング思考は必要不可欠です。

高いお金を払ってプログラミングスクールに通う必要はありませんが、プログラミングの入門書を読むなどして、知識を身につけましょう。

社内SEの仕事内容

社内SEの仕事内容について解説します。

  • 社内システムの運用・保守
  • 社内のIT機器やネットワーク管理
  • システムの企画・検討
  • 外注業者の管理
  • 社員からの相談対応

社内システムの運用・保守

社内で使用しているシステムの運用・保守を実施します。システムが滞りなく動き、社員が支障なく業務を遂行できるようにサポートする、いわば裏方のような役割ですが、会社にとっては重要な仕事です。

システムに不具合が生じると業務が停止してしまい、大きな損失につながるリスクもあります。また、社員の声を細かく反映し、より使いやすいようにメンテナンスできるのも社内SEならではです。

社内のIT機器やネットワーク管理

社内のパソコンやタブレット、ネットワーク環境など、社員がITを使用するのに必要なツールやインフラの整備も社内SEの役割です。

セキュリティ面の管理も実施する必要があり、インフラについての知識が求められます。

システムの企画・検討

会社がシステムの新規導入やシステム変更をする際、社内SEは企画段階から携わります。

社内SEが少人数の会社では、経営会議など会社の根幹となるような会議に新人の立場で加わるケースも。ITの専門職として、経営会議の場で意見を求められるため、プレッシャーもありますが、大きなやりがいを感じるでしょう。

外注業者の管理

大企業であれば社内SEがシステムの開発・構築を実施するケースもありますが、多くの企業でシステム導入時にはベンダーが介入するケースが多いでしょう。

社内SEは、ベンダー選定からスケジュール管理、ベンダーと会社の橋渡し的役割など、システム開発のマネジメントを担当します。

社員からの相談対応

社内SEは「パソコンの何でも屋さん」のような立ち位置になりやすいです。「パソコンが固まった」「パスワードを忘れた」など、質問内容は多岐に渡ります。

ときには「どうしてこんな質問に答えないといけないの」とイライラするかもしれませんが、ささいなことにも対応することで社員からの信頼を獲得でき、結果的に働きやすくなるでしょう。

社内SEに必要な能力

社内SEに必要なスキルは以下のとおりです。

  • コミュニケーション能力
  • システムの基礎知識
  • マネジメント能力

コミュニケーション能力

社内SEに必要なのはなんといってもコミュニケーション能力です。

経営陣にもわかるようにシステムのメリットを伝え、社員の質問には嫌な顔をせず対応し、ベンダーにはIT専門職として理路整然と自社の状況と要望を伝えるなど、場面に合わせたコミュニケーションが求められます。

他のIT職では、エンジニアもしくは専門職同士でのコミュニケーションだけで済むことも多いため、事実に基づいてわかりやすく端的なやり取りが好まれます。しかし社内SEはIT職以外の人とコミュニケーションを取ることが多いため、事実ベースに偏ったやり取りではうまくいかないかもしれません。共感したり寄り添う姿勢をみせたりといった、人間関係を円滑にするコミュニケーション能力が求められます。

システムの基礎知識

プログラミングスキルが乏しくても、社内で使用しているシステムの知識は必要不可欠です。社員からの質問に答え、トラブル発生時は自分で対応できるのかベンダーに報告するのかといった判断をするには、システムについて体系的に把握しておく必要があります。

マニュアルを理解し、自社システムについて確実に対応できるようにしましょう。

マネジメント能力

システム導入や変更時の社内スケジュール管理、ベンダーとの調整など、社内SEにはマネジメント能力が欠かせません。イレギュラーを考慮した上でスケジュールを組み、ベンダーに的確な指示を出し、プロジェクトを完遂させることが求められます。

プロジェクトを進める中で、経営層とベンダーの意見が合わないこともしばしばあるでしょう。経営層ともベンダーとも良好な関係を構築する必要があるため、あらゆる面での折衝能力も求められます。

社内SEにオススメの資格

社内SEになるのに特別な資格は必要ありません。しかし、社内SEとして働くためには基礎的なITの知識は必須です。知識を身につけるのはもちろんのこと、客観的な能力の証明となるため、資格の取得は役に立ちます。社内SEとしてスキルアップしたい人は参考にしてください。

【オススメの資格】

  • 基本情報技術者試験
  • プロジェクトマネージャ試験
  • オラクルマスター
  • ITストラテジスト試験

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IT業界で働く上で必要となる基礎的な知識を問われる国家試験です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA 以下、IPA)が運営し、経済産業省が認定します。IT業界に携わる多くの人が、最初のステップとしてチャレンジする資格です。

問題構成は、情報処理全般に関する基礎知識を問う「科目A(60問・選択式)」とアルゴリズムやデータ構造、ソフトウェア設計など、より実践的な知識を問う「科目B(20問・記述式または選択式)」となっています。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は、IPAが実施する国家試験「情報処理技術者試験」のひとつで、プロジェクトマネジメントの知識と経験を総合的に評価する試験です。合格率は例年10%と、難易度は高いものの、合格することで、システム開発計画を円滑に運営できる高度なスキルを持っている証明となるため、チャレンジする価値は十分にあります。

社内SEとしてある程度の経験を積んだ人のステップアップや、30代以上で異業種から社内SEにチャレンジする人に向いている資格といえるでしょう。

オラクルマスター(ORACLE MASTER)

オラクルマスターはOracle社が実施する認定資格で、Oracle Database(オラクルデータベース)というデータベースの知識が問われます。いわゆるベンダー資格といわれるものです。オラクルデータベースは企業の基幹システムやWebアプリケーションなど、さまざまなシステムの基盤として利用されています。そのため、社内SEがデータベースの知見を深める際に汎用性が高い資格です。

オラクルマスターには4つのランクがあり、難易度が低い順にBronze(ブロンズ)、Silver(シルバー)、Gold(ゴールド)、Platinum(プラチナ)となっています。

合格することでそれぞれの難易度に応じたオラクルデータベースの管理スキルを証明できるようになります。

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験もプロジェクトマネージャ試験と同じく、IPAが実施する国家試験「情報処理技術者試験」のひとつで、経営戦略に基づいて最適なIT戦略を策定・提案・推進する能力を示す資格です。

ITストラテジスト試験もプロジェクトマネージャ試験と同じく、IPAが実施する国家試験「情報処理技術者試験」のひとつで、経営戦略に基づいて最適なIT戦略を策定・提案・推進する能力を示す資格です。

合格率は14~15%程度で、難易度は非常に高いといえます。大手企業の社内SEとして、より経営に近いポジションで活躍したい人や、ITコンサルタントにステップアップしたい人に向いている資格です。

まとめ

社内SEはSEと名のつくものの、業務内容は一般的なSEとは異なります。そのためプログラミングができなくても仕事はできるのですが、自分の目指す将来に合わせて、自主的にスキルを身につけることが大切です。