営業活動や社内会議、マニュアルなど、社会人に資料作成はつきものです。資料作りが上手い人は出世しやすいとも言われるほど、資料作りは仕事の質を左右します。
この記事では、資料作りに苦手意識がある人に向けて、資料作りが上手い人の資料の特徴や、苦手意識を持つ理由、上手な資料作りのコツを解説します。
資料作りに苦手意識のある人はぜひ読んでみてください。
資料作りが上手い人の特徴8選
資料作りが上手い人にはいくつかの特徴があります。ここでは8つにまとめて紹介します。
- 資料作成のゴールが明確になっている
- 資料を使う対象者の解像度が高い
- 資料を使うシーンをイメージできている
- 簡潔な文章で要点を捉えている
- データを適切に使用している
- デザインの形式を守っている
- 資料構成のルールを守っている
- 最終チェックを怠らない
資料作成のゴールが明確になっている
わかりやすい資料は、ゴールに向かって設計されています。資料の見栄えをよくすることだけに意識が向いてしまい、ただ漠然と資料を作るのでは、論点のぼやけた資料となってしまいます。
社内会議のためのレジュメなのか、営業のための資料なのかで、目的とゴールは大きく変わります。資料作りが上手い人は、ゴールを明確にしてから資料を作るため、わかりやすい骨子となるのです。
- 初対面の人に自社の事業を印象づける
- 営業で受注確度を高める
- 社内会議で論点を分かりやすく伝える
資料を使う対象者の解像度が高い
資料を作るときは資料を使う人に合わせることが重要です。年齢や立場はもちろんのこと、相手の理解度に合わせた言葉選びや相手が興味を持ちそうな部分をキャッチすることで、相手に響く資料となります。
資料作りが上手な人は、資料を使う対象者の解像度が高く、どのような内容であれば相手に響くか、どのような言い回しなら理解しやすいかなどを考えながら作成しています。
資料を使うシーンをイメージできている
資料作りが上手い人は、資料を使うシーンをイメージした上で、用途に合わせた資料作りをしています。
たとえば、提出用の資料とオンラインミーティングで使用する資料では使われ方が異なります。提出用の資料では、資料を読んで内容を理解してもらうため、資料内の説明が多いほうが伝わりやすくなります。
対してオンラインミーティングで使用する資料では、モニター画面で資料を見ることを踏まえて、文字量はなるべく少なく文字サイズは大きいものが見やすいでしょう。
資料作りが上手な人は、どのように資料を使うかを考慮して、適切な組み立てにしているのです。
簡潔な文章で要点を捉えている
資料で大切なことは、わかりやすいことです。資料作りが上手な人の資料は、簡潔なテキストでピンポイントに要点を捉えています。
長い文章は読み込んで理解する必要があるため、資料には基本的に不向きです。配布するだけの資料など読むことを前提とした資料では長文でも問題ありません。しかし、プレゼンや営業に使う資料で長文を用いると、耳からの情報と目からの情報の両方を処理しないといけなくなるため、かえって伝わりにくくなってしまいます。
データを適切に使用している
数値を提示するときは、官公庁や大手企業など信頼性の高い出典元の数値を引用すると、数値の信憑性が増し、説得力のある資料になります。
資料作りが上手な人は、要所でデータを活用しており、聞き手に納得してもらえるよう意識しています。
引用する際は、無断で使用すると著作権違反となってしまうため、出典元を必ず明記しましょう。
デザインの型を守っている
資料作りが上手な人は、資料のデザインに統一感があります。
- 文字のフォントやサイズを統一する
- 色のトーンを揃え、本当に目立たせたいところだけ違う系統の色を使う
- 見出しの始まる位置など、ささいな部分に気を配る
上記のことを意識して作ることで、デザインにまとまりが生まれます。
資料構成のルールを守っている
資料作りが上手な人は、資料全体の構成にも注意を払います。
伝えたい内容によってスライドの順番を計画し、対象者が理解しやすい資料にします。
基本的には以下の流れに沿って、ケースによってセクションごとのボリュームを調節するとよいでしょう。
- 導入:テーマの背景・現状の提示
- 本論:問題点
- 結論:解決策
- 補足
上記の構成を守ることにより、対象者は論理的に理解できるようになります。
最終チェックを怠らない
質の高い資料には、ミスや誤字脱字がないことも重要です。資料作りが上手い人は、最終チェックにもぬかりはありません。
誤字脱字以外にも、デザインのバランスや資料の流れなど、全体から細部までチェックすることが重要です。
資料作りが難しいと感じる理由
資料作りに苦手意識がある人は、だいたい同じポイントで難しいと感じるようです。ここではその理由を解説します
何から手をつけてよいかわからない
資料作成に当たって、多くの人が最初に「パワーポイントを開く」ことから始めてしまうのではないでしょうか。しかし、いきなりパワーポイントに飛びつくことは、かえって作業効率を下げてしまう可能性があります。
資料作成は、単に情報を並べるだけではなく、いかに効果的に伝えるかが重要です。そのため、最初に資料の目的や伝えたいことを明確にし、全体像を把握することが不可欠です。
資料構成の基礎が分からない
資料の構成は、相手に情報をスムーズに理解してもらう上で非常に重要な要素です。しかし、資料構成の基礎が分からないために、何をどこに入れていいのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
結論が大切だから最初に結論を持ってきてしまい、何が何だかわからない資料になってしまうケース、反対に、背景部分を説明し過ぎて何がいいたいかわかりにくい資料になってしまうケースなどが挙げられます。
デザインに苦手意識がある
資料のデザインは、見た目の美しさだけでなく、内容の理解度にも大きく影響します。しかし、デザインに苦手意識があるために、資料作成を避けてしまう人もいるかもしれません。
いきなりデザイナーのような見た目を目指すあまりに、イラストや色を多用し、ごちゃごちゃとした見た目の資料になりがちです。ワードアートで文字を画像化するケースもこれに当てはまります。
内容に優先順位をつけられない
資料作りが苦手な人は、すべての内容が重要だと感じてしまい、内容に優先順位をつけられないことがあります。
資料の作り手は、業界のことを知っているため、相手にも自分と同じ知識や情報を伝えたいと思いがちです。そのため、すべてのセクションに熱が入ってしまい、肝心の結論のところになると聞き手が力尽きてしまい大切なことが伝わらないことも珍しくありません。
誰でもできる資料作成の5ステップ
最後に、資料作りが苦手な人でも上手に資料が作れるようになる5ステップを紹介します。
- 資料作成の目的と目標を決める
- 全体の構成を考える
- デザインの基礎に沿ってテキストと図を挿入する
- データ引用できるところはデータを用いる
- 全体を見直す
資料作成の目的と目標を決める
資料を作成する前に、まず「なぜこの資料を作るのか?」という目的を明確にすることが重要です。単に情報をまとめるだけでなく、プレゼンテーションで聴衆を説得する、上司に企画を承認してもらうなど、資料作成の目的は様々です。目的が明確になれば、伝えたいことが絞り込みやすくなり、より効果的な資料作りが可能になります。
さらに、目的を達成するために、具体的な目標を設定しましょう。「〇〇について理解してもらう」「〇〇を承認してもらう」など、数値化できる目標を設定することで、資料作成の進捗を測りやすくなります。
全体の構成を考える
目的と目標が決まったら、次に全体の構成を考えます。構成は、資料の骨格であり、読者や聴衆が情報をスムーズに理解するための道標となります。
構成を考える際には、以下の点に注意しましょう。
- 導入:資料のテーマや目的を簡潔に伝え、読者の興味を引きつける。営業資料でいう「背景・現状の提示」部分
- 本論:具体的な内容を論理的に展開する。営業資料でいう「問題点の提示」部分
- 結論:本論で述べた内容をまとめ、目的達成のための提案や結論を示す。営業資料でいう「解決策の提示」部分
- 補足:必要に応じて、補足説明やデータなどを加える
構成は資料の種類や内容によって異なりますが、基本的にはこの流れを意識することで、分かりやすい資料を作成することができます。
デザインの基礎に沿ってテキストと図を挿入する
資料のデザインは、単に見た目を良くするだけでなく、情報の伝わりやすさに大きく影響します。デザインの基礎を意識することで、より効果的な資料を作成することができます。
- フォント:「游ゴシック」や「BIZ UDPゴシック」など可読性の高いフォントを選ぶ。文字サイズは基本的に同じにし、強調したい部分のみ太字にし、メリハリをつける
- 色:「文字の色」「メインカラー」「アクセントカラー」の3色が基本。まずはメインカラーを決めます。色をつけるときは基本的にメインカラーを使用し、とくに目立たせたい部分だけアクセントカラーを使用する
- 図表:図表は、数値や情報を視覚的に表現するのに有効。種類やデザインを工夫することで、より効果的に情報を伝えられる
- 余白:適切な余白をとることで、見やすくすっきりとした資料になる。対象者にわかりやすくしようと、文章のまとまりを枠線で囲みがちだが、枠線の使用を減らすだけでも余白のある見やすい資料となる
データ引用できるところはデータを用いる
資料に説得力を持たせるためには、データの活用が不可欠です。
- 信頼できるデータ源:政府統計、学術論文、業界レポートなど、信頼できるデータ源から情報を収集する
- データの可視化:図表やグラフを用いて、データを視覚的に表現することで、より分かりやすく情報を伝えられる
- データの解釈:データを単に提示するだけでなく、その意味を説明し、結論と結びつけることが重要
全体を見直す
資料が完成したら、必ず全体を見直しましょう。
- 論理的な整合性:各部分が論理的につながっているか
- 誤字脱字:誤字脱字がないか
- デザインの統一性:デザインが統一されているか
- 分かりやすさ:対象者が理解できる言葉遣いになっているか
まずは優れた資料のマネから始めよう
資料作りの上手下手は、センスによるところもありますが、資料作りのポイントを知っているかが大きなカギを握っています。とはいえ、ポイントを学んだからといって実践でうまく使いこなすのは難しいでしょう。最初は上手な資料のマネからはじめ、徐々に自分のものにしていくことが、上達への近道です。
資料作りは数をこなせば上手になります。苦手意識を取り払うためにも、積極的に資料作りにチャレンジしましょう。