2020年の新型コロナウイルスの大流行をきっかけに、多くの会社がリモートワークを取り入れました。
それまでは一部の人だけの働き方だったリモートワークが身近になり、働き方改革と相まって、柔軟な働き方を後押ししてくれます。
無理なく働こうと思ってフルリモート勤務を検討しているものの「フルリモートは絶対にやめとけ」などとネットで見て「やっぱりフルリモートってよくないのかな」と思っていませんか?
この記事ではフルリモート勤務について、「やめとけ」と言われる理由やメリット・デメリットなどを解説します。
フルリモート勤務に不安を持っている人はぜひ読んでください。
フルリモートは「やめとけ」と言われる理由
フルリモート勤務が「やめとけ」と言われやすい理由を解説します。
- 人間関係構築がしづらい
- 仕事とプライベートがあいまいになる
- ついサボってしまう
- 完全成果主義になってしまう
- スキル向上につながりにくい
人間関係構築がしづらい
フルリモート勤務は対面でのコミュニケーションを取れないため、人間関係が構築しづらいのは事実です。
画面越しでもコミュニケーションは取れますが、実際に会って会話をするのと比較すると、伝わる情報量が圧倒的に少なくなります。
オフィス勤務だと、仕事中のふとした雑談から相手の人となりを知ることができ、相手との距離が近づくことも。フルリモート勤務は、雑談をする機会が圧倒的に少なくなるため、ビジネスライクになりがちです。
仕事を通じて人間関係を築くことももちろん可能ですが、関係性の構築に時間がかかります。
仕事とプライベートがあいまいになる
フルリモート勤務は、基本的に家が職場です。そのため、仕事とプライベートがあいまいになりやすくなります。
多くの人が場所を変えると気分が切り替わる経験をしたことがあるのではないでしょうか。フルリモート勤務は、会社についたら「オン」、家に帰ったら「オフ」といったスイッチの切り替えができません。スキマ時間でチャットを返したり、細かい作業をしたりと、いつも仕事をしている状態になりがちです。
家で完全に仕事から離れてリラックスする時間が減るため、ストレスが溜まりやすくなります。
ついサボってしまう
フルリモート勤務は周囲の目がないため、ついサボってしまいがちです。
周囲の目という強制力がないため、やる気が出ないと能率が悪くなります。サボることにより後ろめたい気持ちになるため、かえってストレスになることも。
ダラダラと仕事をすることで達成感が得られにくく、モチベーションが上がらない、という側面もあります。
サボりとの闘いに疲れて「フルリモートはやめておいた方がいい」という人が多いのかもしれません。
完全成果主義になってしまう
フルリモート勤務は完全成果主義になってしまいます。
フルリモート勤務は、仕事の成果を成果物や結果でしか測れません。
公益財団法人 日本生産性本部の調査によると、2023年7月時点においても、望ましい人事評価の比重において「仕事ぶりや態度」が「成果や業績」「仕事を行う能力」と同程度となっています。
引用:第13回 働く人の意識に関する調査(公益財団法人 日本生産性本部)
フルリモート勤務では、定性的な部分を観察することが難しく、結果的に完全成果主義にならざるを得ないため、働く側だけでなく、評価をする側も、フルリモート勤務にネガティブになってしまいます。
スキル向上につながりにくい
フルリモート勤務は、スキル向上の視点ではデメリットです。
とくに経験の浅いうちは、わからないことをすぐに先輩に質問したり、デキる上司の真似をしたりすることを繰り返し、成長していきます。
フルリモートでもオンライン勉強会で知識を身につけられますが、仕事の進め方や個別最適化された指導を受ける機会が減るため、総合的なスキル向上の機会は少なくなります。
基礎的なスキル向上を目指す人にとっては「フルリモートはやめとけ」となるでしょう。
フルリモートのメリット
フルリモート勤務のメリットは以下のとおりです。
- 出勤時間がまるまる浮く
- リラックスできる場所で働ける
- 自由な服装で働ける
- 地方でも首都圏の案件に携われる
- 合間で家事ができる
- ペットといっしょに過ごせる
それぞれ解説します。
通勤のストレスがなくなる
フルリモート勤務は自宅で仕事をするため、出勤の必要がありません。通勤時間ゼロです。
そのため通勤にかかる時間を、別のことをする時間にあてられます。時間を有意義に使えるため、日々の生活にゆとりが出ます。
通勤時間がまるまる浮くだけではなく、都会であれば満員電車、地方であれば交通渋滞など、通勤で発生するストレスからも解放されます。大雨の日に濡れながら出勤することも、寒い日に震えながら出勤する必要もありません。
通勤のストレスがなくなるのは大きなメリットです。
リラックスできる場所で働ける
フルリモート勤務は、好きな場所で仕事ができます。
自宅であれば、いつもの落ち着く空間で、誰にも気を遣うことなく集中して作業ができるため、精神的に楽になります。
企業から「在宅で」と指定がなければ、カフェや旅先での仕事も可能です。リフレッシュしながら仕事ができるのは大きな魅力です。
周囲に気を遣い過ぎてしまう人や自分の世界を大切にする人にとって、リラックスできる場所で働けるのは、ストレス軽減につながるでしょう。
自由な服装で働ける
フルリモート勤務は出社の必要がないため、基本的に自由な服装で働けます。
顧客とのオンラインミーティングのときはさすがにTPOをわきまえる必要があるものの、
それ以外は部屋着などラフな格好で働いても、誰からも文句を言われません。堅苦しいスーツから解放され、ラフな服装で働けるのは、実際かなりのストレス軽減になります。
また顧客との関わりがない仕事であれば、髪型なども自由にできるため、さらに自由度は高くなります。オシャレを楽しみたい人にとってもフルリモート勤務はメリットです。
地方でも首都圏の案件に携われる
フルリモート勤務はパソコンとインターネット環境があれば仕事ができるため、居住地の制約がありません。
地方で暮らしながら首都圏の案件に携われるため、地元志向の人や、田舎暮らしをしたい人にとって大きなメリットです。
首都圏に住んでいる人の中には、本当は地元に帰りたいけれど、条件の合う仕事がないために都会で暮らしている人もいます。
自分の住みたい場所で暮らしながら、最先端の案件に携われる、理想の暮らしをフルリモート勤務がかなえてくれるでしょう。
合間で家事ができる
フルリモート勤務は、家で仕事をするため、合間で家事をすることができます。
職場だったら小休憩にコンビニに行ったり雑談したりする時間を、夕飯の仕込みなどのちょっとした家事にあてられるので、家事効率が格段によくなります。
また、オフィス勤務であれば通勤時間になるであろう、朝夕の時間も家事に使えるのも大きなメリットです。
忙しい朝や夕方の時間に余裕ができ、仕事量を減らさずにゆとりある生活ができるようになります。
ペットといっしょに過ごせる
ペットを飼っている人の中には、ペットに長時間の留守番させることに対して心を痛めている人も多いのではないでしょうか。
フルリモート勤務は仕事で家を空ける必要がないため、1日中ペットといっしょに過ごせます。
仕事中に「うちの子、どうしてるかな」とペットを心配する必要もありませんし、ペットに寂しい思いをさせることもありません。
ペットを飼っている人にとって、フルリモート勤務は大きなメリットです。
フルリモートに向いている人
フルリモートに向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 自己管理できる人
- ある程度経験のある人
- 集中力がある人
- チャットでのコミュニケーションが苦痛でない人
- 仕事は仕事と割り切れる人
それぞれ解説します。
自己管理できる人
自己管理能力はフルリモート勤務に必須です。
納期に合わせたスケジュール管理力や、サボりたい心を律する力など、あらゆる面で自己管理を求められます。
具体的には、以下のことができる人は、自己管理能力があるといえるでしょう。
- 業務に優先順位をつけてタスク化する
- 納期までのスケジュールを組み立てる
- 自分でモチベーションを保つ
- 睡眠時間を確保して健康管理に努める
ある程度経験のある人
業界において、自走できる程度の経験がある人はフルリモートでも十分にやっていけます。
以下の能力があれば、フルリモートに向いているといえるでしょう。
- 仕事内容についてひと通り自分で判断・実行できる
- 相談が必要なラインを判断できる
とくに、相談が必要なラインを判断することは、フルリモート環境では重要です。様子が見えないため、気付いたら暴走していた、ということにもなりかねません。
ここまでなら自分で対処できるけど、それを超えたら相談が必要だ、というラインを的確に判断するためには、経験をもって自分の能力を客観的に把握する能力が必要です。
集中力がある人
フルリモートには集中力が求められます。自宅など、本来くつろげる場所で仕事をするのですから、相当の集中力が必要です。
仕事が趣味の延長、というぐらい仕事が好きな人や、コツコツと長時間作業をするのが苦痛じゃない人はフルリモートに向いています。
チャットでのコミュニケーションが苦痛でない人
フルリモート勤務のコミュニケーションは、基本的にChatworkやSlackなどのチャットツールでおこなわれます。
テキストベースのコミュニケーションだと、相手の声色や表情が見えません。また、短い文章で伝えたいことを的確に伝える力も必要です。
電話やビデオチャットでコミュニケーションを取れますが、頻繁に電話やビデオチャットをするのは、相手の時間を奪うことになるためオススメできません。
チャットでのテキストコミュニケーションが苦痛でないことは、リモートワークでも円滑なコミュニケーションを取れるため、向いている要素のひとつといえます。
仕事は仕事と割り切れる人
仕事は仕事と割り切れる人、職場にウェットな人間関係を求めない人は、フルリモート勤務に向いています。
人間関係のトラブルに巻き込まれるリスクも少なく、仕事のみに集中できるため、人間関係のストレスから解放されます。
逆に、会社でも仲間を作って和気あいあいと過ごしたい人はフルリモート勤務だと物足りないかもしれません。
フルリモートに向かない人
フルリモートは魅力的な働き方ですが、中には向かないタイプの人もいます。
- 新卒社会人
- 孤独が苦手な人
- 要領は悪いが円滑なコミュニケーションが得意な人
- 作業環境が整っていない人
新卒社会人
新卒社会人は、基本的にフルリモート勤務には向いていません。
新卒社会人は、仕事のスキルだけでなく、社会人としてのスキルも同時に学んでいく必要があります。フルリモートでは、先輩や上司とのコミュニケーション量が圧倒的に少なくなるため、成長の機会が制限されます。
新卒採用であれば、オフィス勤務を主体とし、随時指導を受けられる環境のほうが望ましいでしょう。
在学中にスキルを磨きそのスキルで生きていく、もしくは起業経験があるなどある程度の社会経験を有する人であれば、フルリモートにチャレンジしてもよいかもしれません。
孤独を感じやすい人
1人で黙々と作業をするよりも、仲間とコミュニケーションを取りながら仕事を進めるのが好きな人は、フルリモート勤務だと孤独を感じるかもしれません。
とくにひとり暮らしの人は「何日も誰とも会話しなかった」という事態になることも珍しくないため、人によっては強いストレスとなります。
寂しがり屋の自覚がある人は、フルリモート勤務よりも、出社の機会がある仕事のほうが向いているでしょう。
要領は悪いが円滑なコミュニケーションが得意な人
要領はよくないけど、周囲の人が自然と助けてくれる「愛されキャラ」タイプの人は、フルリモートには不向きかもしれません。
フルリモート勤務では、困ったときは自分から助けを求める能力が求められます。そのため、今まで自然と周囲の人が助けてくれてきたような人は、苦労する可能性が高いです。
また、仕事の能力は今一つだけど、雑用を率先してする、気配りが上手など、勤務態度で評価されるタイプの人も要注意です。長所を活かしにくいため、フルリモート勤務では評価されにくい可能性があります。
もちろん、フルリモート勤務でもコミュニケーション能力や気配りは必要です。しかし、キャラクターや気配り力を武器に生きているタイプの人は、対面で人と触れ合って働くほうが、持ち味が生きるはずです。
作業環境が整っていない人
インターネット環境が不安定、そもそもパソコンを持っていないといった人は、フルリモート勤務をするのは難しいでしょう。
どうしてもフルリモート勤務をしたいのであれば、自分で環境を整えるか、職場に相談する必要があります。
フルリモートが可能な職種
フルリモート勤務が可能な職種は、具体的には以下のようなものが挙げられます。
- ITエンジニア
- プログラマー
- プロジェクトマネージャー
- デジタルマーケター
- Webコンサルタント
- Webディレクター
- Webライター
- グラフィックデザイナー
- カスタマーサポート
- オンラインで完結する相談業務(業種問わず)
ご覧のとおり、インターネットを活用した仕事は、フルリモート勤務が可能となります。
パーソル総合研究所が2023年7月に実施した調査によると、テレワーク実施率がもっとも高いのはWebデザイナーやWebライターなどのWebクリエイティブ職(64.5%)、次いでコンサルタント(61.4%)、IT系技術職(58.2%)となっています。
フルリモート勤務の割合ではないため注意が必要なものの、リモートワークに対する理解度の高さは、IT・Web系の職種に軍配が上がります。
フルリモートのコミュニケーションの取り方
フルリモート勤務では、対面で直接話ができません。各種コミュニケーションツールを使用してコミュニケーションを取り、チーム内で連携を図りながら業務を進める必要があります。
さまざまなコミュニケーションツールがある中で、主に活用されるのは下記の3つです。
- チャットツール
- ZoomなどのWeb会議ツール
- 電話
それぞれ解説します。
チャットツール
ChatworkやSlack、LINE Worksなどのチャットツールは、フルリモート勤務の必須ツールといっても過言ではありません。
会話形式でコミュニケーションを取れたり、プロジェクトごとにグループを作れたりと、気軽かつ効率的なコミュニケーションが可能です。
チャットは記録が残るため「言った言わない」のトラブルを避けられるのもメリットです。
イメージがつかない人は、LINEのようなものと考えるとよいでしょう。
Web会議ツール
ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議ツールも、フルリモート勤務のコミュニケーションツールとしてよく使われます。
テキストコミュニケーションとは違い、会話でやり取りをするため、活発な議論をしたいときや、図解やスライドを使用して説明したい場面に向いています。
有料プランだと録音機能もあるため、コミュニケーション齟齬の防止も可能です。
Web会議はまとまった時間が必要なため、事前にスケジュールを立てておくのが一般的です。
電話
緊急を要するときは電話も活用します。
デメリットとして、相手の状況がみえないため、相手の仕事を中断させる可能性があることが挙げられます。
電話でのコミュニケーションは最小限にするほうが無難です。
よくある質問
最後に、フルリモート勤務についてよくある質問をまとめました。
フルリモートとフリーランスの違いは?
フルリモート…企業に雇われてリモートで働く形態
フリーランス…自営業者としてプロジェクトごとに仕事を受注する働き方
両方とも出社しないという共通点はありますが、雇用されているかされていないかという大きな違いがあります。
地方在住でフルリモートは可能?
地方在住でもフルリモート勤務は可能です。地方在住者こそ、フルリモート勤務の恩恵を受けられるといっても過言ではありません。
地方に暮らしながら首都圏の案件に携われるため、業界のトレンドを肌で感じることができ、給与も地方より高いことが多いため、地方在住者にこそフルリモート勤務をオススメします。
フルリモートで病むって本当?
フルリモート勤務を続ける人の中には、確かに「病んでしまう」人もいます。
フルリモート勤務で病みやすい人の特徴例は以下のとおりです。
- 人とおしゃべりするのが好き
- タスク管理が苦手
- ひとり暮らしかつ、勤務先以外のコミュニティに属していない
フルリモートはぶっちゃけ適性次第
フルリモート勤務は適性のある人にとっては、理想の働き方といえるでしょう。メリットとデメリットは表裏一体なので、人から「フルリモート勤務って止めておいたほうがいいらしいよ」と言われたとしても、自分に当てはまるとは限りません。
フルリモート勤務に興味があるけど自分に向いているかわからない、という人は、ぜひエムアイエスエージェントにご相談ください。スタッフが自己分析のお手伝いから、向いてる仕事まで、一人ひとりと面談をした上でアドバイスします。新たな働き方に一歩踏み出す際のお役に立てれば幸いです。