エンジニアには数多くの職種があります。その中で、もっともユーザーに近い部分を担当するのが「フロントエンジニア」です。

フロントエンドエンジニアは主にWebサイトやアプリケーションの表示される部分の構築を担当します。

この記事では、フロントエンジニアへの転職を目指す人に向けて、仕事内容や必要なスキル、気になる年収などを詳しく解説します。

目次
  1. フロントエンドエンジニアとは
    1. ユーザーが触れる部分を設計をするエンジニア
    2. フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違い
    3. モバイルを意識したUI設計が求められる 
  2. フロントエンドエンジニアの仕事内容 
    1. UIの設計
    2. HTMLやCSSなどのコーディング 
    3. JavaScriptでの開発
    4. WordPressなどのCMS構築やカスタマイズ
    5. デバッグ作業
  3. フロントエンドエンジニアのやりがい
    1. 最新の技術に触れられる
    2. 仕事の成果が目に見える形で残る
  4. フロントエンジニアに必要なスキル
    1. HTML・CSSに関するスキル
    2. JavaScriptやフレームワークに関するスキル
    3. CMSに関するスキル
    4. UI/UX設計スキル
    5. バックエンドに関する知識 
    6. デザインに関する知識
    7. SEOやマーケティングの知識
  5. フロントエンドエンジニアの年収 
  6. フロントエンドエンジニアになるには 
    1. 必要なスキルを身につける
    2. ポートフォリオを作成する
    3. フロントエンドエンジニアを募集している企業に応募する
  7. フロントエンドエンジニアのキャリアアップ方法
    1. 資格を取る
    2. フロントエンド以外の技術を身につける
    3. ひたすらスキルを磨く
  8. フロントエンドエンジニアに関するよくある質問
    1. フロントエンドエンジニアに向いている人は?
    2. フロントエンジニアとフロントエンドエンジニアの違いは?
    3. バックエンドエンジニアとは?
  9. まとめ

フロントエンドエンジニアとは

まずはフロントエンジニアの概要を解説します。

ユーザーが触れる部分を設計をするエンジニア

フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーションで「ユーザーが触れる部分」の設計・開発を担当します。

Webデザイナーが設計したデザインをもとに、画面上で正常に動くようにコーディングするのが、フロントエンドエンジニアの大まかな業務内容です。

ブラウザやアプリ上で画面をタップすれば思い通りの動きをしてくれるのは、フロントエンドエンジニアのおかげだといえるでしょう。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違い

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーは、ユーザーの目に見える部分を担当するという共通点があるため、混同されやすいです。しかし両者には違いがあります。

Webデザイナーは、Webページの見た目を設計するのが主な仕事です。依頼者のイメージや要望をヒアリングし、画面の構成や色調、使用する文字フォントなどを決めていきます。

最近ではWordPressなどのCMSが普及していることもあり、簡単なサイトであればWebデザイナーが開発までワンストップで請け負うこともあります。

モバイルを意識したUI設計が求められる 

Webといえばパソコンではなくスマートフォン(スマホ)が主流になって久しい世の中、フロントエンドエンジニアにはモバイルを意識したUI設計が求められます。

パソコンとスマホそれぞれに適したWebサイトの見え方にする「レスポンシブデザイン」はもはや必須といえますし、スマホでタップしやすいボタン間隔など、スマホを意識した設計が重要です。

※UI…「User Interface(ユーザーインターフェイス)」の略称。Webサイトやアプリケーションにおいて、ユーザーの目に触れる部分のこと。

フロントエンドエンジニアの仕事内容 

フロントエンジニアに限ったことではありませんが、Web開発には多職種との連携が欠かせません。フロントエンドエンジニアでは、Webデザイナーやバックエンドエンジニアとの連携がマストです。

その上で、下記に説明する業務内容を遂行することがフロントエンジニアに求められます。

  • UIの設計
  • HTMLやCSSなどのコーディング 
  • JavaScriptでの開発
  • WordPressなどのCMS構築やカスタマイズ
  • デバッグ作業

UIの設計

Webデザイナーの考案したサイトデザインに沿って、ユーザーが使いやすいようにUIを設計します。可能な限りデザインに忠実に、どのような機能や動作が効果的かを考えるのがフロントエンジニアの重要な役割です。

ときにはWebデザイナーにUIの観点から意見をすることもあります。フロントエンドエンジニアとしての意見をWebデザイナーに伝えることで、デザインも機能性も優れたWebサイトができるのです。

HTMLやCSSなどのコーディング 

サイトデザインが決定したら、HTMLやCSSを用いてコーディングします。SEOを考慮し、ユーザーにも検索エンジンにも親切なサイト構築を目指します。

JavaScriptでの開発

フロントエンドエンジニアの特徴として、JavaScriptを用いたプログラミングをおこなうことが挙げられます。

JavaScriptは、設計したUIを動かすために必要です。データベースから情報の受け渡しをする処理にもJavaScriptを使います。JavaScriptには「jQuery」などのライブラリ(素材集)があるため、ライブラリを活用しながら実装していきます。

マークアップエンジニアやコーダーがHTMLやCSSのみを扱うのに対し、JavaScriptなど幅広い技術に対応するのがフロントエンジニアの特徴です。

WordPressなどのCMS構築やカスタマイズ

CMSの普及により、Webサイト構築の知識がなくても簡単にWebサイトを管理できる時代になりました。多くのサイトでWordPressやWixなどのCMSが活用されています。

知識のない人でもWebサイトを作成できるCMSですが、デザイン性やUIの観点から、プロに構築を依頼するケースがほとんどです。ただ作るだけではなく、顧客が自分で管理しやすい環境にすることが、プロとして求められます。

通常のテンプレートでは顧客のイメージを表現できない場合には、CMS自体をカスタマイズすることもあります。CMSは誰もが使える反面、デザインの自由度が低いため、カスタマイズをすることで、管理がしやすくデザイン性にも優れたサイトになるのです。

※CMS…「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略称。Webサイトのテキストや構成、画像などを一元的に管理するシステム。テンプレートを活用することで、簡単にWebサイトの作成・管理ができる。

デバッグ作業

エラーの原因を特定し修正するデバッグ作業も、フロントエンドエンジニアの仕事です。自分の書いたコードを確認し、どこに原因があるのかを突き止め、修正します。

根気のいる作業ですが、ユーザーがWebサイトやアプリケーションを快適に使うために必要な作業です。

フロントエンドエンジニアのやりがい

フロントエンジニアは、エンジニア職のなかでも比較的華やかでやりがいを感じやすい職種だといわれています。

フロントエンジニアのやりがいは人それぞれですが、代表的なものを2つ解説します。

  • 最新の技術に触れられる
  • 仕事の成果が目に見える形で残る

最新の技術に触れられる

Webコンテンツの多様化や進化に伴い、フロントエンドエンジニアに必要な技術は目まぐるしく変化しています。

最新の技術をキャッチアップし、実行することが求められるため、IT業界の最新技術を吸収したい人にとっては大きなやりがいにつながるでしょう。

仕事の成果が目に見える形で残る

フロントエンドエンジニアは、成果物が画面上で目に見える形で残るため、やりがいを感じやすいという意見が多くあります。

仕事の成果がシステムなどの動きでしか反映されない職種が多い中、画面上で成果を実感できるため、ユーザーの反応も得やすく、それがやりがいにつながるという人も。

成果が目に見える点は、フロントエンジニアの大きな特徴です。

フロントエンジニアに必要なスキル

フロントエンドエンジニアは、業務内容が多岐に渡るため、求められるスキルも多くなります。具体的には以下のようなスキルが必要です。

  • HTML・CSSに関するスキル
  • JavaScriptやフレームワークに関するスキル
  • CMS構築のスキル
  • UI/UX設計スキル
  • バックエンドに関する知識 
  • デザインに関する知識
  • SEOやマーケティングの知識

HTML・CSSに関するスキル

フロントエンジニアはWebデザイナーが考えたデザインをコーディングし、ブラウザに表示させるのが主な仕事です。そのためHTMLやCSSを扱えることが前提条件となります。

HTMEで文書や画像を配置し、CSSでデザイン性を高め、適切にコーディングできるスキルを身につける必要があります。

JavaScriptやフレームワークに関するスキル

フロントエンドエンジニアが専門性を発揮するには、JavaScriptやJavaScriptを活用するためのフレームワークに関するスキルが必要です。

JavaScriptは画像やクリックされたボタンに動きをつけるなど、HTMLで作成したページに動きをつけることができる開発言語です。

HTML・CSS・JavaScriptの3つはフロントエンドエンジニアに必須の言語だと言われています。

HTMLやCSSと比較すると難易度は高いですが、JavaScriptやフレームワークの知識・スキルは身につけておきましょう。

CMSに関するスキル

フロントエンドエンジニアとして生き残っていくためには、CMSに関するスキルが必要です。

最近では企業サイトにおいても、社内でPDCAを回すためにWordPressなどのCMSを使ってサイト構築することが増えています。HTMLとCSSを駆使してゼロからWebサイトを構築するよりも、CMSでサイトの枠組みを作って納品するケースのほうが多いかもしれません。

CMSはそれぞれに癖があるため、世の中すべてのCMSに対応するのは難しいです。まずはシェア率の高いWordPressでサイト構築するスキルを身につけましょう。

UI/UX設計スキル

UI/UX設計とは、ユーザーがサービスを利用したときに、操作性や機能性のよさを通じてメリットを感じられる設計を指します。

たとえばデザイン性がよくても、自分の欲しい情報がどこにあるか分からず、リンクをタップしようとしてもボタンが小さすぎるWebサイトは、ユーザーの満足感を満たせません。

デザイン性がよく、機能性も優れたWebサイトを構築できるかが、フロントエンドエンジニアとして腕の見せどころです。

※UX…「User eXperience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称。ユーザーがサービスや製品の使用で得られる体験のこと。

バックエンドに関する知識 

フロントエンドエンジニアはバックエンドエンジニアとの連携が不可欠です。そのため、バックエンド側の処理についても知識を持っておく必要があります。

データベースやWebサーバーなどのインフラ面や、バックエンドで用いられるRubyやPHPなどのプログラミング言語について、ひと通りの知識を持っておくと役に立つでしょう。

デザインに関する知識

デザイン部分はWebデザイナーが担当することが一般的ですが、簡単なWebサイトであればフロントエンドエンジニアがデザインから設計・実装まですべてを担当することも珍しくありません。そのため、デザインに関する知識が必要となります。

また、デザインの知識を持っておいたほうが、Webデザイナーとのやり取りも円滑に進みます。デザインの知識はUI設計にも関わってくるため、質のよい仕事をするにはデザインの知識や興味は重要です。

SEOやマーケティングの知識

フロントエンドエンジニアとしてワンランク上を目指すのであれば、SEOやマーケティングの知識は必要です。

SEOとは検索エンジン最適化といって、検索順位で上位表示されやすいサイトにすることを言います。hタグを用いた論理的なサイト構造や、キーワードの使い方などを知っておくことで、顧客に有益なサイトにすることができます。

マーケティングの知識を持っておくことで、たとえば広告に有利なサイトの見せ方などを考えられるようになります。

フロントエンドエンジニアの年収 

フロントエンドエンジニアに特化した公的な年収調査はありません。大手求人サイトの調査によると、フロントエンドエンジニアの平均年収は500万円台から800万円台とばらつきがあります。

フリーランスのフロントエンジニアになると、年収は高くなる傾向にあります。

参考:求人ボックス 給料ナビ|フロントエンドエンジニアの年収・時給

   マイナビクリエーター|フロントエンドエンジニアとは?仕事内容から必須スキルと身に付け方、年収事情まで解説

   SOKUDAN|フロントエンドエンジニアフリーランスの平均年収867万円!98%がリモート可!

フロントエンドエンジニアになるには 

フロントエンドエンジニアになるために必要な学歴や資格はありません。大学や専門学校で専門領域を学んだ人であれば未経験でも採用されやすいですが、異業種からの転職の場合、ある程度の技術を持っている証明が必要になる場合がほとんどです。

具体的には、以下のステップを踏んでフロントエンドエンジニアに転職します。

  1. 必要なスキルを身につける
  2. ポートフォリオを作成する
  3. フロントエンドエンジニアを募集している企業に応募する

それぞれ解説します。

必要なスキルを身につける

上記で解説した、基本的なプログラミング言語やデザインなど、フロントエンドエンジニアに必要なスキルを身につけます。完全初心者の場合、独学では難しいため、スクールや通信教育などを活用したほうが効率的です。

ポートフォリオを作成する

ひと通りの技術を身につけたら、スキルを実践してオリジナルのWebサイトを作りましょう。そしてポートフォリオとして組み立て、転職活動の際にアピールできる形にしておきます。

フロントエンドエンジニアを募集している企業に応募する

ポートフォリオが完成したら、フロントエンドエンジニアを募集している企業に応募します。

転職サイトや転職エージェントを利用し、条件に合う求人を見つけましょう。転職エージェントを活用すれば、面接対策やアピールポイントのアドバイスなどが得られます。

フロントエンドエンジニアのキャリアアップ方法

フロントエンドエンジニアといっても、駆け出しからベテランまで力量はさまざまです。また、フロントエンドエンジニアとして専門性を高める人、他職種にチャレンジする人など、キャリアパスもさまざまです。

ここではフロントエンドエンジニアとしてキャリアアップする方法について解説します。

資格を取る

駆け出しエンジニアがスキルアップするのにオススメなのが、資格の取得です。スキルアップにつながるだけでなく、客観的なスキルの証明にもなるため、将来的に転職や独立をする際にも役立ちます。

フロントエンドエンジニアに役立つ資格例を以下に挙げるので、チャレンジしてみてください。

フロントエンドエンジニアに役立つ資格
  • 基本情報技術者試験
  • ウェブ解析士
  • HTML5プロフェッショナル認定試験

フロントエンド以外の技術を身につける

フロントエンド以外の技術を身につけることで、マルチに活躍できるようになります。

たとえばバックエンドやインフラの技術を身につけるとフルスタックエンジニアへの道が開けます。IT人材の不足で、複数の開発工程を1人で担当できるフルスタックエンジニアの需要は高く、年収も高い傾向にあります。

また、マネジメントスキルを身につけることでフリーランスに転向することも可能です。

ひたすらスキルを磨く

フロントエンドエンジニアはコーダーやマークアップエンジニアの上位職として位置づけられているため、専門性の高い職種といえます。

そのため、スキルを磨くことで上位職を目指せるというわけではありません。しかしフロントエンドエンジニアとしての実力を高めることで市場価値が上がるため、さまざまな案件を獲得しやすくなります。

フロントエンドエンジニアに関するよくある質問

最後にフロントエンドエンジニアに関するよくある質問をまとめました。

フロントエンドエンジニアに向いている人は?

フロントエンドエンジニアに向いているのは以下のような人です。

フロントエンドエンジニアに向いている人
  • ユーザーのことを考えて仕事をするのが好きな人
  • デザインが好きな人
  • 新しいことを取り入れるのが好きな人
  • 継続して努力できる人

フロントエンジニアとフロントエンドエンジニアの違いは?

フロントエンジニアとフロントエンドエンジニアは同じ意味で使われます。

バックエンドエンジニアとは?

バックエンドエンジニアは、サーバーサイド全般を取り扱うエンジニアです。フロントエンドエンジニアが目に見える部分を構築するのに対し、ユーザーに見えない部分を開発・構築するのがバックエンドエンジニアの役割です。

まとめ

フロントエンドエンジニアはエンジニア職のなかでは華やかで、需要も高い職種です。将来性もあるため、興味のある人はぜひチャレンジしてください。