フィールドエンジニアは、自社内ではなく顧客先で、自社製品の導入やサポートをするエンジニアのことをいいます。フィールドに出て働くイメージからこのような呼ばれ方をします。プログラミング言語を駆使する機会が少ないため、ITの経験が浅い人でもチャレンジしやすい職種です。

この記事では、フィールドエンジニアの業務内容や年収、未経験からのなり方などを解説します。フィールドエンジニアに興味のある人はぜひ読んでください。

フィールドエンジニアの業務内容

フィールドエンジニアとは、自社で開発・販売している製品やシステムについて、顧客先に出向き、設置や修理、メンテナンス、操作説明などをおこなう仕事です。エンジニアと名の付く仕事ですが、ITエンジニアとは毛色が違い、プログラミングをしたり要件定義をしたりといった作業はあまりありません。現場に近いポジションで、顧客が自社製品を快適に使うためのサポートをするのが、フィールドエンジニアの役割です。

フィールドエンジニアの詳しい仕事内容について解説します。

機械のトラブルシューティング

フィールドエンジニアの仕事でもっとも多いのが、機械のトラブルシューティングです。顧客先で機械が故障した場合、迅速に現場に駆けつけ、原因を究明し、復旧を行います。

トラブルシューティングには、高度な専門知識と問題解決能力が求められます。多種多様な機械に対応するため、最新の知識を駆使して、迅速かつ正確に判断することが重要です。また、お客様への説明責任も伴うため、わかりやすく状況を説明し、安心してもらうためのコミュニケーション能力も必要不可欠です。

機械の設置やセットアップ

新規に導入された機械の設置や、既存の機械の移設・増設といった作業も、フィールドエンジニアの重要な役割です。

設置作業では、図面を見ながら正確に機械を設置し、配線や配管などの接続作業をします。顧客の要望に合わせて、機械の最適な配置や設定にすることも重要です。設置後には、動作確認を行い、問題なく稼働することを確認します。

設置後の、機械の使い方レクチャーも、フィールドエンジニアの仕事です。顧客先の社員のレベルに合わせて、わかりやすく使い方を指導する必要があります。

定期メンテナンス

機械は長期間使用すると部品の摩耗や劣化が起こり、故障の原因となります。不具合を防ぐためには、定期的なメンテナンスを行うことが重要です。

フィールドエンジニアは、お客様先に出向き、機械の点検や清掃、部品交換などのメンテナンス作業を行います。メンテナンス記録を作成し、機械の状態を管理することも重要です。。

トラブルが発生して業務がストップすることは、顧客先に迷惑をかけるだけではなく、自社の評判にもかかわります。定期メンテナンスをすることにより、顧客が安心して機械を使えるようにするのも、フィールドエンジニアの重要な役割です。

フィールドエンジニアのやりがい

  • 顧客と直接コミュニケーションが取れる
  • さまざまな現場を体験できる
  • 問題解決能力が養われる

顧客と直接コミュニケーションが取れる

フィールドエンジニアの仕事は、顧客先に足を運び、直接コミュニケーションを取ることです。顧客の反応を直接みることができるため、大きなやりがいにつながります。

自社製品の導入やトラブルシューティングなど、お客様の課題解決に貢献し、感謝の言葉を直接いただけることは、何よりのモチベーションアップとなります。お客様の生の声を聞き、製品開発やサービス改善につなげられることも、やりがいのひとつといえるでしょう。

さまざまな現場を体験できる

自社オフィスに閉じこもらず、顧客先のオフィスや店舗、工場など、さまざまな現場を経験できることもフィールドエンジニアの魅力です。

それぞれの現場で異なる課題に直面し解決していく過程で、幅広い知識や経験を積むことができます。また、多種多様な業種の人と交流する機会も増え、視野を広げることも可能です。

自社にこもって作業をするよりも、外に出て働きたい人にとっては最適な環境といえるでしょう。

問題解決能力が養われる

フィールドエンジニアの仕事は予期せぬトラブルに直面することも多く、その都度迅速かつ的確な判断と行動が求められます。問題の原因を突き止め、最適な解決策を見つける過程で、問題解決能力が飛躍的に向上します。

また、限られた時間や資源の中で、創意工夫を凝らして解決策を見つける経験は、他の仕事にも活かせるスキルとなるでしょう。

フィールドエンジニアの大変な部分でもありますが、困難な事例を解決したときのやりがいはとても大きいでしょう。

フィールドエンジニアの仕事の大変さ

フィールドエンジニアは顧客の顔が直接見えるため、やりがいを感じやすいですが、その反面大変なこともあります。

フィールドエンジニアはトラブルシューティングの役割を果たすことが多いです。ときには想定外のトラブルに出くわすこともあり、持っている知識をフル活用してトラブル解決にあたらなくてはなりません。限られた訪問時間の中で仕事を終わらせる必要があるため、時間的なプレッシャーが発生する場面もあります。

まあ、フィールドエンジニアは顧客先に訪問して作業をおこなうため、いわば「企業の顔」のような側面を持ちます。技術力が高いことだけではなく、清潔な身だしなみや感じのよい対応など、社会人としての立ち振る舞いも求められます。

フィールドエンジニアの年収

フィールドエンジニアに特化した、公的な年収調査のデータはありません。大手求人情報サイト「求人ボックス」によると、フィールドエンジニアの平均年収は472万円となっています。また、年収の幅は344〜879万円と幅広く、経験を積むことで年収アップが期待できるでしょう。

参考:求人ボックス給料ナビ|フィールドエンジニアの仕事の年収・時給・給料

フィールドエンジニアに必要な知識・スキル

フィールドエンジニアに必要な知識やスキルは以下のとおりです。

  • IT機器に関する知識
  • コミュニケーション能力
  • 臨機応変な対応能力

IT機器に関する知識

フィールドエンジニアは、顧客先でIT機器の設置や設定、トラブルシューティングをおこないます。そのため、さまざまなIT機器に対する幅広い知識が必要です。

フィールドエンジニアに求められる知識
  • ハードウェア
  • ソフトウェア
  • ネットワーク
  • サーバー
  • パソコンやプリンター
  • ネットワーク機器

サーバーの構築ができるほどの専門的な知識はあまり必要ないかもしれませんが、業務をする上で必要となる程度の知識を習得しておきましょう。

T業界は日々進化しています。常に新しい知識を習得し、技術をアップデートしていく姿勢が求められます。

自社製品に対する深い理解も、もちろん必要です。

コミュニケーション能力

フィールドエンジニアは、お客様と直接対面し、状況をヒアリングしたり、専門的な知識を分かりやすく説明したりする必要があります。そのため、コミュニケーション能力は非常に重要です。

フィールドエンジニアに求められるコミュニケーション能力は、ヒアリング力と顧客に合わせてわかりやすく説明する能力です。

トラブルシューティングは、顧客からの情報収集が必要不可欠です。顧客がスラスラと自分の望む情報を語ってくれることはまれでしょう。ほしい情報を引き出すためのヒアリング能力が、トラブルシューティングの質を左右するといっても過言ではありません。

また、顧客のレベルに合わせて説明することも重要です。こちらの落ち度がないように専門用語を駆使して完璧に説明するよりも、顧客の知識レベルに合わせてわかりやすく説明する姿勢が求められます。

臨機応変な対応能力

フィールドエンジニアの仕事は、予期せぬトラブルが発生することも多く、臨機応変な対応が求められます。トラブルの状況はさまざまであり、マニュアル通りの対応ができないケースも少なくありません。

そのため、状況を判断し、最善の解決策を迅速に導き出す能力が求められます。臨機応変な対応にもっとも必要なのは、どのような状況でも冷静に対応できるメンタルです。冷静なメンタルに加えて、専門的な知識を持ち合わせることで臨機応変な対応ができるようになります。

フィールドエンジニアにオススメの資格

フィールドエンジニアがスキルを高めるのにオススメの資格を紹介します。

  • MCP(Microsoft Certifications Program)
  • ITパスポート試験
  • 機械設計技術者試験

MCP(Microsoft Certifications Program)

MCPはマイクロソフトマイクロソフトの認定資格です。

MCPを持っていることで、マイクロソフト社の製品や技術、ソリューションに関する知識を有していることの証明になります。Windows ServerやAzureなどのマイクロソフト製品を扱うフィールドエンジニアは、積極的に取得しましょう。

参考:Microsoft|マイクロソフト認定資格

ITパスポート試験

ITパスポートは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、情報処理技術者試験の試験区分の1つです。

公式Webサイトによると「ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です」とされており、エンジニアに限らず、全社会人向けの資格となっています。

フィールドエンジニアとして最低限必要なITの知識を身につけるためにオススメの資格です。

参考:ITパスポート試験公式サイト|iパスとは

機械設計技術者試験

機械設計技術者試験は「一般社団法人日本機械設計工業会」が実施する民間資格試験です。

3級から1級の区分に分けられており、機械工学に関連する知識や技術に関する問題を中心に出題されます。

フィールドエンジニアとしてハードウェアなど機械設計に関する高い能力を有している証明となります。

参考:一般社団法人 日本機械設計工業会|機械設計技術者試験とは

未経験からフィールドエンジニアになる方法

結論からいうと、未経験でもフィールドエンジニアになることは可能です。むしろ他のITエンジニア職よりも門戸は広く、未経験可の求人に応募して採用されればフィールドエンジニアになれます転職サイトなどを活用し、未経験でも積極的に求人に応募しましょう。

ITの経験はないものの、顧客との折衝経験がある人は、選考時に有利となります。今までの経験を面接でアピールしましょう。反対に、ITの経験はあるものの顧客折衝経験がない人は、フィールドエンジニアの仕事を通じて社会人としてのスキルを高めることができます。

このように、今までの経験を活かして、さらに経験の幅を広げられるのがフィールドエンジニアの魅力です。

まとめ

フィールドエンジニアは、技術力とコミュニケーション能力の両方を活かして、直接顧客の役に立てる仕事です。ITの仕事に興味はあるけれど、パソコンの前でずっと作業をするよりも人と接することが好きな人は、フィールドエンジニアとしてやりがいを持って働けるでしょう。

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