ひと昔前までは男性の仕事のイメージがあったIT業界ですが、最近では女性の活躍もみられるようになってきました。

とはいえ、まだまだ過渡期。女性プログラマーならではの辛さもあるでしょう。

この記事では女性プログラマーが「きつい」と感じる理由や、きつさを回避する方法、女性プログラマーの職場選びのポイントなどを解説します。

女性プログラマーが「きつい」と感じる理由6選

女性プログラマーが「きつい」と感じる理由を解説します。

女性比率が少なく孤独を感じやすい

女性プログラマーは増加傾向にありますが、まだまだ男性比率は高い業種です。そのため、孤独を感じやすく、ときには肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。

女性のロールモデルが少なく、キャリアプランを描きにくいのも「きつい」と感じる要因のひとつです。女性のロールモデルが少ないため、キャリアを諦める人やIT職を目指す女性が減り、ロールモデルが生まれにくくなるという悪循環があります。

IT業界は男社会の傾向がある

「きつい・厳しい・帰れない」新3KといわれることもあるIT業界。かつてはほとんどが男性だったこともあり、他業種と比較するとジェンダーギャップが高い職種です。

現在では、ジェンダーギャップを是正しようとさまざまな活動がみられます。日本最大手のIT企業である日本マイクロソフト株式会社は、日本初の女性IT技術者団体「Woman in Technology」を立ち上げました。

また「特定非営利活動法人 Waffle」は、IT業界のジェンダーギャップを解消しようと、女子中高生向けに活動をしています。

近い将来、女性がプログラマーとして今より働きやすくなるでしょう。

ライフプランでキャリアが左右される

男女平等が浸透しつつあるとはいえ、結婚や出産・育児に伴って仕事をセーブするのは、女性が多い傾向にあります。プログラマーに限ったことではありませんが、バリバリ働いてキャリアアップを目指したくても、思うようにいかない場合があるかもしれません。

妊娠・出産、育児などに理解の少ない職場環境だと、「どうせ子どものことで休むから」などと不当にキャリアアップが難しくなるケースも。そのため、職場選びは非常に重要です。

「女性は向いていない」という偏見にさらされる

「女性は論理的思考ができないから、ITには向かない」などの偏見にさらされることも少なくありません。このような偏見にさらされると仕事がやりづらく、つらい思いをします。

無意識のバイアスにより、事務や雑務などの仕事を割り振られやすくなることもあるため、プログラマーとしてモヤモヤした気持ちを抱えることもあるでしょう。

女性が働きやすい環境が整っていない

もともと男性ばかりだった職場では、オフィス環境が整っていないこともあります。

問題のひとつがトイレ。トイレが男女兼用だと使いにくく、つらい思いをすることに。

職場の風土によっては、グラビアアイドルのポスターが壁に貼ってあったり、わいせつとも取られかねない会話が飛び交っていたりと、気まずい思いをすることもあるかもしれません。

ワークライフバランスを保ちにくい場合がある

最近は改善傾向なものの、IT業界では長時間労働の傾向があります。とくに開発系の業務だと、納期に合わせて残業続きになってしまうことも。

さらに、プログラマーは常に最新の知識を学び続ける必要があります。長時間勤務に加え、自己研鑽の必要もあるため、ワークライフバランスを保つのが難しい職場もあります。

女性プログラマーが職場を選ぶポイント

女性プログラマーが無理せず働き続けるには、職場選びが重要です。

女性プログラマーならではの職場選びのポイントを解説します。

女性雇用に積極的か

女性雇用の積極性は、必ずチェックするポイントです。社員における女性の割合をチェックするのみではなく、女性がどのような仕事を受け持っているか、まで調べるようにしましょう。見かけの数字は女性割合が高くても、実務の部分に携わっていないケースもあるためです。

女性管理職がいるか

女性の管理職割合は、企業の女性登用への考え方を測る指標となります。

女性管理職が多い職場は、ジェンダーギャップが少ないことの根拠になるため、やりがいを持って働くことができるでしょう。

女性の声を取り入れた、女性が本当に働きやすい職場環境づくりも見込めます。

産休・育休の取得実績はあるか

産休・育休制度の有無だけではなく、取得実績も確認しましょう。制度こそあるものの、実際には休暇を取れる雰囲気ではなかった、といったケースもあるためです。

可能であれば、育休からの復職を経て働いている先輩の話を、直接聞く機会があるとよいでしょう。

休日設定や労働時間に問題はないか

ワークライフバランスを重要視するのであれば、とくに休日設定や時間外労働についてチェックする必要があります。

「『週休2日制』とあったのに、実際に働いてみたら週の休みが1日しかないことがほとんどだった」とならないように、年間休日数や時間外労働の時間数を確認するようにしましょう。

※週休2日制…年間を通して1カ月に1回以上、週2日の休みがある制度です。毎週2日休みの場合は「完全週休2日制」となります。

柔軟な勤務体制が可能か

育児や体調面で無理なく働きたい女性にとって、柔軟な勤務体制は重要ポイントです。

具体的には、以下のような会社だと無理なく長く働けるでしょう。

  • リモートワーク可
  • フレックスタイム制
  • 転勤なし
  • 副業OK

IT業界の女性割合は増えている

一般社団法人情報サービス産業協会が発表している「基本統計調査報告書」によると、同協会所属企業におけるITエンジニアの女性比率は、2017年は16.4%だったのに対し、2022年は23.2%と増加しています。

絶対数は依然として男性比率が高いものの、これからもIT業界における女性割合は増加すると予想されます。

参考:一般社団法人情報サービス協会|2017年版 情報サービス産業 基本統計調査

   一般社団法人情報サービス協会|2022 年版 情報サービス産業 基本統計調査

女性がプログラマーで働くメリット

女性がプログラマーとして働くのは辛いことばかりではありません。

専門性や仕事の特性による、女性がプログラマーとして働くメリットを紹介します。

女性の平均年収より稼げる

プログラマーなどの専門職は、男女における年収の差が少ない傾向にあります。なぜなら、専門職は能力そのもので決定されるのが一般的なためです。

国税庁による2022年の民間給与実態統計調査によると、男性の平均年収が563万円であるのに対し、女性の平均年収は314万円です。

株式会社Forkwellが2023年に独自でITエンジニアの男女収入格差を調査したところ、ITエンジニアにおける男女別年収は男性600万円、女性490万円との結果になりました。

年収における男女差の課題は残っているものの、多職種と比べると年収の男女差が少なく、女性の平均年収よりも稼げることがわかります。

参考:Forkwell Press|【2023年最新版】ITエンジニアの男女間賃金格差を調査

柔軟な働き方ができる

新型コロナウイルス感染症の流行時には、多くの企業や官公庁でもリモートワークが取り入れられたのは記憶に新しいでしょう。

IT業界はコロナ前から、リモートワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方を取り入れている会社が比較的多くありました。

そのため、出産や育児、家庭の事情などでオフィスでフルタイム勤務が難しい状況でも、仕事を継続しやすいのはメリットです。

IT業界が人手不足で再就職しやすい

IT・DX化の需要は高まる一方、IT業界の人手不足は解決していません。

そのため再就職しやすく、育児や家庭の事情で一旦離職したとしても、再就職する女性プログラマーは多くいます。

本来であれば、育児や家庭の事情による離職自体が問題なのですが、日本の現状では家庭の事情による離職は女性の方が多く、離職後の再就職が難航するパターンが多いのが現状です。

プログラマーとしてのスキルがあれば再就職しやすく、前述の通り賃金も平均より高い傾向にあるため、女性がプログラマーとして働く大きなメリットといえます。

スキルが身につく

プログラミングの技術はIT業界共通のため、どこでも通用するスキルが身につく、いわゆる「手に職をつける」ことができるのはメリットです。

ITの仕事を通してプログラミングのスキルだけでなく、論理的思考能力も身につきます。プログラマー以外の仕事に就くことがあっても、論理的思考能力はどの仕事でも役立つため、重宝される人材になるでしょう。

プログラマーに向いている女性の特徴

女性に限ったことではありませんが、どんな人がプログラマーに向いているのかを解説します。

学習意欲がある

学習意欲のある人はプログラマーに向いています。IT業界は技術やトレンドの移り変わりが早く、常に学び続ける姿勢を求められます。また、キャリアを重ねていくうちに、複数のプログラミング言語が必要になったりと、既存知識の深い習得も必要です。

好奇心や探求心を持ち、自主的に学び続ける姿勢が求められるでしょう。

男性の中で働くのに抵抗がない

男性比率の高いIT業界。仕事でかかわる人はどうしても男性が多くなります。男性に苦手意識がある人や、男性が多い環境が苦手な人はつらい部分があるかもしれません。

スキルも仕事量も男性と対等であることが求められるため、「女だから」は通用しません。男性と対等に渡り合う力も必要です。

細かい作業が得意である

細かい作業が得意な人もプログラマーに向いています。

プログラマーの仕事は、プログラミングコードの入力が主です。膨大なコードのうち、ひとつでも間違いがあるとエラーが発生するため、細かい部分まで注意して正確な作業が求められます。

そのため、正確にコードを記述し、エラーが発生したときに細かい部分まで目を通せる人は、プログラマーに向いているといえるでしょう。

失敗してもめげない

初心者からプログラマーを目指す方法

独学で勉強する

書籍やWeb講座で自力でプログラミングの知識を身につける方法です。

思い立ったらすぐ実行できるため気軽に取り組めますが、独力で継続する意志が必要です。

ある程度「あたり」をつけて勉強しないと、自分の望んでいた方面とは違う知識が身についてしまうリスクもあるため、自分である程度考えて判断する力が求められます。

スクールで勉強する

Webエンジニア養成スクールで学び、スキルを身につける方法です。

プログラマーに必要な知識やスキルを体系立てて教えてもらえるため、効率よく学習できます。

通学して受講するスタイルや、オンライン受講など、さまざまな受講スタイルがあるため、自分に適したスクールを選びましょう。

自治体主催の女性向けWebエンジニア養成スクールもあります。受講には条件があることが多いですが、費用負担を抑えられるため、検討してみましょう。

未経験可の求人に応募する

プログラマーの求人のなかには、未経験でも応募できるものがあります。

貪欲に学ぶ姿勢や人一倍の努力が求められるハードな方法ですが、即戦力としての技術が最短で身につきます。困難に立ち向かうガッツのある人にはおすすめできる方法です。

女性がプログラマーとして働くことについてよくある質問

最後に、女性がプログラマーとして働くことについてよくある質問を紹介します。

女性プログラマーのキャリアパスは?

女性だからといって特別なキャリアパスはありません。男性同様、プログラマーからSEを目指す人が多いようです。

女性プログラマーの強みって?

女性だからと一概にはいえませんが、女性は男性と比較すると言語コミュニケーションや共感力が高い傾向にあるといわれています。コミュニケーション能力や共感力を活かして、人間関係を円滑にする役割を果たせるのが強みでしょう。

まとめ

女性だからというハンデはないものの、世間の偏見や労働環境が整っていないために、女性がプログラマーとして働きにくい状況も存在しています。

女性がプログラマーとしてキャリアを重ねていくには、職場選びが非常に重要です。

エムアイエスエージェントはIT業界への転職サポートに強味を持っており、フルリモート可能な職場の紹介も可能です。ぜひ一度、相談してみてはいかがでしょうか。