地方暮らしを検討しているけれど「地方には仕事がない」と行動を起こせずにいる人も多いのではないでしょうか。
近年では働き方が多様化し、地方でも自分らしい働き方ができるようになってきました。
この記事では「地方で働きたいけど仕事がない」という悩みを抱える人に向けて、「地方は仕事がない」と言われる理由と、地方での働き方について解説します。
地方は「仕事がない」と言われる理由
- 都会より賃金が低く「暮らしていける」仕事がない
- 業種が限られており「できる」仕事がない
- 企業が少なく「魅力的な」仕事がない
それぞれ解説します。
都会より賃金が低く「暮らしていける」仕事がない
地方は都会に比べて賃金が低い傾向にあります。一都三県と、いくつかの地方県の最低賃金を比べてみましょう。
【2024.10~ 最低賃金】
都道府県 | 最低賃金 |
東京都 | 1,163円 |
神奈川県 | 1,162円 |
埼玉県 | 1,078円 |
千葉県 | 1,076円 |
長野県 | 998円 |
山口県 | 979円 |
山形県 | 955円 |
宮崎県 | 952円 |
地方にもよりますが、差が大きい県では首都圏より200円程度、最低賃金が低く設定されています。
都会で就労している人が、UターンやIターンで地方移住を検討しても、現在の賃金が大きいため「これでは暮らしていけない」となるのも無理はありません。
業種が限られており「できる」仕事がない
地方は都会と比べて仕事の種類が少ない傾向にあります。地方の仕事は生活に直結するものや製造業がメインで、コンサル業やマーケティング業、デザイン関係などの仕事は、地方ではほとんどないといっても過言ではありません。
【地方で多い仕事】
- 農業・林業・漁業などの一次産業
- 製造業(工場がある市町のみ)
- 観光業
- 飲食業
- 医療・福祉関係 など
自分のキャリアや能力を活かせる仕事がなく「地方は仕事がない」となってしまうのです。
企業が少なく「魅力的な」仕事がない
地方は都会と比べると企業の絶対数が少なく、選択肢も少なくなってしまいます。他社との競争もあまりないため、保有している技術レベルも都会と比較すると低くなりがちです。とくに、Web制作やIT業、医療職、コンサル業など、知識や技術のアップデートが必要な業種ではこの傾向が顕著です。
見方を変えれば「和気あいあいとしてのんびり働ける」といえますが、今までバリバリと仕事を頑張ってきた人にとっては、魅力のない企業が多く、「仕事がない」と感じられるでしょう。
地方で仕事をするメリット
ネガティブな面がクローズされがちな地方ですが、地方ならではのメリットもあります。
- 満員電車から解放される
- 家賃や地価が安い
- 子育てがしやすい
- 自然を感じながら生活できる
満員電車から解放される
Uターンなどで都会から地方に移住した人が感じる地方のメリットとしてもっとも多いのが「通勤ラッシュのストレスがなくなった」という点です。
他人の匂いや窮屈な姿勢など、満員電車のストレスは非常に大きく、始業前から疲れてしまいます。
地方では自家用車通勤の割合が高く、毎朝ギュウギュウ詰めの電車に乗らずに済むことは大きなメリットといえるでしょう。
家賃や地価が安い
地方は都会と比べて家賃や地価が安いです。以下に、東京都世田谷区と地方の家賃比較を掲載します。
自治体名 | 3DKの家賃 | 3LDKの家賃 |
東京都世田谷区 | 19.7万円 | 29.3万円 |
福岡県福岡市博多区 | ‐ | 16.4万円 |
山口県宇部市 | 6.3万円 | ‐ |
新潟県上越市 | 5.9万円 | ‐ |
九州でもっとも経済活動が活発な福岡市博多区と、東京都世田谷区の家賃を比較しても2倍近くの差があります。さらに地方になると、3倍以上の価格差があることが分かりました。
単純に10万円以上の差があるため、家賃の安さは地方最大のメリットといえるでしょう。
また「車社会だから車の維持費で結局そこまで変わらない」という意見もありますが、高級車にでも乗らない限り、車の買い替え費を含めても、月々10万円~15万円も車の維持費にかかることは考えにくいでしょう。
子育てがしやすい
地方は、都会と比べて子育てがしやすいという声をよく聞きます。
いちばん先に思い浮かべるのは「自然が豊か」という点ではないでしょうか。都会では公園遊びも制限される区域が多い中、近所の原っぱや川などでのびのび遊べるということは、子どもの成長においてもメリットが大きいといえます。
また、地域の見守りの目があるため、都会と比べると安心して子育てができるのもメリットです。。最近では敬遠されがちな「ご近所さんの目」ですが、子育て中においては、不審者や危険な状況から子ども達を守ってくれる味方となるでしょう。
地域のお祭りやイベントも活発な地域が多く、異年齢の人と触れ合う機会を通して、人とのかかわり方を自然に学ぶことができます。
自然を感じながら生活できる
毎日、自然を感じながら生活できるのも、地方で仕事をするメリットです。
都会で暮らしている人の中には、たまの休みに箱根や軽井沢などに足を伸ばして自然の中でリフレッシュして、また都会に帰っていく、といった人もいるのではないでしょうか。
地方で暮らせば、家を出て散歩をするだけで自然の中でリフレッシュできます。季節のうつろいや、夕方から夜にかけての空の色の移り変わりを、身体全体で感じられる環境で暮らせるのは、もしかしたら贅沢なのかもしれません。
地方で仕事をするデメリット
地方で仕事をするデメリットを解説します。
- 公共交通機関が不便
- 娯楽が少ない
- 収入が減る可能性がある
公共交通機関が不便
地方では、都市部と比べて公共交通機関の発達度合いが低い地域が多く、バスの本数が少ない、鉄道の駅間距離が長いなどのケースがあります。車を持っていない場合、移動に時間がかかり、生活に不便を感じることもあります。特に、夜間の移動や、複数の地域を移動する際には、交通手段が限られてしまう点がデメリットと言えるでしょう。
娯楽が少ない
都会では、ショッピングモールやデパートなどの買い物施設が充実しており、徒歩で行ける範囲にさまざまなお店があります。個人経営のオシャレな店も多く、センスのよいものが簡単に手に入るのが魅力です。また、映画館や劇場、ライブハウスなども都会には多く、最先端の文化を享受することができます。
反対に、地方ではイオンなどの複合ショッピングセンターしかない、デパートが町にない、映画館も機能していないなど、娯楽が少ないのは否めません。文化の最先端に触れて好きな人にとっては、地方暮らしはストレスになるかもしれません。
収入が減る可能性がある
一般的に、地方の平均収入は都市部と比較して低い傾向にあります。これは、企業数が少なく、求人数も限られているため、給与交渉力が弱まることが原因の一つです。
また、都会では専門性が高く、高収入の仕事に就きやすいという側面もあります。ただし、生活コストも都市部と比較して低いことが多いので、必ずしも生活水準が低下するとは限りません。
地方でのオススメの働き方
地方で働く方法はいろいろあります。
- 現地で働く
- リモートワークで働く
- フリーランスになる
- 起業する
- 事業継承で会社を継ぐ
- 複業で働く
それぞれ解説します。
現地で働く
地方のオフィスで働く方法です。地元企業はもちろんのこと、市役所や公共施設、医療施設など、業種を選ばなければ、選択肢は案外多いでしょう。
都会で長く働いている人、とくにIターンを検討している人は、職場の雰囲気や文化に慣れることに時間がかかるかもしれません。
リモートワークで働く
場所にとらわれず、どこでも仕事ができるリモートワークは、近年注目を集めています。都会の会社に籍を置きながら地方で働けるため、比較的高水準の給与を得られるのも人気の理由です。ITエンジニアなどに多くみられる働き方です。
ただし、自宅環境を整える必要があることや、同僚とのコミュニケーション不足になりやすいといったデメリットもあります。また、インターネット環境が整っていない地域では、リモートワークが難しい場合があります。
フリーランスになる
自分のスキルや経験を活かして、自由に働くフリーランスも選択肢の一つです。好きな時間に、好きな場所で仕事ができるため、自由な働き方が実現できます。
しかし、安定した収入を得ることが難しく、仕事を探すのが大変な場合があります。また、税金や社会保険などの手続きを自分で行う必要があるなど、自営業としての責任が伴います。
起業する
都会で培った技術やスキルを活かして、起業する人も増えています。飲食業などのBtoCから、コンサルティング業などのBtoBまで、起業のジャンルは多岐に渡ります。
最先端の技術や高いスキルを地方で活かすことにより、地域の活性化にもつながるでしょう。
事業継承で会社を継ぐ
地方で働く方法として最近注目を集めているのが、事業承継です。事業承継とは、経営者が次世代へ会社を引き継ぐことをいいます。
後継者不足が深刻な地方では、地域活性化を志す人や地方への移住者が自分の能力を活かして、地方の企業を事業承継するケースが増えています。
株式会社エムアイエスは中小企業庁のM&A支援機関に認定されており、事業承継を検討する人のお役に立てる準備が整っています。事業承継に興味のある方はお気軽にご相談ください。
複業で働く
複業とは、主となる仕事を複数同時進行する働き方です。主となる仕事の他に、サブで仕事をおこなう副業とは異なります。
地方で複業をするといった場合、「都会を本拠地にして働く人が地方に出張あるいは短期滞在 し、地場産業の担い手として働く働き方」を指します。地方移住をせずに地方で働けるため、都会の利便性や発展性も享受しながら、自分の能力を地方に還元したい人に人気の働き方です。
地方で暮らすならIT職のリモートがオススメ
社会の変化に伴い、さまざまな働き方が普及してきました。人口減少に伴う労働人口の確保という観点においても、喜ばしい変化といえるでしょう。
とはいえ、そういったノウハウは広く普及しているとはいい難く、地方で働きたいけれど仕事がないからやむを得ず都会で働いている人も、依然として多くいると思います。そのような人達でも、比較的取り組みやすいのが、IT職のリモートワークです。資格がなくてもチャレンジでき、パソコンとネットワーク環境があれば従事できるため、参入の敷居が低いのも特徴です。
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