SESの案件とエンジニアのマッチングは、自社の営業担当者によって決められた案件にアサインされることが一般的です。SES企業は大量の案件を抱え、横のつながりを活用して案件を紹介し合い、エンジニアはタイミング良く流れてきた案件にアサインされます。

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、企業が外部の技術者を派遣してもらい、システム開発や運用などの業務を委託する契約形態の一つです。SESは、通常、技術者が派遣先企業に常駐して作業を行い、その時間に応じて報酬が支払われる仕組みです。派遣される技術者は企業の指揮命令に従い、プロジェクトの一部を担当しますが、労働契約は派遣元企業との間に結ばれています。

SES案件は本当に選べないのか?

SESの仕事を探す際、「自分に合った案件を選べるのか?」と不安に思うことがあるでしょう。確かに、多くのSES企業では営業担当者がエンジニアのスキルや経験を考慮せずに案件を割り当てることがあります。しかし、すべてのSES企業がそのような方法をとっているわけではありません。エンジニアへのサポートが手厚い企業も存在します。

サポートが手厚く案件を選べるSES企業はある

案件を選べるエンジニアは、エンジニアのサポートが充実しているSES企業に勤務しています。案件を選べる企業では、以下のようなサポートを提供しています。

具体的なサポート例
  • 希望する案件を詳しくヒアリングしてくれる
  • 複数の案件を提示し、エンジニア自身が案件を選べる
  • キャリアパスを考慮した案件を選択できる
  • エンジニアが望むタイミングでプロジェクトから退場できる

上記のようなサポートがあることで、スキル不足による退場のリスクが減るため、自分に合った案件を見つけやすくなります。

案件選択制を導入する企業が増えている

エンジニアはSES企業の指示に従って各プロジェクトに配属されるのが一般的でした。このため、スキル不足適性のない業務に従事せざるを得ない状況に置かれ、退場を余儀なくされることもありました。
しかし、近年の市場拡大に伴うエンジニア不足により、エンジニアのニーズに応え、満足度を向上させるために、案件選択制を導入する企業が増えてきています。
案件選択制では、エンジニアが自身のスキルやキャリアパスに合わせて案件を選ぶことが可能です。

SES案件ガチャが頻発している企業もある

案件ガチャとは、エンジニアが案件を選べず、会社の指示でプロジェクトに配属された結果、希望と合わない案件にアサインされる状況を指します。希望しない案件に配属されることが多く、スキル不足を感じたり、適性のないプロジェクトで苦労することが増え、最悪の場合、プロジェクトから退場せざるを得ないこともあります。

選べるほどの案件がない企業もある

エンジニアが自由に案件を選べると謳っているSES企業でも、現実には選べるほどの案件がない場合もあります。多くのSES企業では、エンジニア募集時には案件を選べると説明するものの、実際に入社してみると選択肢がほとんどないという状況です。
案件数が少ない企業では、エンジニアは自分の希望に合わないプロジェクトに配属されがちです。その結果、スキル不足に悩まされることもあり、最悪の場合、プロジェクトから退場せざるを得ないこともあります。

SESで案件が選べない人の特徴とは?

SESで案件が選べない場合、エンジニア自身に以下のような問題があるかもしれません。それぞれの特徴について、詳しく確認していきましょう。

スキル不足でマッチする案件が少ない

SESの仕事で案件を選べない理由の一つに、エンジニアとしてのスキル不足が挙げられます。経験や知識、技術が未熟なエンジニアほど、対応できる案件が限られてしまいます。その結果、選択肢が狭まり、自分に合った案件に参画するのが難しくなるのです。
スキル不足のエンジニアが案件を選べない状況は、スキルアップの重要性を物語っています。エンジニアには、自己啓発や企業の研修プログラムを活用して技術力を高めることが必要です。
スキル不足が解消されることで、より多くの案件から選ぶことができ、キャリアの幅も広がります。案件選びにおいて、自分のスキルを高める努力を怠らないことが大切です。

条件が多く限定的な案件しか受けられない

SESの案件を選べない理由の一つに、自分の希望条件が厳しすぎる場合があります。特定の技術、勤務地、報酬など、細かい条件を多く設定すると、その条件に合致する案件が非常に限られてしまいます。
これにより、適切な案件を見つけられずに退場を余儀なくされることがあります。自分の希望と市場のニーズとのバランスを見極めることが重要です。
自分の条件を柔軟に考えることで、より多くの案件にアサインされる可能性が高まります。

過去の案件で途中退場や低評価がある

過去の案件で、途中退場や低評価が多いエンジニアも、SESでは案件を選びにくくなります。途中退場や低評価の履歴から、クライアントがそのエンジニアに対して不安を抱くからです。
どれだけスキルが高くても、プロジェクトの途中で突然来なくなったり、プロジェクトリーダーの指示に従わなかったりするエンジニアは、クライアントにとって大きなリスクです。こうしたエンジニアを採用すると、プロジェクト全体に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
スキルが優れていても、プロジェクトに迷惑をかけるような行動を取るエンジニアは歓迎されません。そのため、過去に途中退場や低評価の経験が多いエンジニアは、SES案件を選びづらくなるのです。

面談が苦手でアピールできない

SES案件を選べない理由の一つに、面談が苦手で自分をアピールできないことがあります。SES案件を選べるようになるためには、面談対策も欠かせません。面談に受からない人は発言が後ろ向きだったり、話を短くまとめられていなかったりします。しっかりと準備することで面談の成功率は上げられます。
前向きな姿勢で面談に臨み、自分の強みやスキルを明確にアピールしましょう。

SESで案件が選べない会社の特徴とは?

SESで案件が選べない理由には、会社側の問題が関わっていることもあります。以下のような特徴を持つ会社に勤めていると、SES案件を選べないという状況に陥りやすくなります。SES企業を選ぶ際には、これらの点をしっかりとチェックすることが重要です。

営業力が不足している

SESで案件が選べない会社では、営業力の不足が大きな問題となっている場合があります。営業力が低ければ、そもそも確保できる案件の数が少なく、エンジニアは限られた選択肢の中から選ぶしかありません。
さらに、仲の良い企業の案件ばかりを優先することで、エンジニアの要望が後回しにされ、結果的にミスマッチな案件に配属されることもあり得るのです。
SES企業を選ぶ際は、営業力があり、エンジニアの希望をしっかりと考慮してくれる会社を選ぶのがいいでしょう。

SES営業がエンジニアを見ていない

SES案件が選べない会社では、SES営業がエンジニアに寄り添っていないことも多いです。その結果、エンジニアのキャリアアップやスキルチェンジの可能性を、SES営業によって狭められてしまうこともあります。
例えば、あるエンジニアがスキルチェンジを希望した場合、SES営業がその希望に沿った適切な案件を積極的に探さなければ、そのエンジニアのキャリアは停滞してしまいます。
単にスキルシートに合致する案件が見つかれば面談をセッティングする「流れ作業」のような営業では、エンジニアが希望する案件に参画する機会が限られてしまいます。

会社全体が利益重視の体質

SES案件を選べない会社のもう一つの特徴は、会社全体が利益を重視する体質であることです。エンジニアが現場に出ていない期間が続くと、その間の給与は会社が負担することになります。
多くのSES企業では、自社での作業を用意せずにエンジニアを自社待機させるケースが多いため、会社はエンジニアをできるだけ早く現場にアサインしようとします。
このような利益重視の方針により、エンジニアの要望やキャリアパスは二の次にされてしまいます。結果として、エンジニアが希望する案件に参画できず、自分に合わない案件に配属されることが多くなります。

SES案件ガチャを回避するチェックポイント

SESエンジニアにとって、参画する案件はキャリアの基礎を築く大切な要素です。
実際には案件を選べないSES企業に、誤って入社して後悔しないためにも、以下のポイントをしっかりと確認し、SES案件ガチャに巻き込まれないように注意しましょう。

アサインまでのフローを確認する

SESエンジニアがプロジェクトにアサインされる過程を事前に確認するのは、適切な案件を選ぶ上で非常に重要です。自称案件選択制SESでは、実際にはエンジニアに選択権が与えられていない可能性があります。例えば、エンジニアの意向を無視して営業が一方的に案件を決定し、面談後には直ちにプロジェクト参画が強制されるケースも存在します。
このような状況を避けるためには、実際の参画プロセスを事前に確認し、本当にエンジニアが案件選択に関与できる環境であるかを見極めることが大切です。

エンジニアの希望を聞いてくれるか

SESでの案件選択において、エンジニアの希望キャリア計画をしっかりとヒアリングされるかどうかは、非常に大切なポイントです。スキルシートの内容はエンジニアの持つ技術を示すことはできますが、エンジニア本人の希望やキャリア計画まで、全てを伝えることは困難です。
面談などでエンジニアの希望やキャリア計画をしっかりヒアリングし、それに基づいた案件を提案してくれるSES企業を選ぶことが、エンジニア自身のキャリアアップには不可欠です。

案件の数はどれくらいあるか

SES会社を選ぶ際は、実際にどれくらいの案件があるのか、そしてその中から自由に選べるのかを確認しましょう。案件の数の多さは、エンジニアにとって選択肢の幅を広げる大切な要素です。多くの案件があれば、希望する条件に合うプロジェクトを見つけやすくなります。
例えば、特定のプログラミング言語を使用した開発案件や高単価の案件、リモートワークが可能な案件など希望に沿った案件を選ぶことができる可能性が高まります。

案件の詳細な説明があるか

案件の詳細が不明瞭なSES会社では、突然、エンジニアの希望に合わない案件や、スキルセットがマッチしないプロジェクトに配属されるリスクがあります。そのため、面談前に案件の全情報を提供してもらうことが非常に大切です。
良心的なSES企業は、案件の詳細を事前に説明してくれます。詳細が明らかでなければ、エンジニアは自分のスキルセットがどの程度適合しているか、また、そのプロジェクトでの期待に応えられるかを正確に判断できません。

SES案件を選べない場合の対処法

SES案件を選べない原因には、エンジニア自身に由来するものとSES企業側に起因するものがあります。現状、案件を選べない立場にいたとしても、それらの要因を一つずつ解決することで、状況を変えられる可能性があります。あなたに合った対処法を確認しましょう。

研修や資格取得などでスキルアップする

SESで案件が選べない場合、研修参加や資格取得によるスキルアップが大切です。資格は、エンジニアとしての技術力や知識を公式に証明する手段であり、クライアントからの信頼を得やすくする効果があります。多くのSESで評価される資格には、以下のようなものがあります。

SESで評価される資格
  • 基本情報技術者試験
  • ITパスポート
  • CCNA(Cisco技術者認定)
  • Oracle認定Javaプログラマー
  • Linux技術者認定

上記の資格は、エンジニアが特定の専門知識を持っていることを証明します。より良い案件に参画しやすくなることが期待できるでしょう。

面談での自己PRやコミュニケーション力を上げる

SESでの案件獲得には、面談時の自己PRコミュニケーション能力が極めて重要です。面談は、クライアントに自分の技術力を直接示すチャンスであり、ここでの印象が案件選択に直結します。面談で印象を意識することで、自己PRが成功し、希望するSES案件を確保しやすくなります。
面談は単なる技術力のアピールの場というだけではなく、総合的なプロフェッショナルとしての自己を表現する機会です。これを最大限に活用し、良い案件に参画できるようにしましょう。

クライアントや社内の信頼を高める

クライアントや社内での信頼を築くことにより、より良い案件を引き寄せ、キャリアアップを図ることが可能になります。

信頼を高めるためのポイント
  • 技術力の継続的な向上
  • 積極的な姿勢
  • 市場のトレンドへの敏感さ

SES案件が選べないと感じる場合でも、クライアントや社内の信頼を確立することで、希望する案件に近づけます。常に自己研鑽を怠らず、SESエンジニアとしての資質を高める努力をしましょう。

営業担当者と良好な関係性をつくる

営業担当者と良好な関係を築けると、以下のようなメリットを得られます。

メリット
  • 案件の選択肢が広がる
  • 自分のニーズを理解してもらいやすい
  • 案件変更の依頼がしやすくなる

逆に、営業担当者との関係が希薄だと、希望に合わない案件を受け入れざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

営業担当者に依存するだけではなく、自分からも積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築く努力が大切です。

案件を選べる会社に転職する

現在の職場で案件の選択肢が限られている、または自分にとっては不満のある、いわゆるハズレ案件を強制されがちな場合は、転職を検討するのも一つの手です。自由に案件を選べる環境が整っていない場合、エンジニアとしての成長やキャリア構築が難しいことがあります。選択肢が豊富な企業への転職は、自己のスキルアップやキャリアプランに合ったプロジェクトに参画できる可能性を高め、満足度を向上させます。
自分の技術を正当に評価してくれる、そして成長の機会を提供してくれる環境を選びましょう。

SES案件に関するよくある質問

SESエンジニアとしてのキャリアを歩む上で、「本当に案件は選べるのか?」という疑問は避けて通れません。
多くのエンジニアが「案件ガチャ」に悩まされていますが、適切な情報と対策を知ることで、自分に合った案件を見つけることは可能です。

SESで案件が決まらなかったらどうなる?

SESエンジニアが案件を獲得できない場合、一般的に「待機」という状態になります。待機期間は、新しいプロジェクトが見つかるまでの期間のことで、オフィスでの作業や自宅待機を余儀なくされる場合もあります。待機期間の待遇は会社によって異なりますが、給与が減額されることもあり、場合によっては業務がないという理由で契約が解除されることも考えられます。

未経験の場合、SIerとSESのどちらがいい?

SESは、技術面で幅広い経験を積めるため、未経験者が技術を短期間で学ぶのに適しています。
一方、SIerは、プロジェクトの企画から運用までを一貫して手掛けるため、プロジェクトマネジメントや顧客との折衝など、テクニカルなスキル以外の豊富な経験が求められます。

SES案件が決まってから入社って大丈夫?

SESの世界では、「案件が先に決まってから入社する」という流れが提案されることがあります。
しかし、これには慎重に対応することが重要です。特に、契約が不安定な場合や、実際の案件内容が明確でない場合は気をつけましょう。
もし不安がある場合は、より安定した環境を求めて転職活動を続けるのも一つの選択です。

まとめ

この記事では、案件ガチャを避けるためのポイントや、案件が選べないときの対処法を詳しく説明してきました。SES案件が本当に選べない状況に直面している場合、SES企業や案件自体を事前にチェックすることが必要不可欠です。
もし様々な対処法を試しても改善が見られない場合、転職を考えるのも賢明な選択です。自分にとって最適な職場を見つけるための積極的な一歩を踏み出しましょう。