せっかくエンジニアになったのに、思ったように実務経験を積めずに悩んでいる人は多いと思います。

エンジニアとしてのスキルが思うように身につかず、焦りを感じますよね。

この記事では、エンジニアになったのに実務経験が積めない原因と、エンジニアとしての市場価値を上げる方法を解説します。

実務経験を積みやすい職場の見極め方も紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

エンジニアの実務経験とは

エンジニアの実務経験は、ただコードを書くことではありません。

エンジニアの実務経験について、実務経験にならない業務例とあわせて解説します。

実務経験とは顧客のために開発をする一連の流れ

エンジニアの実務経験は、顧客のために業務をおこなう一連の流れをいいます。対価をもらって開発する業務ともいえるでしょう。

顧客は対価を払って依頼するため、顧客の要望通りに開発・実装することが求められます。自分のアイデアや考え方よりも、顧客の要望が第一優先です。

納期を守る、セキュリティに配慮するなど、社会人としての常識も必要です。

実務経験にならない例

以下のような業務は、エンジニアの実務経験としては扱われにくいでしょう。

エンジニアの実務経験として扱われにくい業務
  • 新人研修
  • データの整理
  • テスト業務
  • 運用・保守のみ

ただし、テスト業務や運用・保守については、ITの仕事に携わった経験になるため、無駄ではありません。

エンジニアが実務経験を積めない原因

エンジニアが実務経験を積めない原因は、本人のスキルと会社が抱えている案件の不一致や、会社の体制の問題があります。

それぞれの原因を深堀り解説します。自分はどの原因に当てはまるか、考えながら読んでみてください。

未経験のエンジニアが実務に携われる案件が少ない

研修制度の整備されていない会社に未経験で入社すると、エンジニアとしてのスキルを高める機会が乏しいかもしれません。

即戦力の社員ばかりに仕事を割り振られてしまい、経験の浅いエンジニアは案件に携わる機会に恵まれずに、雑用ばかりさせられることも。

スキルに見合った仕事がない上に、研修制度も整っていないため、実務経験を積む機会が得られにくくなってしまいます。

ブラックSES企業に入社してしまった

SESとは、システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)の略で、エンジニアを顧客先に派遣して労働力を提供するサービスです。

質のよくないSES企業に入社すると、面接時には「開発業務に携われる」と言われたものの、研修と称して家電量販店やコールセンターに配属されることがあります。

エンジニアとは関係のない業務に従事する上に、エンジニア業務の研修も不十分になるので、エンジニアとしての実務経験を積めないまま、仕事に忙殺される日々が続きます。

エンジニア業務と関係のない部署へ配属された

会社の状況によっては、希望通りの配属がかなうとは限らないため、エンジニア業務と関係のない部署へ配属されることもあります。

会社の方針で、さまざまな部署を経験させるためにわざと希望とは違う部署に配属するケースや、人員配置の関係で、やむを得ず希望が叶えられないケースがあります。この場合、業務中にエンジニアの実務経験を積むことができません。

希望が通らなかったことも含め、仕事のモチベーション低下につながりやすいパターンです。

開発業務の機会がない

所属している会社で開発の機会がない場合、エンジニアとしての総合的な実務経験を積む機会に恵まれません。

大手企業や中小SIerでは、上流工程のみ自社でおこない、プログラミングなどの下流行程は外注することがあります。会社としての効率はよいのですが、経験の浅い社員にとってはトータルのスキルアップにつながりにくいかもしれません。

もちろん、上流工程に携わっていれば実務経験になるため、経験を積んだ分、市場価値は高くなります。しかし内部設計やコーディングなどの工程もひと通り積んでいれば、エンジニアとしての仕事の幅が広がるでしょう。

エンジニアの実務経験を積めない現場の具体例

IT企業に入社したのに、オペレーター業務やヘルプデスク業務ばかりで、エンジニアの実務経験を積めない職場もあります。

どのような職場だと、エンジニアとしての実務経験を積めないか、具体例を解説します。

テスト業務  

テスト仕様書に沿って、ひたすらシステムのテストをする仕事です。エンジニアの仕事とまったく関係のないわけではありませんが、実務経験としてアピールするには難しいのが現実です。

テスト業務は大切な仕事ですが、テストばかりやっていると、実務経験を積めないまま時間が経ってしまいます。

交渉力の強くないSES企業の案件にありがちです。

ヘルプデスク

ヘルプデスクとは、自社が扱う製品についての質問に答える仕事です。電話やチャット、メールなどで社内外から質問を受け、製品の使い方を説明するなど、お客様の疑問を解決します。

製品の知識や基本的なITの知識は必要ですが、エンジニアの仕事に携わる機会はほとんどありません。

ITオペレーター 

ITオペレーターは、マニュアルに沿ってシステムの運用管理・保守を行う仕事で、サーバーやシステムが正常に稼働し続けるためには必要不可欠です。

しかし、マニュアル通りに動くことが求められ、自分で考えて組み立てる機会が少ないため、エンジニアの実務経験としては評価されにくいでしょう。

未経験者が配属されやすい職種でもあるため、開発業務に興味のある人は、ITオペレーターの業務をこなしながら、ステップアップするにはどうしたらよいか意識する必要があります。

実務経験と開発経験の違い

実務経験と開発経験は、似て非なるものです。

実務経験:顧客から対価を得手、開発業務などの仕事に携わった経験

開発経験:プログラミングをおこない、アプリやシステムを開発した経験

求められる能力には以下のような違いがあります。

【実務経験と開発経験で求められる能力の違い】

実務経験開発経験
クライアントの要求をヒアリングする設計書を見て実装する納期を守るセキュリティを守って開発するプログラミング能力を駆使して開発するポートフォリオを作成するデータベースやサーバーの知識を有するタイピングスキルがある

実務経験は、ただ開発するだけでなく、顧客の要望をキャッチした上で要望通りに作業をする必要があります。最適な仕様にするために工夫して開発するのは、開発経験としては評価されますが、「ここを変えたほうが便利だと思います」と勝手に仕様を変えるのは、実務経験としては評価されません。

また、実務経験に携わる中で、納期を守ることやセキュリティに配慮することなど、社会人としてのスキルも身につきます。開発経験だけではなく、実務経験を重視する会社が多いのはそのためです。

エンジニアとして実務経験を積む方法

テスト業務をおこなうテスターやヘルプデスク、ITオペレーターはどれも重要な業務です。

しかし、エンジニアとして実務経験を積みたい場合、これらの位置で何年も頑張るのは得策ではありません。

ここではエンジニアとして実務経験を積む方法を解説します。

会社に相談する

業務内容の変更や部署異動ができないか、会社に相談してみましょう。エンジニアとしての実務経験を積みたいことを伝え、開発に携わりたい意向を上司に伝えます。

副業で実務経験を積む

会社で実務経験が積めないのであれば、副業を視野に入れましょう。

ある程度の経験がある人であれば、ランサーズなどのクラウドソーシングプラットフォームで、業務委託案件を受注するのがおすすめです。経験値がグッと上がります。

業務委託はハードルが高いと思う人は、経験が浅くても応募できるアルバイトにチャレンジするとよいでしょう。

転職する

会社に残り続けても実務経験を積めそうにない場合は、転職を検討することをおすすめします。

転職先でも同じことにならないよう、転職する際には募集要項をしっかりと読み、疑問点は入社前に解消しましょう。

以下の章で、エンジニアの実務経験を積める職場の見極め方を解説していますので、参考にしてください。

エンジニアの実務経験を積める職場の見極め方

エンジニアの実務経験を積むには、経験の浅いエンジニアでも仕事に携われる環境の職場に所属することが重要です。

具体的に、どのような職場であればエンジニアとしての実務経験を積めるか、解説します。

一次請けできているか

IT業界は、クライアント企業からの発注に対して、一次請け、二次請け、三次請け、と多重構造になっていることが多くあります。

多重構造の下層にいけばいくほど、開発業務に携わる機会が少なく、仕様書に沿ったルーチンワークがメインとなってしまうため、エンジニアの実務経験としては評価されにくいかもしれません。

一次請けであれば開発業務に携われる可能性が高いため、エンジニアとして実務経験を積みたいのであれば一次請けができる会社を選ぶとよいでしょう。

ある程度の規模の会社か

未経験、もしくは経験の浅い人であれば、会社の規模にも注意する必要があります。

規模が大きい会社は、教育体制が整っている傾向にあります。教育体制が整っている会社であれば、指導を受けながらエンジニア業務に携われるため、実務経験を積む中でエンジニアとしてスキルアップできます。

ある程度の規模があっても、教育体制には差があるため、事前に教育体制のリサーチはマストです。

自分で調べるのが難しい場合は、転職エージェントに相談するとよいでしょう。自分では聞きにくいこともエージェントが聞いてくれるため、転職の失敗リスクを軽減できます。

会社に営業力があるか

SES企業において、営業力の強い会社は優良案件を複数獲得できるため、エンジニアとしての実務経験を積めるような現場にアサインされる可能性が高くなります。エンジニアが仕事を選べるSES企業もあるため、SES企業に在籍するのであれば、会社の営業力は重要です。

反対に営業力の弱い会社だと、案件そのものが少ないために、希望外の案件にアサインされてしまう可能性が高くなってしまいます。

転職を成功させるポイント

せっかくいい職場を見つけても、準備が不足していたために不採用になってしまったら、非常にもったいないですよね。

転職を成功させるポイントを解説します。転職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

ポートフォリオを提出する

エンジニアにとってのポートフォリオとは、自分の実績を示す作品集のようなものです。

他者との優位ポイントを客観的に示す材料になるため、個人でアプリ開発やシステム構築の経験があるのであれば、必ずポートフォリオにまとめて、提出するようにしましょう。

実務経験の証明にはなりませんが、開発経験があるということで採用率がアップします。

言語のこだわりを捨てる

エンジニアによっては、プログラミング言語にこだわりのある人もいるかもしれません。自分で開発する分には構いませんが、企業に所属して実務を積むとなると、プログラミング言語へのこだわりから、チャンスを逃してしまう可能性が高くなります。

いちエンジニアとしての考えは横に置いて、なるべく多くのプログラミング言語に対応できるようになったほうが、転職の成功率はアップします。

よくある質問

最後に、エンジニアの実務経験についてよくある質問をまとめました。

エンジニア未経験の人は実務経験を積めないって本当? 

結論からいうと、エンジニア未経験者が実務経験を積めないということはありません。

もしエンジニア未経験者が実務経験を積めないのであれば、エンジニア人口は減る一方です。

実務経験を積むチャンスに恵まれないのであれば、オリジナルのポートフォリオを作ったり、常に求人のアンテナを貼っておいたりと、チャンスがきたときに波に乗れる体制を整えておきましょう。

経験1年未満でも転職は可能? 

経験1年未満でも転職は可能です。しかし、転職となると経験年数の長さを見られるため、複数年経験のあるエンジニアよりは厳しい戦いになることは避けられません。

興味のある求人には積極的に応募し、自分からやる気をアピールしていきましょう。

フリーランスエンジニアになるには実務経験はどのくらい必要?

一概にはいえませんが、フリーランスエンジニアとして案件に対応するには、おおむね3~5年の経験が必要となるでしょう。

フリーランスエンジニアは、案件について自力でこなさないといけません。そのため、下流行程から上流工程まで、開発の流れを経験を有してることが求められます。

5年経験があるからフリーランスとしてやっていけるわけではなく、経験年数が短くても、開発においてひと通りの経験があれば、フリーランスとしてやっていける可能性は十分にあります。

まとめ

どのような仕事でもきちんと取り組んでいれば、仕事に対する態度が評価され、開発業務に携わるチャンスを掴めるかもしれません。

腐らずに、「学べるものは全部学ぶ」くらいの気持ちで目の前の仕事に取り組むことが重要です。

とはいえ、エンジニアとして実務経験を積める見込みがないのに無理やり在籍し続けるのは考えもの。会社に相談して改善されそうになければ、転職を考えたほうがよいでしょう。

エムアイエスエージェントは、表に出ていない企業の情報を持っています。自分では聞きにくいようなことも代わりに聞いてくれるため、失敗しない転職をしたい方は、ぜひご相談ください。