社会人2年目は、できることが増えて仕事が楽しくなる半面、仕事が見えてくるがゆえの悩みも増える時期です。

そのため「転職」という文字が頭をちらつき始めるものの、せっかくの新卒カードで入った会社を早々に辞めるとキャリアに傷がつくのでは、と転職に踏み出せない人も。

この記事では、社会人2年目が「疲れた」と感じる理由と対処法、社会人2年目の転職で大切なことを解説します。

社会人2年目で「疲れた」と感じる理由

社会人2年目になると、新卒の頃とは異なる悩みやストレスを抱え、多くの人が「疲れた」と感じることがあります。なぜ、2年目という節目に大きな壁を感じるのでしょうか。

  • 新人として扱われなくなる
  • 同期と比べて仕事ができないと感じる
  • 周りを頼りにくくなる
  • 仕事量が増えてくる
  • 仕事内容に飽きてくる
  • 周囲からのプレッシャーがある

新人として扱われなくなる

新卒の頃は、周囲から「新人だから」と多少の手厚いサポートを受けることもあったかもしれません。しかし、2年目になると、徐々に「新人」という扱いから卒業し、一人前の社会人として期待されるようになります。これに伴い、責任の範囲が広がり、周囲からの要求も厳しくなるため、プレッシャーを感じる人も少なくありません。

同期と比べて仕事ができないと感じる

同期入社の仲間たちと比較し、自分の成長が遅いと感じてしまうことも、2年目の悩みのひとつです。周囲が着実にキャリアアップしていく中で、自分だけが置いていかれているような感覚に陥り、焦りや不安を感じてしまうのです。

周りを頼りにくくなる

新人の頃は、分からないことがあれば気軽に先輩や上司に質問できたかもしれません。しかし2年目になると、自分自身の「もう2年目だから」という気持ちから、先輩や上司に相談することを恥ずかしいと思う人もいます。

周囲に気軽に相談しづらくなり、一人で抱え込んでしまうことで、ストレスが溜まってしまうことがあります。

仕事量が増えてくる

2年目になると、1年目よりも多くの仕事を任されるようになります。仕事の種類も複雑化し、求められるレベルも高くなるため、業務量が増加し、時間的な余裕がなくなってしまう人も少なくありません。

とはいえ2年目になったからといって、いきなりスキルアップをするわけでもなく、1年目時代との扱いの差に圧を感じてしまいます。

仕事内容に飽きてくる

同じような仕事を繰り返すことで、仕事内容に飽きてしまいモチベーションが低下してしまうこともあります。また、自分の仕事が会社にどのように貢献しているのか、将来のキャリアパスが具体的にイメージできない場合は、仕事への「飽き」を感じやすいしょう。

やりがいの感じられない仕事の繰り返しで、精神的に疲れてしまうパターンです。

周囲からのプレッシャーがある

「もう2年目だからこれくらいできるよね」と上司や先輩からプレッシャーをかけられることもあります。人手不足の職場では、この傾向が顕著でしょう。

周囲の期待に応えたい気持ちが強い人では、期待に応えられないのではないかという不安や、失敗した際の責任の重さに苦しむ人もいます。周囲からの圧力と自分自身へのダメ出しの毎日では疲れてしまうのも無理はありません。

社会人2年目が疲れたときの対処法

社会人2年目が疲れたときの対処法として、以下の方法が有効です。

  • 「まだ2年目」と考える
  • とにかく勉強する
  • わからないことは聞く
  • 自己投資する
  • 友人や家族との時間を充実させる
  • 自分自身を見つめ直す

「まだ2年目」と考える

社会人2年目が「疲れた」と感じる背景には、「もう2年目なのにあれもできない、これもできない」という焦りの気持ちがあることがほとんどです。

そこで「もう2年目」を「まだ2年目」と考えるようにすることをオススメします。実際、長い社会人人生において2年目はまだまだ新人です。自分を追い詰めない考え方を身につけると気持ちが楽になります。

とにかく勉強する

仕事についていけないことがストレスで、体力・気力に余裕がある場合は、業務に関する勉強をとことんしてみましょう。知識を身につけることで自信にもつながりますし、スムーズに業務を遂行できるようになるでしょう。

仕事に関する本を読んだり勉強会に参加したりと、方法は色々あります。もちろん無理は禁物です。できる範囲で継続することが大切です。

積極的に質問する

「人に聞くのは恥ずかしい」「迷惑をかけてしまうかも」という気持ちから、わからないことを一人で抱え込んでしまう人もいます。しかし、わからないことはそのままにしておくと、仕事が滞ったり、ミスにつながったりする可能性があります。

大切なのは、プライドを捨てて、積極的に質問することです。上司や先輩社員に丁寧に説明してもらうことで、より深く理解することができます。

自己投資する

仕事に追われる毎日の中で、つい自分のことを後回しにしてしまいがちです。しかし、自分自身を大切にすることも、仕事のパフォーマンス向上に繋がります。

たとえばヨガやランニングなどの運動をしたり、好きな本を読んだり、趣味の時間を増やしたりと、自分にとって楽しいと思えることに時間を使いましょう。ストレスを解消し、心身をリフレッシュすることができ、頑張る気力が出てくるでしょう。

友人や家族との時間を充実させる

仕事ばかりに気を取られて、友人や家族との時間が少なくなっている人もいるかもしれません。しかし、仕事だけでは心が疲れてしまいます。大切な人達と過ごす時間をつくることも、長期的に心身健康に働くためには重要です。

友人と食事に行ったり、家族と旅行に行ったり、積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。

自分自身を見つめ直す

社会人2年目になると、仕事のことばかり考えてしまい、自分自身を見失ってしまうことがあります。しかし、定期的に自分自身と向き合い、本当にやりたいことは何か、どんな人生を送りたいのかを考えることが大切です。

ノートに自分の考えを書き出したり、友人に話を聞いてもらうなど、自分の気持ちをアウトプットする時間をつくるとよいでしょう。

社会人2年目の年収事情

気になる社会人2年目の年収事情について解説します。

手取り額は1年目よりも減る

社会人2年目になると、住民税が課税されます。正確には、2年目の6月から住民税が給与天引きされるため、そのタイミングで手取り額は1年目より少なくなるケースが多いです。

会社員が納付する住民税は、前年の課税所得に税率10%をかけた「所得割」と、住んでいる自治体によって定額でかけられる「均等割」を合算して算出します。各種控除により個々の税金額は異なりますが、社会人1年目の年収が200万円だとすると、住民税は1カ月でおおむね8,000円前後となる見込みです。

社会人2年目の平均年収

厚生労働省の調査によると、社会人二年目が属していると考えられる20歳~24歳の平均年収は約262万円ほどです。この金額に賞与は含まれていないため、実際には260万円~350万円程度であることが予想されます。

参考:厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査:学歴別

社会人2年目に求められるスキル

基礎的な仕事を遂行できる

社会人2年目には、1年目で学んだ基礎的な業務を、一人でスムーズにこなせることが求められます。単に指示されたことを行うだけでなく、業務の流れを理解し、効率よく作業を進めることができるようにしましょう。

また、イレギュラーな事態が発生した場合でも、冷静に対応できる能力も重要です。

わからないことを質問することができる

1年目は「わからないことがわからない」状態だったのが、2年目になると「わからないところがわかる」レベルまで成長します。仕事をしていく上で、1年目よりもわからないことが出てくるのではないでしょうか。しかし、プライドが邪魔をして、質問することができない人もいるかもしれません。

わからないことを放置すると、ミスにつながる可能性があります。わからないことは積極的に質問し、その都度疑問点を解消することが大切です。

後輩のサポートができる

会社によっては、2年目社員が新入社員の指導を任されることがあります。後輩を指導する際には、ただ単に業務の手順を教えるだけでなく、なぜその業務を行うのか、どのようなことに注意すべきなのかなどを丁寧に説明することが重要です。

年の近い先輩として、後輩のモチベーションを維持し、精神的なサポートの役割も求められます。

社会人2年目でも転職OKな理由

最近は社会人2年目での転職にポジティブな風潮があります。ここでは、社会人2年目でも転職OKな理由を解説します。

第二新卒の需要が高いから

社会人2年目は、経験は浅いものの、ポテンシャルが期待できる「第二新卒」に該当します。第二新卒の明確な定義はありませんが、卒業後、おおむね2~3年以内であれば第二新卒扱いされるケースが多いでしょう。

近年、少子高齢化が進み、人材不足が深刻化する中、従企業は若い世代の採用に力を入れています。第二新卒は社会人としての基礎的な能力を有しているため、教育コストの削減にもつながることから、あえて第二新卒を欲しがる企業もいます。

環境への柔軟性があるから

社会人2年目は、特定の企業文化に染まっておらず、環境への柔軟性が高いことから、企業に人気があります。社会人経験が長くなるとスキルが磨かれる反面、置かれてきた環境による「社会人としての人格形成」がされていることがほとんどです。

自分のやり方を押し通すあまりに、時として職場内でのトラブルを巻き起こしたり、新しい職場に馴染めずに短期離職の原因となったりします。

社会人2年目は、社会経験の浅さから環境への適応能力が高く、成長枠として企業から期待されています。

社会人2年目が転職を成功させるポイント

社会人2年目は、若さゆえの勢いがあります。転職活動において、勢いは武器にもなりますが、諸刃の剣となることも。ここでは社会人2年目が転職を成功させるポイントを解説します。

「逃げ」の転職は失敗しやすい

仕事に疲れた社会人2年目が陥りやすい失敗として「逃げの転職」をしてしまうことが挙げられます。

とにかく現状から逃げたくて、藁をも掴む気持ちで転職活動をすると大抵失敗します。大切なことは、未来のビジョンを叶えるための転職です。「〇〇したい」「〇〇になりたい」といった、転職の目的とビジョンが明確になるまでは、焦って転職をしないほうが吉でしょう。

自己分析と業界分析を怠らない

転職活動を成功させるのに重要なのは、自己分析です。主観的な「〇〇が好き」「〇〇をしたい」も大切ですが、自分の能力を客観的に見て、適性のある仕事を選ぶことのほうが重要な場合もあります。

やりたいことと自分の適性がマッチしていれば言うことはありません。しかし、チャレンジしたい分野と自分の適性がミスマッチな場合は、一歩立ち止まって冷静に考える必要があります。

また、企業風土と性格のミスマッチにも注意しなければなりません。たとえば、体育会系気質ではないのに体育会系の業種にチャレンジしてしまい、業務は楽しいけれど人間関係でつまずくケースがあります。

業務内容以外にも広い視点で自己分析と業界分析をおこない、本当に自分にマッチする仕事を見つけましょう。

まとめ

政府が人材の流動性を重視するようになっており、以前のような「新卒カード」一択の風潮は薄れつつあり、20代の再チャレンジがしやすい環境になっています。

「とりあえず新卒で入った会社には3年勤める」も間違いではありませんが、明らかに向いていない仕事に3年もかじりつくよりも、見切りをつけて再チャレンジするほうが得策な場合もあります。

転職活動に正解はありません。一度しかない人生、仕事を続けるにしろ、転職するにしろ、後悔の少ない選択をしてほしいと思います。